本物の牛肉のような味がするベジタリアン向けハンバーガーを作ることは、肉を扱わない食品会社が目指すべき究極の目標だった。味気ない穀物素材のバーガー用パテが最初に米国のスーパーマーケットの冷凍食品コーナーに登場したのは1980年代。当時は健康に関心が高いヒッピーの定番食だった肉なしバーガーはその後、主流への道を歩み始めた。
グラノーラ・バーや豆乳、有機農産物などがあらゆる場所で販売されるようになった今、インポッシブル・フーズやビヨンド・ミートなどの会社は、本物の牛挽肉にできる限り近づけたベジタリアン向け商品を開発している。これらの商品は牛肉と同じような食感があり、焼けば本物の肉のようにジュージューと音を立て、かぶりつけば赤い「肉汁」が出る。
消費者が環境にとって安全で脂質やコレステロールの少ない商品を求める中、米国人が健康食品や自然食品に使う食費の割合は高まっている。食品加工会社の米タイソンフーズや加メープルリーフフーズは、豚肉・鶏肉・牛肉に代わる植物由来のタンパク質に投資しているほか、資産家のビル・ゲイツ氏やベンチャーキャピタリストのビノード・コスラ氏は、こうした代替肉こそが未来の食べ物だと述べている。
ブルームバーグ・インテリジェンスの昨年10月18日のリポートによると、植物由来の代替肉の世界売上高は2010年から年間8%増加して現在は約20億ドル(約2200億円)に達し、加工肉の2倍のペースで伸びている。 サステイナリティクスのリポートの推定によると、代替肉の市場は今後5年間で年間8.4%拡大すると見込まれている。