通常120円〜150円程度で販売されている飲料を「10円」や「30円」などの激安価格で販売する自動販売機が、大阪市内で人気を集めている。
激安で販売されている理由はさまざまのようだが、「賞味期限切れ」という注意書きした上で、30円という値段で販売している自動販売機もあるそうだ。
一般的に、賞味期限切れの飲料を販売することは法的に問題ないのか。何らかの健康被害があった場合、その責任はどうなるのか。石崎冬貴弁護士に聞いた。
●「賞味期限が切れた商品を売ってはならない」というルールはない
「結論から言えば、賞味期限切れの商品を売ったからといって、それ自体に罰則などがあるわけではありません。
細かい話ですが、『賞味期限』と『消費期限』というのは、似ているようで少し違います。消費期限は、その期間までは、劣化などによって安全性を欠くおそれがないというもので、弁当やお惣菜など、品質が急に劣化する、いわゆる『生もの』などに示されます。
賞味期限は、その期間までであれば、期待される全ての品質が保てるというもので、スナック菓子や缶詰など、しっかりと保存すれば、すぐには劣化しないものに示されます。
したがって、賞味期限は、味など『品質』の問題で、消費期限は単純に『食べられるかどうか』の問題といえます。消費期限を過ぎたものは、腐敗などによって人体に有害なものになっている可能性がありますから、食べない方がよいということです」
石崎弁護士はこのように述べる。賞味期限切れや消費期限切れの商品を売ってはならないということだろうか。
「そうではありません。罰則があるのは、腐敗したものや有害なものを売った場合ですので、期限切れかどうかは無関係なのです。
もちろん、それなら何を売ってもよいということではありません。これによって、食中毒などの被害が出た場合、販売会社や製造会社が民事上の責任を負う場合があります。大規模な事故などまで至れば、業務上過失致死傷罪など刑事責任に問われる可能性も否定できません。
ただ、商品そのものに欠陥があったのか、販売の際に販売会社に過失がなかったかなど、色々な事情を考慮しなければなりません。
少なくとも、販売会社は、はっきりと『賞味期限切れ』『消費期限切れ』と表示したものとして売って、消費者が、それを分かって買って食べたのであれば、相当の割合で、消費者側の過失も認められるでしょう」