夫の食事(メシ)に嫌がらせ(ハラスメント)をする妻たち。「メシハラ」は身体的な暴力ではないとはいえ、夫の精神的ダメージははかりしれません。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、そんな夫たちの悲痛な声が寄せられています。
「嫁は完全に私を避けていて、外出はもちろん食事も一緒にはとりません。妻らしい事は、食事だけは用意してくれるだけですが、中身も明らかに嫁と子供に出すものも違います」という男性。夫婦関係の破綻を訴え、「離婚すればどうしたらいいですか?」と悩んでいます。
別の男性は、妻の両親と同居している「マスオさん」状態。妻や義理の両親からは何か月も無視され、ご飯は別室で一人、食べさせられているといいます。こうしたハラスメントに対し、「妻に慰謝料請求できるでしょうか?」と嘆いています。
他にも、Twitterで今年3月、既婚男性が帰宅時間が遅くなることを知らせるのを怠ったところ、妻が晩御飯をぶちまけていたとツイート。「女性から男性へのDVではないか」という反応が多く寄せられ、話題となりました。
果たして、妻から夫への「メシハラ」を理由に慰謝料を請求したり、離婚を求めることは可能なのでしょうか。山口政貴弁護士に聞きました。
●メシハラを我慢して同居を続ける限り、離婚請求は認められない可能性も
「『メシハラ』とは『モラハラ』の一形態を指す造語だと思われますが、結論から言うと、メシハラがある場合は、内容次第では離婚請求が可能であると思われます。
そもそも夫婦の一方が相手に離婚請求をすることができるケースは法律で決められており、(1)不貞行為(浮気)、(2)悪意の遺棄、(3)3年以上の生死不明、(4)強度の精神病、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由、の5つです。本件では(1)から(4)は関係ありませんので、メシハラが(5)『婚姻を継続し難い重大な事由』に該当するかどうかです。
重大な事由か否かはケースバイケースで一概には判断できませんが、食事の中身が嫁と子供に出すものと違うといった程度ではまだ離婚できる程度のメシハラではない可能性が高いです。一方、妻から何か月も無視され、ご飯は別室で一人で食べさせられているというところまで来ると、夫婦関係は相当程度破綻していると評価できますので、離婚請求は可能であると思われます。
とはいうものの、メシハラを受けながらもそれを我慢して同居を続けている限り、夫婦関係はまだ破綻しておらず、離婚請求は認められないという判断になる可能性もあります。本当に離婚しかないと考えるのであれば、早々に別居するのが離婚への近道ではないかと思われます」