子どもに代わって宿題をおこなうサービスの提供や、宿題完成品の出品をめぐって、文部科学省は8月29日、オークションサイトやフリマアプリを運営するヤフー、メルカリ、楽天の3社との間で、売買禁止を明確化することを合意したと発表した。文科省の担当者は「子どもたちに、自分で宿題に取り組むことの大切さを認識してもらいたい」と話している。
●オークションサイトやフリマアプリで「読書感想文」などが出品されていた
ここ数年、オークションサイトやフリマアプリでは、子どもに代わって宿題をおこなうサービスや、学校に提出することを想定した読書感想文・自由研究などが出品されており、問題になっていた。こうした状況を受けて、文科省は8月上旬、「子どもたちの未来を考えてよくない」として、メルカリなど大手3社に協力をもとめていた。
3社はこれまでも、宿題代行に関するサービス提供を禁止としていたが、今回の合意で、宿題完成品の売買についても禁止であることを明確化した。さらに、宿題代行に関する出品を見つけた場合、商品削除などの対応を速やかにおこなうとしている。3社は「今後とも相互の連携・協力の下、子どもたちの未来を第一に考えて取り組んでいく」としている。
●背景には「宿題の意義を感じられなくなっている」ことも
宿題代行サービスそのものが、違法とされる可能性も低いと考えられている。また文科省も、宿題代行サービスや宿題完成費の出品を法的に取り締まる権限がないため、これまで手をこまねいている状況だった。
そもそも文科省の学習指導要領では、宿題の役割が次のように位置づけられている。
「特に、低・中学年において学習習慣を確立することは極めて重要であり、家庭との連携を図りながら、宿題や予習・復習など家庭での学習課題を適切に課すなど家庭学習も視野に入れた指導を行う必要がある」(小学校学習指導要領解説 総則編)
しかし、実際のところは、一度覚えた漢字を何度も書き取りさせるなど、学校の宿題が形骸化しているところがある。文科省の担当者も、宿題代行サービスが流行する背景について「子どもたちが、宿題の意義を感じられなくなっていることがあげられる」とため息をもらす。
文科省は今後、大手3社と連携をはかりながら、「子どもたちや家庭、学校には、宿題の意義やその適切なあり方について改めて考えることを促すなど、自分で宿題に取り組むことの大切さを周知していきたい」としている。