今回紹介する「カメラ一発!センサー」は、従来、音や振動、映像の変化を検知してパソコンやスマホに何らかの情報を送信していたインターネットカメラが、子機として「Z-Wave」(低消費電力の無線技術。欧米で普及)対応の各種センサーを従えてより柔軟で細かな管理ができるように成長した製品だ。
筆者の購入したモデルは、Z-Wave対応の「カメラ一発!」(CS-W72Z)と、4種類のセンサー(ドア/窓の開閉、温度、湿度、照度)を常時管理し、カメラ一発!に、業界標準のZ-Waveを使って送信する「4in1センサー for カメラ一発!」(ZD2201JP-5-P)の同梱モデルだ。
近くこの先進モデルで、筆者宅で3年以上頑張っている初代のパンチルカメラ「CS-W70HD」を置き換える予定だ。
センサーモジュール付きの見守りカメラ 「4in1センサー for カメラ一発!」
まずはカメラ一発!本体の同梱物を紹介しよう。基本構成は3年前のCS-W70HDと同様で、本体とACアダプター、壁面固定のブラケット関連、イーサネットケーブル、取説だ。
本体はコップのような外殻に囲まれ、中央に球体のカメラ部分があり、カメラは上下に130度動く(仰角90度、俯角40度)。また、本体の台座より上の部分が正面を基準にして左右に各170度回転し、340度の守備範囲が視界となる。
死角は真後ろのわずか20度だけとなる。これだけの範囲を遠隔からスマホでコントロールしてモニターすることが可能だ。
レンズは昼間用と夜間用の2基を搭載、光センサーによる自動切り替えで、昼でも夜でも被写対象を確実に捉えることが可能だ。
背面にはACジャックとイーサネットポートも備えており、Wi-Fi以外にイーサネットケーブルによるルーター接続も可能となっている。
外部記録メディアは本体球体部分の頂点にあり、最大32GBまでのmicroSDカードが利用できる。
L字型のブラケットを使用して壁面や天井から逆さ位置での固定もできる。また底面には標準的なカメラ三脚のネジ穴もあるので、お好みの三脚を使って固定することも可能だ。
何と言っても「カメラ一発!センサー」の最大のアドバンテージは、業界標準であるZ-Wave対応の各種センサーを利用してカメラ一発!の管理下で、さまざまなモニターや、その結果によるアクションなどを設定できることだ。
今回は、キットの「4in1センサー for カメラ一発!」を使用して、子供の帰宅やひとり暮らしの高齢者の方の生活モニターを実践してみようと考えてみた。
まずはセンサーをセットアップ!
センサーキットには単4電池2個を内蔵する本体と、マグネットが2種類入っており、薄いマグネット(平面タイプ)は、本体センサーと組み合わせて引き戸の開閉を検知するために使用すると便利なものだ。
一般的な玄関ドアや冷蔵庫の扉などのような開閉検知はプラスティック製のかまぼこ型マグネットを利用すれば便利だろう。
本体やマグネットを固定するための両面テープやネジ、ブラケットなども入っているので、工具さえあればほかには何もいらない。
今回筆者宅ではこのセンサー本体と標準的なマグネットで冷蔵庫の開閉を検知してその検知をスマホで受信して高齢者や子供の行動を遠隔でも知ることができるように設定してみた。
まずは、カメラ部分とZ-Waveコントローラーの入ったカメラ一発!センサーを自宅のネットワーク環境に組み込む。
基本的にはカメラ本体のWPSボタンとWi-Fiルーター側のWPSボタンを押して接続を行なう。しかし、相性などの問題でうまく接続できない場合は、「スマートセットアップ」という手段も用意されている。
専用アプリの「カメラ一発!センサー」をダウンロード、導入、起動して、スマホの画面上から自宅のWi-Fiルーターのパスワードを入力し、QRコードに表示変換されたスマホの画面をWPSボタンを押したカメラ本体にかざすことで設定できる。
まれに、これでもダメな場合もあるが、そんな場合はイーサネットケーブルでカメラとWi-Fiルーターを接続した後、カメラ一発!センサーアプリでWi-Fiルーターを探して設定すれば、問題なく無線設定もできる。
自宅のWi-Fiルーターとカメラが接続できたら、今度はカメラの映像をスマホを使って遠隔から見るためにアプリを起動。
“カメラ機能内蔵のZ-Waveコントローラー”を設置する場所(ホーム名:筆者の場合は「T教授宅」とした)を設定入力し、続いてカメラ本体の底に書かれている“カメラID”とデフォルトの初期パスワードである「ipcam」をアプリから入力して、スマホからカメラのとらえている映像が見えるか確認してみよう。
そして忘れないうちに、初期パスワードはすぐに変更しておこう。カメラの設置場所が想像できるようなお好みのアイコン写真などを登録するとリアリティーが増してより楽しくなってくる。
ここまで設定すると、アプリの画面はカメラ機能内蔵のコントローラーを置いた場所を中心に、「カメラ」「デバイス」「ルーム」「シーン」という4つの要素が並んで表示される。
ルームは、カメラ機能内蔵のZ-Waveセンサーコントローラーのある場所だと考えれば話を理解しやすい。
カメラの要素には、Z-Wave機能のない従来の“カメラ一発!”も登録、管理、モニターが可能だ。
デバイスは今回新登場のZ-Waveセンサーを登録すればその総数が表示される。接続できるセンサーデバイスの数は全部で20台だ。そして本体であるカメラ一発!センサーと各デバイスの距離は最大で見通し30mだ。
冷蔵庫の開閉を検知する仕組みを試してみた
では早速、今回の「4in1センサー for カメラ一発!」を追加登録をしてみよう。登録の仕方は極めて簡単だ。
親機となる“カメラ一発!”のすぐそばで、単4乾電池を2本入れた“4in1センサー”の短側面にある「プログラムスイッチ」を指先で押して放置しておくだけだ。
何度かトライが必要な場合もあるが、無事登録されるとアプリを実行中のスマホの画面に登録が終了したことが表示される。
続いて、センサーによって何らかの検知があった場合、それをトリガーにしてどのようなアクションを起こすかを設定しよう。
デバイスが登録されたら、デバイスの異変検知があった場合の振る舞いを“シーン”として登録する。「IF」「THEN」「WHEN」の3項目をメニューから選択してゆくだけで、簡単にプロシジャーが自動で作られる
アプリ上ではその手順のことを「シーン」と呼んでいる。インターネットでアプリ間を連携する「IFTTT」と似たような考え方だ。
わかりやすい例で言えば、冷蔵庫の扉が開けられたらブザーを鳴らすとか、ライトが光るとかだと思えばいい。
今回は「4in1センサー for カメラ一発!」が取り付けられた冷蔵庫の扉が開けられたら、その瞬間にそのことをメールで指定したアドレスに送ってくれるように設定してみたい。シーンで設定できる項目は、「IF」「THEN」「WHEN」の全部で3つ。
今回の例では、冷蔵庫のドアが開けられて、冷蔵庫本体に取り付けられたセンサー本体とドアに貼ったマグネットの距離が離れたら……というのがIF。
そして、その事象が起こったら、指定したメールアドレスに即座に連絡する……というのがTHEN。
そして最後は、その検知や連絡をいつやるか、いつまでやるか……というのがWHENで設定する。今回は「24/7」という設定で、これの意味するところは“7Days a Week”、つまり24時間常時だ。
この設定で、高齢者の方や子供がいつ冷蔵庫を開けても、そのアクションの連絡が指定したメールアドレスに、その時のカメラが捕らえた撮影映像添付で送られてくる。
実際にデバイスを登録し、シーンを設定登録した後、スマホ上のアプリの表示はデバイスとシーンのカウントがアップしている。
早速、自宅の冷蔵庫にセンサー本体とマグネットを両面テープで貼り付けてみた。冷蔵庫の扉が開かれてセンサー本体とマグネットの距離が15mm以上開くと、センサー本体側のLEDインジケーターが点滅し、データを親機であるカメラ一発!に送信しているのがわかる。
“カメラ一発!センサー”アプリからのお知らせ機能をオンにしておけば、即座にセンサーの検知結果が画面に表示され、しばらくすると登録したメールアドレスに冷蔵庫が開けられたことを知らせる写真添付のメールが届く。
メールに添付されている写真を見れば、多少の時差はあるが、筆者宅のキッチンで家族がまだ冷蔵庫の近辺にいるのがわかる。
さまざまなストレージに対応 タイムラプス撮影もできる!
“4in1センサー for カメラ一発!”にはドアや窓の開閉検知以外に、温度、照度、湿度を測定するセンサーも入っている。同じアプリ上で、遠隔地のスマホからこれらの環境データをリアルタイムで知ることができる。
知らされた室温や湿度を見て、一人住まいの高齢者や留守番の子供に、クーラーを入れるように、アプリの中から話しかけたり、スマホを使って普通に電話することもできるだろう。
いずれは、それも別のセンサーの働きでリモコンを遠隔操作して、最適温度にすることも対応可能だろうが、親子の会話はそれよりも大事だと思うので、本当はそこそこの自動化が素晴らしいのかもしれない。
センサーの配置とシーンの設定をいろいろ工夫すれば、不用意に玄関のドアが開いたり、窓が開けられたりしたら、カメラ一発!本体に収納されたブザー(警報音)を鳴らして威嚇したり、同時にSDメモリーカードに録画したりも可能だ。内蔵SDメモリーカードだけではなく、DropBoxや自宅ネットワークに接続されたNASに録画したりすることもできる。
録画の中でも極めて楽しいのは、SDメモリーカードに録画できる「タイムラプス映像」だろう。インターバルやフレームレートも自由に設定できる。
センサーによる“優しい見守り”が可能に!
今回の「カメラ一発!センサー」の登場でインターネットカメラの世界はまた一歩大きく進化した。
以前のカメラ一発!やスマカメの登場は、従来はほとんど専門の知識のある人しか使えなかったインターネットカメラを、ペット愛好家や留守の時のお店や自宅のガレージ付近などを見たかったごく普通の人にも扱える商品に変えた。
筆者もそうだったが、高齢の親を故郷に残して都会で働かざるをえない人も多い。見守りカメラと言えば聞こえはいいが、一歩間違うと監視との区別や切り分けは難しいことが多い。
カメラ一発!センサーなら、カメラを見守りに使わなくても、子機として活躍してくれる4in1センサー for カメラ一発!による“気配を感じる非直接的な優しい見守り”が可能だろう。