韓国で盛り上がるスタートアップイベント
各国でスタートアップが次々と起業される中、韓国でもここ数年アイデアに優れた製品をグローバル展開しようとする企業が増えています。そんな韓国のスタートアップを集めたイベント「MIK」(Made In Korea)が韓国で開催されましたが、2回目となる「MIK 2018 SEASON2」が12月5日にソウルの直下、ソンナム(城南)市で開催されました。どのような出展があったのか、スマートフォンに絡む製品を中心にいくつか紹介しましょう。
危険を音で通知してくれる ウェアラブルデバイス
ネックバンド型のヘッドセットに見える「Neck Band For Anyone」は、年配者など難視聴者が安全に外出できるように、危険を音で知らせてくれる製品です。バンドの左右にはスピーカーがあり、バイブレーション機能も内蔵。たとえば、右後方から自動車のクラクションが鳴った場合は、本体右側のスピーカーから音と振動でそちらに危険があることを通知してくれます。もちろんスマートフォンと接続して、着信通知もしてくれます。
また台風や地震速報にも対応し、設定した距離内で災害が起きたときはそれも音で通知してくれるとのこと。補聴器では音だけが拡大されますが、これは振動もしてくれるため歩行中の危険をいち早く知れるわけです。アメリカや韓国では「NUGUNA Neckband」の名前で228ドルで販売されていますが、日本での販売も視野にいれたいとのことでした。
レゴ互換のプログラミングロボット
CUBROIDの「Cording Block」はその名の通り、小型の立方体の形をしたブロックをくみ上げてロボットを作ることができる学習ロボット。Bluetoothを内蔵して他のセンサー内蔵ブロックをコントロールする「マスターブロック」を中心に、モーター、LEDセンサー、動態感知センサー、タッチセンサー、音感知センサーなどを内蔵した立体ブロックが用意されます。
それぞれをレゴを組み立てるようにつなぎ合わせ、タイヤやダミーブロック(動作やセンサー非搭載)、本物のレゴブロックを接続して好みの形に組み立てることができます。
プログラミングはアプリ上でブロックをドラッグ&ドロップで並べ、それぞれの動作もアイコンから選んでブロックに重ね合わせるだけ。USBケーブルでマスターブロックにプログラムを転送すれば、あとは「障害物を避けて進むロボット」や「音のパターンに反応してLEDライトが光るロボット」などを組み立てることができます。
この手の製品は中国のスタートアップから類似品が出ていますが、CUBROIDの長所はブロック間の接続にケーブルは不要で、プログラミングのプラットフォームも用意しているところとのこと。現在は6~8歳の児童をターゲットにしていますが、より低年齢の4歳児くらいでも使えるようなプログラミングも開発しているそうです。
小型ドローンをプログラミングで操作
最近のドローンは高性能カメラを搭載した「空飛ぶデジカメ」化が進んでいますが、Robolinkの「CoDron」もプログラミングで操作できる学習用ドローンです。ドローンメーカーはいまや中国を中心に中小まで含めると何十社もありますが、Robolinkが考えているのは「ドローンで何をするか」。
大型化するセミプロ仕様のドローンではなく、手のひらサイズに乗る超小型ドローンに特化し、それをプログラミングアプリで簡単にコントロールできるようにしています。CoDronもプログラムはアイコンのドラッグアンドドロップで簡単にできます。
外観がロボットのような眼を持ち、カメラを備えるなど、トイドローンとしても子供が喜んで使いそう。ただ飛ばすのではなく「自分の思うようにコントロールする」という学習ができるのです。来年にはGPSを内蔵し自らの場所を認識できるドローンも市場に送り出す予定とのこと。将来的にはAIのように自動で飛んで元の位置に戻ってくるようなドローンも開発したいとのことです。
手のひらサイズのプログラミングロボット
韓国は子供への教育熱が熱心なためか、プログラミングできる小型ハードウェアの展示がまだありました。ROBOWORKSの「LINKY」は簡単に組み立てられる自走式ロボット。学生たちがLINKYの骨組みをベースに自由なロボットを生み出すことと、小さなリモコンでも操作できることで、PCの無い環境でも動作でき、プログラミングを手軽に学習できることを目的として開発したとのこと。
価格も日本円で6000円程度と買いやすく、都会だけではなく地方の学校や学生でも手軽に買えるようにしたようです。韓国では学校の放課後のクラブ活動でLINKYが使われる例もあるそうで、教育向けにプログラミングのカリキュラムも持っているとのこと。子供たちのIT教育支援用として、韓国以外のアジアやアメリカからも引き合いがあるそうです。
旅行中にお店やカフェに 気軽に荷物を預けよう
ハードウェアだけではなく、サービスやアプリ、コンテンツ系の出展もありました。BLUE WHALEが韓国で12月から展開予定のシェアロッカーサービス「LugStay」は、旅行者が街中で気軽に荷物を預けることができます。まずはソウルの明洞など観光客が集まるエリアからサービスを開始するようです。
利用料金は24時間8ドル。店舗は「防犯カメラ設置」「荷物の保管場所がある」など盗難防止対策が取れるところを選んでいるとのこと。利用者は同社の30万ウォン(約3万円)までカバーされる保険も自動的に利用できます。預け入れ、支払いはスマートフォンのQRコードを使いますが、これはお店が忙しい時でも店員の手を煩わせる必要がないこと、また外国語ができない店員でも対応できるようにと考えて採用したそうです。
同社とロッカーサービスを提供する店との利益は50:50で分配、将来はお店のクーポンなど集客を促すサービスも展開するとか。お店にとっては「荷物を預ける」「荷物を受け取る」と2回の来客が見込めるため、集客が高まるメリットもあります。
今やフランスの「フレンチ・テック」など、スタートアップは国が支援してグローバル展開を図る動きがあります。アジアの中ではIT先進国でもある韓国から多数おスタートアップが生まれてくるのも自然の流れなのでしょう。イベントに出ていた企業をすべては紹介しきれないので、数社は写真で簡単に紹介してレポートを終わりにしたいと思います。