男子フィギュアスケートの人気に火を付けた立役者は2014年10月、「人生に一区切りをつけて次に進みたい」と競技から引退した。けがを抱えたまま挑んだロシア・ソチ五輪が最後の大会となり、どこか寂しげな再出発だった。
米国への語学留学後はダンスの公演に出演。試合の中継番組などで選手たちの魅力を伝えてきた。プロスケーターとして人気を保ちながら、「次」のキャリアを順調に重ねているように見えた。
ところが昨年7月、32歳にして競技への復帰を発表した。目標は全日本選手権の前半ショートプログラム(SP)で6位以内に入り、フリー直前の張り詰めた練習時間を、羽生結弦選手や宇野昌磨選手らと分かち合うことだった。
全日本まで半年足らず。若い選手たちと共に練習し、競い、刺激した。「『おっさんががんばってるし、俺もがんばらなきゃな』とか、いろんなところで影響を与えられてるのかな」と笑う。
そして全日本。目標を上回るSP2位で折り返し、総合2位。2012年以来6年ぶりに全日本の表彰台に立った。
今年3月の世界選手権代表の切符は、後輩に譲った。「今は素直に言えますけど、フィギュアスケートがすごく好き。自分が活躍したいのと同じくらい、後輩たちに成長していってもらいたい気持ちがある」。選手生活は続ける。レジェンドは、まだ終わらない。
メッセージ
チャレンジしたことはすべて経験につながるし、経験によっていろんな選択ができる。怖がらずどんどんチャレンジして、たくさん学んでもらえたらなと思います。
たかはし・だいすけ 1986年3月16日生まれ、岡山県出身。8歳でスケートを始める。2010年バンクーバー五輪3位、世界選手権優勝。14年10月競技引退、18年7月復帰を発表。
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