自殺したくなるのは、なぜ?
ストレス社会の現代では、悩みをうまく解消する方法を見つけられないことも多く、生きる自信がなくなることも少なくありません。
そこで「死んでしまいたい」という気持ちにとらわれてしまう人もいますが、これはストレスなどによって脳内神経の情報伝達がうまくいかなくなってしまったときに、よく起こると言われています。
たいていの人なら、マイナスな考えが頭に浮かんでも、すぐに気持ちの切り替えができます。しかし、上記の状態になると、合理的で現実的な判断ができなくなり、最終的には「自殺」という解決策以外、頭に浮かばなくなってしまうのです。
「自殺心」に気づくサインとは?
自殺から救うために必要なのは、家族やパートナーなど、その人の身近にいる人が、自殺のサインに気づいてあげることです。自殺する人は、たいていそのサインを事前に発信しています。まず、以下のサインをチェックしてみてください。
●1.いつも自分を責めて、マイナスのことばかりをいう
「自分なんかいなくなったほうがいい」など、自責の言葉ばかり口にしている。
●2.朝の調子がとても悪くなった
いつもの時間にすっきり起きられない、朝食が食べられない、朝刊に目を通す気力がないなど。
●3.最近、ストレスにつながるライフイベントがあった
親しい人との死別や離別、離婚、結婚、就職、昇進、降格、転勤、退職、引越し、出産など。
●4.体調の悪い時期がずっと続いている
持病をわずらっている。また、更年期、老年期など。
●5.家族とも顔を合わせたがらない
部屋にこもってしまう、話すのもおっくうな様子。
●6.過去に自殺未遂をしている
一度、自殺を試みた人は繰り返すことがあります。
●7.身の回りを整理している
大切にしていたものや手紙や写真を捨てている。
●8.食欲がない
極端に食べる量が少なくなっている。
家族やパートナーはどう接したらいいの?
「自殺したい」という思いにとらわれてしまうと、自分だけの力で考え方を修正するのはなかなか難しいものです。そのため、身近な人のサポートとがとても大切になります。
最近落ち込みが激しく、前述のようなサインを感じるようになったら、その人の行動を注意深く見守ってください。そして特に大切なのは、早めに精神科での治療をスタートさせることです。家族やパートナーが一緒に受診し、サポートする側も心得や処方薬の服用方法も確認しましょう。
場合によっては、入院がすすめられることもあります。入院というと大げさに考えがちですが、生活のリズムを整えたり、いままでの生活環境から少し離れてゆっくり休養する、という意味でも、プラスになることが多いものです。
回復しかけた頃に注意を!
特に、回復しかけた頃がもっとも自殺の危険性が高いといわれます。本人が、元の生活ペースに早く戻りたいとあせっているときには、家族はあせりを鎮めてあげましょう、ゆっくり回復していけるようにサポートすることが、大切です。
職場復帰の時期が早かったり、復帰後の対応がうまくいかないと、回復がうまくいかなくなることもあります。その結果、急に絶望が深まり、発作的に自殺したくなることも多いのです。
そのため、あらかじめ家族やパートナーが、職場の上司と打ち合わせておくことが大切です。仕事のノルマを減らす、労働時間を減らす、人間関係がギクシャクしないように配慮する、など、復帰後の心の負担が少なくなるような対応を、家族と職場の双方で考えておきましょう。
文:大美賀 直子