気持ちいいだけじゃない? ストレッチのダイエット効果
ストレッチと聞くと、体を伸ばしてコリをほぐしたり、リラックスするものだと思われがちですが、実はダイエットにも効果があります。
血行を促進させることで新陳代謝が高まり、脂肪燃焼しやすくなります。また、伸ばすだけの動きではなく、ねじりながら凝った部分をほぐすことで、ボディラインを引き締める効果も期待できます。
ストレッチがダイエットに効果のある理由を詳しく紹介します。
1. 可動域を広げ、脂肪燃焼率をアップ
硬くなりやすい関節や、筋肉の動きをストレッチでほぐすことで、可動域を広げます。動作が大きくなれば、基礎代謝もアップし、脂肪燃焼しやすいボディになります。特に女性ホルモンと深く関わりがある仙骨(骨盤内)を調整すると、骨盤内の血行促進、卵巣からのホルモン分泌が活発になり、いつまでも美しいボディラインをキープしやすくなります。
2. むくみ解消・冷え解消効果
深い呼吸により酸素を体中に行き渡らせることで血流が促され、むくみや冷えが解消されます。むくむと冷えが生じやすく、冷えが生じると脂肪がつきやすくなる……そんな負のスパイラルをストレッチで断ち切りましょう。
3. 成長ホルモンを促進
アンチエイジングに欠かせない成長ホルモンは、夜10時頃から夜中の2時頃、睡眠中に一番多く分泌されます。お休み前にストレッチでコリをほぐすことで、リラックスモードの副交感神経が優位になり、快眠しやすくなります。深い眠りとともに成長ホルモンの分泌を促せば、太りにくい身体づくりに役立ちまます。
4. 過食の防止
ダイエットの天敵はストレスと言っても過言ではありません。イライラがたまると、暴飲暴食へ突き進みがちです。でも、ストレッチで副交感神経を優位にすれば、「飲んでストレス解消! もう食べちゃう!」といった攻撃的な気持ちが落ち着いてきます。
ダイエットにストレッチを取り入れる利点やメリット
ストレッチを実践することで怪我の防止になり、可動域が広がれば動作が大きくなります。その結果、使われる筋肉範囲も広がり、筋力がついたり、体温が上がり、代謝も上がるなど、痩せやすい体質に変化します。
次に、ストレッチでストレス太りも改善されます。ストレッチを実践すると副交感神経が優位になり身体の緊張が解けて、リラックスします。ストレスは、食べ過ぎでむくみを生じさせたり、便秘によるぽっこりお腹の原因になります。ストレッチによるリラックス効果で満腹感も得られ、食べ過ぎの防止策にもなりえます。
ストレッチでダイエットする際の注意点やデメリット
デメリットというほどではありませんが、効果が出るまで時間がかかる、ということではないでしょうか。実際に脂肪を燃焼してサイズダウンを狙いたい、という場合、しっかり筋肉をつけて、熱を産出しやすい体にする筋トレを実践した方が効果が出やすいのは事実です。
だからといってストレッチには即効性がない、というわけではありません。たとえば、むくみが原因で脚やウエストが太く見えているタイプの人は、ストレッチで脚はほっそり、ウエストのくびれも復活することもあります。血流を促し、老廃物を流し、むくみや冷え、コリの解消という目的であればすぐに実感できるはずです。それにより、巡りのいい体づくりができます。
また、運動が苦手、あまり好きではない人は、ストレッチでゆっくりボディラインをつくるのも一つの方法だと言えます。
寝る前、お風呂、朝……いつやったらいいの?
運動の前にウォームアップをして「筋温」を上げると効率よく動けるようになり、逆に体が冷え固まっていると痛みを感じやすいことは、実体験からご存知かと思います。
筋肉を痛めないためには、体が温まって伸びやすい「お風呂のあと」やほどよく動いている「日中」がオススメです。逆に、朝は体が温まっていないので、普段よりも体が伸びにくい状態です。だからこそ、「朝」のストレッチはダイエットに利用できるという考え方もあります。つまり、目的によって使い分けることが重要です。
例えば、以下です。
■冷え性の人やリラックスした状態でベッドに入りたいと思う人は、お風呂の後にリラックスできるストレッチを実践しましょう。
■代謝をアップさせたい人は、朝・寝起きに実践すると、寝ていた筋肉が目覚め、動きやすい身体になります。体を傷めないように注意しましょう。また、お昼まで代謝が上がっているので太りにくい体に近づきます。
ストレッチのコツや効果的なやり方4カ条
●リラックスした状態で行う
ストレッチを行う際には、伸ばしたい骨格筋がリラックスしている状態で、「どの筋肉を伸ばしているのか意識する」のが最大のポイントです。
●正しい姿勢で行い、イタ気持ちいい範囲で
正しい姿勢で行わないと効果がないばかりか、特定の部位に負担がかかって痛みや傷害の原因にもなりかねません。
●息を止めず、ゆっくり呼吸をしながら行う
基本的にストレッチする際には、息を吐きながら、ターゲットとする筋肉を伸ばし、その状態を10~30秒キープします。
●反動を使わない
反動をつけると限界以上に伸びてしまい、筋や腱を傷めてしまうことになりかねません。
ここだけはやって! ダイエットに効果的なストレッチパーツ
ダイエット目的でストレッチをする場合はどんな筋肉をターゲットにするのがよいでしょうか。
まず、代謝をよくするには、大きな筋肉を動かす事がポイントです。下半身の大きな筋肉群、大臀筋や大腿四頭筋(太もも前)、ハムストリングス(太もも裏)をストレッチすると基礎代謝が上がりやすくなります。さらに、「ここはやっておきたい!」というオススメのパーツもあります。
●ふくらはぎ
ふくらはぎを効果的に伸ばし、ふくらはぎが担っている“ミルキングアクション”機能がきちんと働くようにします。下半身は重力の関係や運動不足などで、むくみや冷えが生じやすい部位です。これらを解消するには、ふくらはぎが重要な任務を受け持っています。
ふくらはぎは「第二の心臓」と言われ、重力に逆らって血液を心臓に送り返す働き=ミルキングアクションをしますが、運動不足や冷え等による血行不良になると、きちんと任務を遂行することが出来ず、老廃物が溜りメリハリのないぽってりした脚になってしまいます。
●肩甲骨周辺の僧帽筋
背中は体の中でも筋肉の量も種類も多く、肩甲骨周りを動かす事は代謝UPには効果的です。肩甲骨の周りには、僧帽筋周辺の赤筋という褐色脂肪細胞があるので、脂肪をガンガン燃やし、燃焼系ボディへと導いてくれます。冬のダイエット情報誌を読むと、冬こそ痩せる!というタイトルが多いと思います。これは本当の事。
この褐色脂肪細胞は、寒い環境下に身を置いていると、活性化し、熱を発生させます。人間の防衛本能として、体温を上げるために、脂肪細胞を燃やすのです。だから寒い時は、筋肉がぶるぶる震えることによって、熱エネルギーを発生させます。体の機能を上手に使い、体を動かし、痩せやすい体になりましょう!
文:森 和世(エクササイズガイド)