浮気・不倫調査を手がける「HAL探偵社」の代表・浅見俊祐氏に、調査からわかったリアルな不倫実態について聞くインタビュー。
浅見:私が見た実例で記憶に残っているのは、ある男性から依頼された妻の浮気調査。その妻は、とある駅の目の前のビルに勤めていました。会社の上司と浮気していたんですが、ふたりで会社から出てくると、もうそのビルのすぐ脇の路上でべたべたと抱き合ってキスをしている。あんな人目の多いところで……とびっくりしました。
女性の恋愛にパターンはない
一般的に、男性の浮気は調査しやすいが、女性のそれはパターンが読めないだけに時間がかかることも多いという。
浅見:女性の行動パターンは読めないんですね。調査していると、電車で移動していたのに、ある駅で急に降りたりする。追ってみると、その駅まで相手の男性が車で迎えにきているわけです。事前にわかっていないと、タクシーで追うのもむずかしい。
しかも、フルタイムで働いている女性ばかりではない。パートや専業主婦であれば、昼間デートしている可能性も高い。
浅見:恋愛パターンがばらばらなんですよね。月1ペースくらいで会っている人も多いので、ずっと張っていても、なかなかデートしないケースもあります。ガードも固い。男性は浮気しているとすぐにボロを出しますが、女性は8割が出さない。証拠を掴みやすい残り2割は、もう離婚してもいいと思っている人たちですね。
ただ、なかには大胆な女性たちもいる。
浅見:マンション住まいの夫婦でしたが、同じマンションの上の階に夫の両親が住んでいて、道を挟んだ向かいのマンションに夫の姉夫婦が住んでいる。妻にしてみたら、プレッシャーの大きい環境ですよね。その妻が自宅の向かいのマンションの夫の姉夫婦が住んでる階の真下のフロアに仕事場を持ち、そこに不倫相手の若い男性を住まわせていたというケースがありました。
近所の居酒屋にふたりで行ったり、路上でキスしたり、けっこう大胆でしたね。夫は激怒して、妻と相手、それぞれに200万円を請求しました。
子どもを連れて、浮気相手とディズニーランドに行っていた女性もいるという。
浅見:子どもって、どうしてもしゃべっちゃうでしょ? だから、親戚のおじちゃんと行ったことにしてあった。夫に「親戚って誰?」と聞かれて、「はとこ」と答えたそうです。いとこだと結婚式に来たりして知っているはず。はとこなら、夫が知らなくても不思議はない。よく考えますよね。
さらに大胆な女性も。
浅見:子ども関係では、いろいろありますよ。妻の浮気相手が、中学生の息子の同級生だったということもありました。家族会議を開いて別れさせたそうですが、もちろん、息子には秘密です。
また、浮気相手の男が、ある夫婦の子を尋常ではないくらいかわいがっている。調べてみたら、その男と妻の間の子だったそうです。夫はかわいそうですよね。ただ、もっとかわいそうだったのは、結婚して妻がすぐ妊娠出産したけれど、子どもが産まれた瞬間にひと目で自分たち夫婦の子じゃないとわかったというケース……。これは忘れられません。
残り少ない独身の夜に、妻は友だちと一緒にクラブで盛り上がった。騒いで飲み過ぎて、気づいたら外国人男性とホテルにいたらしい。このケースは離婚が成立した。
妻たちは、夫より「いい男」を選ぶ
人はなぜ浮気をするのだろう。結婚とはいったいなんなのだろう。婚外恋愛の取材をしながら、私はいつもそう感じている。
浅見:基本的には、やはり夫婦間でのセックスレスとコミュニケーション不足が大きいんでしょうね。それでつい、配偶者に求められないものを婚外恋愛に求めてしまう。ただ、興味深い事実があるんですよ。夫たちの浮気相手の9割以上が、「妻より外見的には劣る」んです。つまり、彼らの奥さんのほうがずっときれい。
ただ、妻が浮気するときは、「夫より外見がいい人」「社会的地位が上の人」を選びます。男は今や性欲から浮気するわけではなく、心の安らぎを求めている。一方で、女性は自分の女としてのプライドが満たされないと恋愛しないような気がします。
実際、私自身も、婚外恋愛している女性から、「恋愛なんだから、いい男じゃなければ意味がない」とか、「満足いくセックスをしてくれない男だったら、すぐ別れる」などと聞いたことがある。女は実をとり、男は心をとるような時代になっているのかもしれない。
浅見:男にすがって寄り添っていなければ生活できない時代ではない。だから、万が一、離婚となっても、女性はまた活路を見いだして、たくましく生きていっているようです。
浅見さんのところに来る人たちは、老若男女問わず、「自分が探偵さんに頼むなんて、思いもよらなかった」と言うそうだ。
だれもが、自分たち夫婦はうまくいくと思って結婚していく。だが、実際には何が起こるかわからないのが人生。
今までは、浮気調査といえば100万円はくだらないと言われていたが、HALでは平均30万円ほど。この価格と丁寧な調査で、3年間、全国で1位の依頼者数を誇る。しかもすべて後払いだ。「ただでさえ不安を抱えてやってくる依頼者から、先に代金をとることはできない」と浅見さんは言う。
浮気調査が気軽にできるようになったことが、いいのか悪いのかは、どの立場になるかによるのかもしれない。
取材協力:HAL探偵社
文 : 亀山 早苗(恋愛ガイド)