安いお肉だっておいしくいただけます!
高いお肉がおいしいのは当たり前。でも安いお肉だから硬くておいしくないと決め付けるのは間違いです。お肉はちょっとした工夫でおいしく変身するんですよ。そんなお肉をおいしくする「ちょっとひと工夫」をご紹介します。
果物の力
酢豚によく入っているパイナップル。あれはただの飾りではありません。ご存知の方も多いかと思いますが、パイナップルの中には肉を柔らかくしてくれる成分が含まれているのです。パイナップルに含まれているブロメレインという成分が、肉の中にあるたんぱく質を分解する酵素「プロテアーゼ」に働きかけ、その酵素が肉のすじを溶かし、お肉を柔らかくしてくれる効果があるんです。これを応用して、パイナップルやパイナップルの果汁に、ステーキ肉やポークソテー用の肉などを漬け込んでおいてから調理すれば、肉を柔らかくおいしくすることができます。
パイナップルの他、キウイ、パパイア、梨、いちじくなどの中にも、同じようなプロテアーゼに働きかける成分が含まれていますので、代用することもできます。ただ一つ注意したいのは、これらの果物を使うときは必ず「生」のものを使用するということ。缶詰や加工されたジュースの場合、加工の段階で加熱処理されます。すると果物の中に含まれる酵素は効果が無くなってしまうのです。ですから、使用する果物は生の物を使ってください。
もう一つ、鶏のから揚げを作る時に活躍してくれる果物は「りんご」です。りんごには「リンゴ酸」という成分が含まれており、これもまた肉の繊維を柔らかくしてくれる効果があります。
鶏肉に下味を付ける時、醤油や酒などと一緒に少量のりんごの絞り汁を加えます。加える量は、肉500gほどに対して大さじ半分くらいで十分です。たったこれだけの事で、いつもより柔らかくてジューシーなから揚げができあがります。
調味料でひと工夫
肉を調理する前に下味を付けますが、その前の段階でほんのひと工夫。味付け前に少量の砂糖を肉にすりこんでおきます。すると砂糖の成分が肉の中のタンパク質(コラーゲン)と水分を結び付け、肉を柔らかくする効果があります。砂糖の量も少量ですから、それほど味に影響もありません。その他、酒やワインなどにも同じような効果があります。
煮込み料理の場合は、ビールやコーラ、酢などを使うのも良い方法です。酢は、酸が肉を柔らかくしてくれますので、さっぱりした煮物を食べたい時にはおすすめ。ビールやコーラに含まれる炭酸にもお肉を柔らかくしてくれる効果がありますので、飲み残しの物などがあったら肉の煮込み料理に使ってみましょう。ただし、ビールはたくさん入れ過ぎると苦くなってしまいますので、気を付けてくださいね。
焼く時にひと工夫
ステーキやポークソテーなどは、焼いている時に肉汁が外に流れ出してしまうため、焼き上がりが硬くなってしまいがち。そこで、焼く直前に薄く「片栗粉」をまぶしてから焼いてみてください。すると肉の表面が薄くコーティングされたような状態になるため、肉汁が閉じ込められ、柔らかくてジューシーに焼きあがります。コツはごくごく薄く片栗粉をまぶすことです。
文:和田 由貴