事件・事故の場合のための110番通報
本来は、交通事故を目撃したとか、ひったくり被害に遭ったとか、いわゆる事件や事故の場合に通報するのが110番です。現場にすぐに警察官に急行してもらいたいときなど緊急事態の場合です。
ところが、「運転免許証の更新のことで訊きたいことがある」といったような緊急でないたずねごとや相談事であっても通常の110番にかける人が少なからずいます。
「警察に関することならとりあえず110番」という思い込みでしょうか、しかし、そうした事件・事故以外、いわば緊急でない、警察への電話が110番にかかってしまうと、本来の緊急通報の妨げとなります。そんなときには、「110番」ではなく、「#9110~シャープキュウイチイチマル」にかけるようにしましょう。
緊急通報は「110番」、相談は「#9110」
運転免許に関してはインターネットや運転免許試験場などに問い合わせれば分かることです。事件や事故の通報とはワケが違います。
なかには、「ゴキブリが出たので何とかしてほしい」といったような、なぜ、そんなことで110番を?と疑問に思うような通報もあったりします。近くに相談する人や助けてくれる人がいないにしても、そんなことで110番通報をされては、交通事故やひったくり、侵入窃盗事件などで警察官が現場に駆けつけなければならない事件にすぐにとりかかれないことになってしまいます。
困りごとで、「警察」に相談したいことは、「ヤミ金融」や「悪質商法」に関する相談や、男女間の暴力やつきまといなど、あるいは、子どもの非行に関すること、暴力団がらみの事案(暴力団からの脅し、誘い、因縁をつけられている、金品を要求されているなど)、麻薬をやっている人がいる、拳銃を持っている人がいる、などです。
また、インターネットで中傷された、犯罪被害を受けて誰にも言えずに苦しんでいる、など、緊急ではないが、警察に相談したいことは「#9110」にかけるようにしましょう。
各警察署でも、相談の内容に応じて専門の係員が相談に乗ってくれます。また、警視庁では、「犯罪被害者ホットライン」「ヤング・テレホン・コーナー」「暴力ホットライン」「銃器薬物ホットライン」「交通相談コーナー」「ハイテク犯罪対策総合センター」など各種の相談ホットラインが設けられています。
犯罪の被害相談や情報提供など、気軽に相談しましょう。「#9110」は、プッシュホン回線、携帯電話などからかけられます。
携帯電話からの緊急時の通報は
目の前で交通事故が発生したとか、ひったくり被害に遭ったときには、持っていれば携帯電話で通報することになるでしょう。固定電話と違って、現在位置の確認に手間取るため、自分が今どこにいるのか、すぐに伝えられるように日ごろからよく考えておきましょう。
交差点なら信号機についている名称を伝えたり、通りの名称、ランドマーク的な建物の名称など、現在位置を分かりやすく伝えましょう。
住宅街などとくに目立つ建物がないあたりなどでは、電柱や塀などに貼られた「住居表示」を探したり、住宅の表札に住居表示が書かれている場合もあります。一刻を争うときに、機転を利かせられるようにイメージトレーニングをしておくといいでしょう。
文 : 佐伯 幸子