女っぷりの上がる、スーツの着こなしって?
ちょっと気合を入れたい日、きちんと感を求められるビジネスシーン、自信を与えてくれるスーツがあると心強いもの。社外の方とのミーティング、お客様のアテンド、あるいは、お詫びに伺うときなど、どんなシーンにもマッチするという意味で、スーツにまさる通勤服はありません。「何を着ていけばいいの」と慌てる前に用意しておきましょう。
スーツの着こなしでいちばん大切なことは、リクルートとは一線を画す「こなれ感」。ひとえにスーツと言っても、色やシルエットバランスで洗練度が大きく変わってきます。また、ジャケットのVゾーンの演出法もポイント! インナーやアクセサリー使いで個性とおしゃれ感を演出しましょう。
ここではビジネスシーンでより優雅に見える、「差のつくスーツ選びとコーディネート方法」について考えてみましょう。
スーツを選ぶなら素材感がおしゃれなワンボタンテーラード
■形は定番のワンボタンのテーラード
スーツ選びにおいてまず気をつけたいのは、いわゆるリクルートスーツに見えないタイプをセレクトするということ。リクルートスーツの王道は、2つボタンのテーラードジャケット+タイトスカートの組み合わせですので、まずジャケットが2つボタンのものは避けたほうが無難です。
おすすめは、シングルのワンボタンのテーラードジャケット。ワンボタンなら、前をあけても、しめてもキマるので、その分、着まわし力もアップします。
とくにおしゃれに見えるのは、Vゾーンのあき止まりがウエストより5cmくらい高めの位置で、ラペルが広すぎず、狭すぎない幅のもの。そしてウエ ストをほどよく絞った、腰高シルエットが新鮮に映ります。スカートとのセットアップならジャケットの着丈がミドルヒップくらいのもの。パンツとのセットアップならジャケットの着丈がヒップまわりよりやや下くらいのものを選びましょう。
「シングルのテーラードスーツはもう何着か持っている」という人が多いと思いますが、シーズンごとにVゾーンのあきや、ラペルの形や大きさ、着丈は確実に変わるので、3年以上前に購入したスーツは、古臭い印象になってしまうかもしれませんので注意が必要です。
■スーツの素材選び
大人の余裕を光らせたいなら、スーツの素材選びにもこだわりましょう。これも、「リクルートスーツ」に見えるか見えないかの大切な要素といえます。
一般的なリクルートスーツは、ややハリのあるフラットな織りの生地が使われています。一歩先行くスーツを選ぶなら、ポリエステル混など、とろみのある素材のものを選びましょう。体の動きについてくるので肩がこらず、物腰もやわらかく見えます。また、「ポンチ」と呼ばれるジャージー素材のものもおすすめです。
■色選びはベーシックカラーを
シンプルなスーツは、スカーフやアクセサリーで、Vゾーンの印象をいくらでも変えることができます。なので、色は、どんなインナーにも合いやすく、どんなシーンでも着やすい黒、ベージュ、グレーなどのベーシックカラーが無難と言えます。
黒色でジャケット+タイトスカートの組み合わせはリクルートスーツの王道なので、ジャケット+スカートの組み合わせで新調したいなら、黒以外の色を選ぶほうが洗練されて見えます。
■ボトムの選び方
スーツのボトムは、ジャケットをオフして単体でも活躍するアイテムです。スタイルアップして見えるデザインにこだわりましょう。たとえば、ウエストカバーができて女性らしいラインになるタック入りスカート、もしくは、センタープレスで裾に向かって細くなるテーパード型のパンツなどは、今っぽく着こなせてスタイルアップも目指せます。
■上級者向けのスーツの選び方
ガウチョやワイドパンツのスーツ、カラースーツなど、ちょっとレトロなスーツの人気も高まっています。インナーのコーディネートだけでなく、スーツ自体も上級者の着こなしを目指したい人は、チェックしてみてください。
スカートスーツの着まわしテクニック
まずは、ライトグレーのスーツをベースにした着まわしコーディネートをご紹介しましょう。
ぺプラムジャケットとAラインのタックスカートを組み合わせたスーツは、シンプルに着るだけで、ウエストをほっそり、スタイルよく見せてくれる理想のシルエット。袖を折り返すと、華奢な手首がアピールできて、フェミニン度がアップします。
そして、スーツの着まわし上手になるためには、朝、自分なりにテーマを決めて、コーディネートしてみるのがおすすめ。
たとえば、「今日は頼れる先輩風」、「可愛い後輩のイメージ」という漠然としたイメージでOK。そのイメージをもとに、1着のスーツを「エレガント」に、次に「スイート」にと、スタイリングしてみましょう。
「先輩風」のエレガントな着こなしに見せるには、インナーになじみ色でソフトな素材のものを合わせて。逆に、「後輩風」のちょっとスイートな着こなしに見せるには、インナーに濃いめの色を効かせると効果的です。
そして、ジャケットに別のスカートを合わせる時は、セットアップになっていたスカートに近いシルエットのものを選ぶと、バランスよく決まります。たとえば、このスーツのボトムにパンツを合わせるなら、Aラインに近いシルエットのガウチョなどだと失敗しません。
また、最近は上下をスーツにするより、ジャケットを着ていればOKという緩めのドレスコードの会社も増えているようですが、インナーとスカートをセットアップにするのも今っぽいアレンジテクニックのひとつです。
ジャケットを脱ぐとこのとおり。セットアップだけで着ると、よりフェミニンな雰囲気。ちょっとしたパーティーや会食はもちろん、オフの日のデートやお出かけにも着まわしできそうです。
このように、「大人めエレガント」と「可愛いスイート」という両極端な着こなし方法がマスターできればしめたもの。あとは、これをマイナーチェンジしていけば、いろいろな顔に着まわせます。
パンツスーツの着まわしテクニック
今回の着まわしのベースにする、ブラックのパンツスーツは、無駄をそぎ落としたシンプルなデザインで、ストレッチの効いた素材が洗練スタイルを実現してくれる一着。
あえてカジュアルなインナーを合わせたり、遊び心のある大ぶりアクセサリーを合わせることで、着こなしに幅が出そうです。さっそくチャレンジしてみましょう。
天竺素材が気持ちよいストライプシャツをパンツスーツに合わせると、シャープななかに軽快さが生まれました。このようなマニッシュな着こなしは、襟元に華奢なアクセをプラスすることで、ほどよく女らしさが加わり、奥行きが出ます。
内勤の日はジャケットをぬいでいても、襟付きのトップスがあればキッチリとした印象にもなります。
さらに、ボーダーTシャツを合わせてみると、さらにカジュアルな印象になりました。全身がモノトーンのコーデには、大ぶりのゴールドのネックレスを合わせると、おしゃれ度が加速します。
スカートスーツと同じく、黒のジャケットは、パンツを変えて楽しむのも手。そして、やはりセットアップのパンツと近いシルエットをセレクトするほうが、無難です。この黒ジャケットのように、シンプルでコンパクトなシルエットなら、比較的、バランスのとれるボトムの幅が広くなります。
ジャケットをぬげば、またまた印象チェンジ。とろみ素材のシャツを合わせているので、大人らしさもキープできています。黒ボタンがタテラインを強調し、スッキリと見える効果もあります。
インナーの色柄バリエでスーツの印象を変える!
デスクワークの多いオフィスにおいて、スーツの着こなしに差がつくのが上半身。だから、Vゾーンのおしゃれが重要です。クール、カジュアル、エレガントといった、いろいろなテイストのインナーを揃えて、着こなしバリエを増やしましょう。
■デザインシャツで脱「リクルート」
まず着こなしの基本として持っていたいのが、襟を立てて着られるシャープなシャツ。いわゆる白のカッターシャツはリクルート風になりがちなので、デザイン性のあるシャツをセレクトしましょう。
■インナーの色合いでスーツの印象を変える!
インナーの色はスーツのなじみ色だけでなく、効かせ色の両方持っているのが理想です。フェミニンなピンク系、知的に見えるブルー系は、気分や用途に合わせて雰囲気を変えられるので、持っておくと便利なカラーバリエーションです。
エレガントに見せるにはインナーになじみ色でソフトな素材のものを合わせる。逆に、カジュアルに見せるには、インナーにピリッと効かせ色を合わせるのが効果的です。
■白トップスはトレンドの素材感にチェンジ
白のトップスは、男性のワイシャツと同様、明るく素直で清潔感をアピールできるオフィスルックの定番ですが、レース、シースルーなど、素材の質感で遊びをプラスすると垢抜けてみえます。
さらには襟元のカタチのバリエーションもあると頼もしいですね。丸首はアクセサリーが映えますし、胸元のギャザーやフリルは女性らしいスタイルに見せてくれます。このほかには、すっきり見せてくれるVネックニット、ライトなカジュアル感を演出できるタートルニット、などもあると、さらに着まわしが楽しめます。
持っておきたい、顔周りの印象を変えるネックレス
インナーにプラスする小物として持っていたいのがネックレスのバリエーションです。シンプルなニットやカットソーに、ネックレスを合わせるだけでも、また違った印象にシフトできます。
・カジュアルにもエレガントにも演出できるパールネックレス
・シルバーとゴールドのコンビの華奢ネックレス
・ゴールドのロングネックレス
・大粒ビジューのネックレス
……こんな4種類ほどそろえておくと、あらゆるインナーに対応できるはずです。パールのロングネックレスは、左上の画像のように、襟のようにアレンジして付けてみても新鮮。シルバーとゴールドのコンビは、パステル系から濃色まで、様々な色のインナーとマッチするお役立ちアクセです。
もし、手持ちのネックレスがもっと存在感のあるデザインだった場合、ジャケットの前ボタンをとめて、ほんの少しVゾーンから覗かせてみるのはいかがでしょうか? これだけで、表情がぱっとアカ抜けて見えるはず。
手持ちアイテムどんどん合わせて実験しましょう!
1枚のスーツを上手に着まわせたら、まるでワードローブに新しいお洋服が増えたような、嬉しい気分になることうけあい。そして何よりも、スーツを美しく個性的に着こなしている姿は、女っぷりも上がって見えます。
男性に対して、「スーツ姿は、2割増しでカッコよく見える」と言う女性は多いですが、これは女性にも言えること。なぜなら、スーツは、知的に上品に、そしてすっきりスタイルよく見せてくることが多いのです。インナーのコーディネートに少し頭を使えば、簡単に「2割り増し」のあなたになれるはずです!
取材協力 : 22 OCTOBRE(ヴァンドゥー・オクトーブル)/NATURAL BEAUTY(ナチュラル ビューティー)/HASUNA(ハスナ)/BOSCH(ボッシュ)(※五十音順)
撮影 : 高嶋佳代
文 : 高橋 祥子