アンチエイジングを考える上で重要なのは、自分の老化を知ること。そこで、平均的な日本人女性の老化とあなた自身の老化を比べて、自分のウィークポイント、つまり「加齢ポイント」を探してみましょう。
下の写真は、20代~60代までの日本人女性の「平均顔」という研究結果から作成された合成写真(北海道情報大学情報メディア学部准教授・向田茂先生らが、年代別に100人の顔写真を集め、特徴を合成したもの)。この「平均顔」から、加齢による顔の変化がよくわかります。また研究を通じて、老けた印象は筋肉が衰えて顔のパーツやラインが下がることに大きく影響されることがわかりました。
シャープで顔の印象が強い20代
20代の平均顔を見ると、目、鼻、口、眉毛などの顔のパーツがはっきりとしており、あごのラインもスッキリとしています。顔の上半分に重心があり、顔の凹凸もしっかり出ているので正面から見ても立体感があります。
顔全体が丸味を帯びる30代
20代に比べて目尻の位置や口角がやや下がっています。頬の下側に肉がつき、あごのラインも丸みを帯びています。この影響で20代で顔の上半分にあった重心が、ちょうど顔の真ん中あたりに下がった印象を与えます。
顔のパーツがかなりたるむ40代
目尻が下がり、鼻が横に広がっています。上唇が薄めになって、口角もさらに下がり気味に。あごのラインも横に広がった印象で、顔全体がさらに下重心になることで重たい雰囲気になります。
顔の立体感がなくなる50代
目尻、口角などがさらに下がり、20代ではシャープだったあごの尖りも見えなくなり、丸みを帯びて輪郭がはっきりしません。鼻が低くなって顔の立体感が少なくなりました。
全体的にぼんやりと印象が薄くなる60代
目尻、口角も顕著に下がり、唇がかなり薄くなります。顔の立体感もなくなり、あごのラインもぼんやりして全体的に印象が薄い感じに。やさしそうに見える反面、20代のきりりとしたシャープなイメージはなくなります。
目元、口元、あごが老け顔の元凶
ここでご紹介した平均顔にはシミ、シワなどを加えていませんが、それらがなくても10年という歳月で、女性の顔が変化していく様子が顕著にわかります。顔の変化をチェックしつつ、老いを感じさせる「加齢ポイント」をまとめてみましょう。
■目と眉
年を取るごとに下がっていきます。特に目は年齢を感じさせやすく、30代~40代では目尻の下降だけだったものが、50代以降になると、まぶたもたるんで目全体が下がって小さくなったような印象を与えます。眉毛もどんどん薄くなり、目の周辺全体がぼんやり。
■唇
40代頃からまず上唇、そして唇全体のボリュームとハリがなくなります。50代以降は唇のシワや口元周辺の縦シワ、60代では唇のハリとみずみずしさがなくなり、カサカサとしてさらに老けた印象に。
■口角
30代から口角が下がり始め、60代になると口元が下がって「へ」の字に。口のまわりの筋肉が衰えることで、頬の肉を支えられなくなり、老け顔の元凶であるホウレイ線が深くなる。
■あご
30代からは、あごのライン・顔全体の輪郭が丸くなり、二重あごに。あごは脂肪が溜まりやすく、脂肪の重さでたるみがちになるので、基礎代謝の落ち始める40代から注意が必要です。
■パーツの配置
20代では目の周辺にあった顔の重心が、年齢とともにどんどん下降。また顔のパーツが20代では鼻中心だったのに、40代から徐々に年齢とともに外に散らばって印象が希薄になります。
このウィークポイントを克服できれば、若々しい印象を作るのも簡単ですね。そこで、年代別にメイクでカバーする方法を簡単にまとめてみました。
30代のメイク重点ポイント:マスカラとチークで上向きに
■アイラインを上向きに
目尻をやや上向きにするように、アイラインを入れます。ただし目元の印象はまだ十分強いので、黒く縁取らずにぼかしましょう。
■まつ毛アップでマスカラたっぷり
30代のうちはアイラインに頼りすぎずに、ビューラーでまつ毛をアップさせてから、マスカラをたっぷり塗りましょう。特に下がり気味の目尻側のまつ毛を根元から立ち上げるようにして、しっかり持ち上げます。そこにマスカラをくっきりと塗ると、アイラインよりもナチュラルでセクシーな印象に仕上がります。
■チークで顔の重心を上に
下がり始めた顔の重心もチークで上げましょう。頬の一番高い部分よりもやや上から目尻に向かって逆三角形を描くように、頬のラインをシャープに描くと効果的です。
40代のメイク重点ポイント:頬と唇に立体感を出す
■目元にハイライトを
鼻をシャープに見せて目元をスッキリさせるためにも、アイラインに加えて、ハイライトを上手に取り入れましょう。眉間のやや上の部分とまぶたに明るいファンデーションや、白っぽいシャドーをぼかして塗れば、ぐんと立体感が出てきます。
■上唇の輪郭をくっきり
上唇の輪郭をはっきりさせるために、濃い目のリップライナーを使いましょう。
50代のメイク重点ポイント:顔のパーツラインをくっきりと
■チークであごのラインをシャープに
ぼんやりした輪郭をシャープに見せるためにも、あごの輪郭に沿って、チークや少し濃い目のパウダーをブラシでつけましょう。
■目と眉の形をくっきり整える
また目元の印象を強めるために、アイブローとアイライナーで、眉と目の形を整えましょう。
60代以降のメイク重点ポイント:リップグロスで若々しい口元に
■口紅でグラデーションを
薄くなった唇を寂しい印象にしないためにも、リップライナーで口の輪郭をしっかりと描き、唇の外側を濃い色の口紅で塗り、内側にはすこし明るめの口紅を使います。
■リップグロスをフル活用
リップグロスも活用して、口元を若々しい印象に仕上げましょう。
最後に、人間は人の年齢を推定するとき、無意識に「髪」「肌」「シミ」「シワ」「たるみ」「姿勢」「プロポーション」「話し方」「声」「服装」などを観察し、それらを総合して年齢を判断するものです。どの年齢にも共通して言えることは、1カ所だけを若く見せようとしても、不自然に見え、悪印象を持たれてしまいます。全体のバランスと自分らしさを生かしながら、好感を持たれるアンチエイジング・メイクを心がけましょう。
文:宇山 恵子(アンチエイジングガイド)