美肌になるいちばんの近道をご存知ですか? それは夜寝る前のスキンケア、「夜美容」をじっくりと行うこと。これによって眠っている間に、肌老化の原因になる「乾燥」から肌を守り、お疲れ気味の古い肌から、生まれたての新しい肌に、きちんと「ターンオーバー」させることができるのです。
20代後半から始まる肌老化には「夜美容」が大切
肌の乾燥が気になり出したら、肌老化が始まったサインです。赤ちゃんは体全体の70~80%が水分で、ハリやうるおいに満ち溢れています。けれども30代を過ぎると水分は50%まで落ち込んでしまい、ちょうどこの頃、肌のかさつきや乾燥など、肌質の変化、つまり肌老化を感じ始めます。
睡眠中の肌修復のための準備が「夜美容」
さらに肌の「ターンオーバー(生まれ変わり)」にも、この頃から遅れが見られるようになります。20代半ばまでの若い肌の細胞は、およそ28日で、古いものから新しい細胞に生まれ変わっていきます。
ある研究によると、30代では40~50日、50代では 50~70日も。肌の生まれ変わりに時間がかかるようになってしまうそうです。この原因は、肌の代謝を促進する「ヒト上皮細胞再生因子(EGF)」という成分が、年齢とともに減ってしまうことで、肌の再生能力が低下するためです。
こうして肌の細胞が生まれ変わる周期が長くなると、使い古した細胞が、いつまでも肌に残ってしまい、くすみや黒ずみ、シワ、乾燥など、肌老化のサインが目立ち始めます。
この2つの肌老化から大切な肌を守るために必要なのが、夜寝る前のスキンケア「夜美容」だと私は考えます。その理由は、眠っている間に、私たちの肌は昼間受けた紫外線や乾燥などによる肌ダメージを修復しているからです。だから、睡眠中の肌メンテナンスをスムーズに行えるように、寝る前にしっかりと肌にエネルギーをチャージしてあげておくことが大切なのです。
夜美容のポイントは肌と体を「ほぐす」こと
私が実践している「夜美容」は、「ソフトタッチ肌ケア」、「ゆるストレッチ」、「頭皮マッサージ」の3つ。タイミングとしては、ゆっくりとお風呂に入って肌の汚れを落とし、血行も良くなって、体がふんわりと柔らかくなった入浴後がベストです。
柔らかい刺激で肌を癒す
まず「ソフトタッチ肌ケア」です。肌は温かくて滑らかな刺激が大好きです。たとえば赤ちゃんや子供の肌に触れると、幸せな気分になりますよね。ペットのふさふさの毛並みに触れても癒されます。反対にザラザラした固い感触や痛みが伴う接触に対しては、緊張が走ってストレスを感じてしまいます。
ですから夜美容のスタートは、自分の手をしっかり保湿して温めた状態にしてから、全身を隈なくタッチすることです。マッサージという言葉を使うと、ついつい力が入ってしまうものですが、私が実践している肌ケアは、保湿成分をたっぷり含んだクリームやオイルで、全身の肌を包み込んであげること。
睡眠中の肌乾燥を防ぎ、栄養を補給
こうすることで、眠っている間に、肌の表面から大切な水分が蒸発することなく、肌の生まれ変わりをサポートしてあげられるのです。さらに、肌に気持ちいい刺激を与えることで、肌の表面にある毛細血管の血行を良くして、栄養や酸素を送り届けることができ、新しい細胞をつくる材料をチャージしてあげられるのです。
ルールは簡単。まず「温めた滑らかな手で行う」こと。強すぎるマッサージではなく、「肌の表面を隈なくやさしく触れる」こと。そして「摩擦が生じないように、保湿成分やうるおい成分がたっぷりのクリームやオイルを使う」ことです。この3つのルールを守って、寝ている間に美肌を育てましょう。
首と肩を楽にするストレッチ
次に行うのは体をほぐす「ゆるストレッチ」。体を柔らかくするのではなく、体の力みを取り除くことで、滞りをなくし、全身の血液やリンパの流れをスムーズにします。滞りやすい体のポイントは、首、肩、股関節の3つ。
背筋ストレッチ
これを無理なくストレッチする簡単な方法は、あぐらをかいて背筋を伸ばした状態で頭上で両手を組み、上半身を左右にゆっくりと傾けながら、「背筋ストレッチ」。これで、肩や首のほかに、ウエストやお腹、股関節のコリをほぐすことができます。
ウエスト、お腹、股関節をほぐすストレッチ
開脚ストレッチ
次にウエスト、お腹、股関節を伸ばすストレッチ。脚を軽く開いて座り、上半身を左右に伸ばす「開脚ストレッチ」です。
開脚してストレッチすることで、腹筋の力を使うことができ、お腹ぽっこりも解消できます。さらに女性が悩みの多い骨盤の中のコリや滞りを改善してくれます。骨盤はしっかりと立てた状態でストレッチを毎日続けると、骨盤のゆがみや傾きをきれいに整えることができますよ。
前屈ストレッチ
最後に「前屈ストレッチ」。片脚を伸ばして座り、もう片方の脚は曲げた状態で、息を吐きながらゆっくりと上半身を前に倒します。猫背にならないようにして、お腹を太ももにくっつけるように前屈します。反対側も同じように行います。
最初はカチカチで柔軟性のない体でも、地道に続けることで少しずつ開脚できるようになるので、体の変化を楽しむことができます!
枕の上で仕上げの頭皮マッサージ
最後の仕上げは、寝る前に頭皮をマッサージすること。明るいライトやパソコン、携帯電話の光などは消して、薄明かりの中で、自己流でOKなので、頭皮を軽くマッサージします。
仕事の緊張やストレスで頭皮が固くなったまま眠ると、血行が悪く、肌や髪をつくるための材料が届きません。やさしく緊張をほぐすように頭皮に触れながら、眠りに就けば、きっと次の日の朝は、気持ちよく目覚め、全身の肌がしっとりと美しく生まれ変わっているはずです。
文:宇山 恵子(アンチエイジングガイド)