ガクッとくる疲れ……
「あぁ、疲れたぁ……」と思わず口に出てしまうことはありませんか? ネガティブな疲れをつぶやくことに良い印象を持たない人も多いかもしれませんが、口に出して「疲れ」を表現し、グチることも、時には必要です。
「自分の疲れを周りに伝えると、不快な気分にさせてしまうかも……」と、周りを気づかうことも大切かもしれませんが、疲れを隠してため込み続けたり、疲れた自分に気付かないふりをしたりしていると、のちのち急な不調となって重大な影響を及ぼすことになりかねないのです。
多忙な人は要注意! 見逃しやすい体からの緊急サイン
実は「疲れを隠してしまう」「疲れが隠れてしまう」という状態は意外と多いものです。仕事に追われて多忙極まりない人は、疲れを感じていても「やるしかない」という意識になりがちで、疲れから意識を逸らせ、やり過ごしてしまう……ということも少なくないでしょう。
また、たとえ疲れていたとしても、疲れが表に出ないのは元気でパワーがみなぎっている証拠だと良いように解釈する方もいるかもしれません。
しかし、これはとても危険なことなのです。そもそも疲れを感じるということは、体からの危険を知らせるもの。「そろそろ体を休めないと、体調を崩しますよ」「それ以上頑張っても、集中力も途切れて、仕事の能率が低下しますよ」といったサインでもあるのです。
小さな体調不良が続くのは「隠れ疲労」が原因かも
「疲れ」の感じ方には個人差があります。本当はとても疲れているのにさほど疲れを感じないということは、多少の無理がきく体として他人にも自慢できそうですね。しかし、「疲れ」の実感をぼやかしてしまうと、急激にガクッと体調を崩す可能性を高めてしまうのです。
疲れの感じ方に個人差がある理由には、心理的な作用が関わっています。例えば、睡眠不足で仕事の疲れがなかなか抜けなくても、「明日は大好きなゴルフに行くんだ!」とワクワクしていると、早朝にも関わらず頭もスッキリ目覚めてしまうのではないでしょうか? このように好きなことに対しては、疲労をさほど感じなくなる、というケースは少なくありません。
しかし、この例でいえる危険なポイントは、「疲れを隠してしまった」ということ。もちろんリフレッシュも良いですが、本来であればゴルフに行かずゆっくり休息をとり、疲労回復に充てる時間を持つべきなのです。
好きなことができるといった楽しい気持ちは、疲労を感じる体からの危険シグナルを鈍らせてしまいます。疲労が回復しないまま、また1週間がスタートする……となると、体力や気力はキープできるのでしょうか?
連日の残業で寝不足が続いているような過酷な状態に直面しても、「気持ちを切り替えれば大丈夫!」と自分を今以上に頑張らせ、気合いで乗り越えてしまう人こそ「隠れ疲労」に陥りやすいのです。過酷な状況を乗り越えること自体を「楽しい!」と感じることができる人でも、そういった気持ちとは裏腹に、体は「休みたい……寝かせてほしい」と疲労回復を要求しているかもしれません。
「隠れ疲労度」セルフチェック
以下の項目で当てはまるものが多いほど、隠れ疲労状態に陥りやすいタイプ。最悪の場合は、突然倒れてしまい過労死に……なんていうことにもなりかねません。いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
・多少疲れていても、楽しいイベントなどに参加すると疲れが消える
・人から頼られると、はりきって頑張るタイプだ
・大きな課題を成し終えたあとの達成感や充実感は、たまらなく好きだ
・自分へのご褒美があれば、つらいことでも乗り越えられる
・休日は、なるべく遊びや買い物など外出をするようにしている
・寝ている時間がもったいなく感じるので、眠くても起きて趣味などの時間に充てている
・責任感のある仕事を任されていて、今、まさにやる気に満ち溢れている
みなさんはいくつ当てはまりましたか? そのまま下に進んで、自分のライフスタイルや1カ月のスケジュールを客観的に見直してみましょう。
大切なのは、のんびりする時間……心身の積極的な休養を
客観的に自分の行動を見てみないと、その頑張り過ぎの状態に気が付かないことが「隠れ疲労」によって倒れる人の問題点でもあるのです。下記のような傾向がみられる場合、空き時間があれば、積極的に「身も心も休ませる」に徹してください。
・睡眠不足になりがち
・ぼ~っとリラックスする時間が足りない
・食事をきちんととる時間が少ない
・心身を活動的に維持している時間が長い
・休息時間や疲労回復時間が少ない人で、健康のためと称して毎週スポーツに励んでいる
リフレッシュはもちろん大切ですが、ストレス解消のためにとあちこち遊び回るのもほどほどに。時には体の力を抜きながら、のんびりと過ごすことも大切なのです。
文 : 檜垣 暁子