相葉雅紀
●『志村どうぶつ園』のプリンちゃんが危ない! 動物園で「強要的なショー」か('20年7月4日配信)
●相葉雅紀の『どうぶつ園』 視聴率優先で軽視した“絶滅危惧種への感染リスク”('20年12月12日配信)
服を着せて補助輪のない自転車に乗せる調教は……
「番組を見ながら撮影場所を確認すると、カドリー・ドミニオンの駐車場で、一般道との間には塀や囲いはなく、少し走ったら敷地外に出られる場所でした。特定動物(チンパンジー)を、許可を受けた飼養保管施設から出して撮影すること自体は違法ではないですが、十分な強度を有する首輪や引綱(リード)などをつけて、自治体に届け出を出す必要があります。ただし、撮影時間が1時間未満の場合については、この限りではありません」
《動物に演芸をさせる場合には、演芸及びその訓練は、動物の生態、習性、生理等に配慮することとし、動物をみだりに、殴打し、酷使すること等は、虐待となるおそれがあることを十分認識すること》
《撮影方法 動物本来の生態及び習性に関して誤解を与えるおそれのある形態による撮影が行われないようにすること。また、撮影の時間、環境等を適切なものとし、撮影動物に過度の苦痛を与えないようにすること》
「服を着せて補助輪のない自転車に乗せる調教をすることは、動物の生態、習性、生理などに配慮していない不自然なものなのでアウトですし、別に殴ったりしていなくても、いちいち恐怖やストレスを与えるようなことをさせなくていいでしょう。プリンちゃんに自転車を教えようとして、補助輪を外した状態で何度もこがせていましたが、そのたびに自転車が倒れそうになっていました。プリンちゃんを脅かすような撮影は、規定にも違反しているのではないかと考えます」(東さん)
プリンちゃんを引退させたい熊本県
「撮影時、引綱(リード)はなく、逸走防止の検討がなされていなかったため、次の指導を行いました」
●チンパンジーは特定動物であることから、逸走しないよう対応を考慮し、動物取扱責任者の監督のもと、撮影を行うこと。
●施設複数箇所に連絡網を掲示し、緊急時にスタッフが関係機関に連絡が取れる体制を整え、安全確保に努めること。
●特定動物の年齢に応じた適切な行動抑制法を検討し、人の生命や身体等に害を加える恐れがないよう適切な飼養管理を行うこと。
「『動物の愛護及び管理に関する法律』及び『展示動物の飼養及び保管に関する基準(環境省告示)』、『特定動物の飼養又は保管の方法の細目』を遵守するよう通知しています」(健康危機管理課動物愛護班)
「文書が出たことは少し驚いたのですが、カドリー・ドミニオンは、過去にプリンちゃんのお父さんであるチンパンジーのパンくんによる人身事故を起こしているので、熊本県はプリンちゃんをなるべく早く引退させたいようです。チンパンジーは野生動物であり、家畜化された犬などとは違います。成長に伴い力も強くなるので、通常は数歳でショーから引退させることになるのですが、パンくんは10歳までショーに出されていて事故につながりました。
保健所はプリンちゃんを早く引退させるように指導しているそうなのですが、いつ引退させるかということを、カドリー・ドミニオン側はこれまで示していないようです」
法令遵守の“再徹底”
「“再”というのは、もうパンくんのときのような事故を起こさないようにという意味。こちらも確認したのですが、自転車の撮影では届けが出ていませんでした。カドリー・ドミニオン側は撮影が1時間未満だったと言ったそうですが、番組を見る限り、補助輪を外したり付けたりしていますから、とても1時間未満とは思えません。むしろ長時間の撮影はかわいそうだなと思いました。保健所は、今後撮影する際には必ず事前に相談するようにと指導したとのことです」(東さん)
「カドリー・ドミニオンからは、昨日(指導が入ったことについての)報告を受けました。今後も引き続き、動物の安全や健康に配慮しながら番組制作をしてまいります」