監修:清水なほみ先生
妊娠中の超音波検査でエコー写真をもらうことがあるでしょう。エコー写真は赤ちゃんの様子を確認することができますし、いつまでも保管していきたいものですよね。
妊娠20週以降になると、場合によっては赤ちゃんの性別を確認することができるようになります。妊娠の経過ごとにエコー写真を詳しくみてみましょう。自分が当てはまる妊娠週数のエコー写真をチェックしてみるのもよいかもしれません。
エコー写真とは?
エコー写真とは、妊婦健診で行われる超音波検査の結果を映し出した写真です。平面画像の2Dエコー、立体的な静止画像の3Dエコー、3Dエコーの動画版4Dエコーとエコー写真の種類もさまざまです。
エコーでわかるおなかの赤ちゃんの様子や妊婦さん自身の健康状態、出産予定日などさまざまな項目がエコー写真に書かれていますが、エコーをしながら先生が解説してくれることもあります。
エコー写真について不明な点は、妊婦健診時に確認してみるとよいでしょう。
エコー写真の種類
エコー写真には平面画像の2Dエコーと立体的な3Dエコーがあります。さらに立体的な動画の4Dエコーまであり、医療が進歩するとともにエコー写真もますます見やすくなっています。
■2Dのエコー写真
2Dのエコー写真は平面の超音波写真で妊婦健診では一般的に利用されているものです。超音波に反射する骨は白く写り、反射しない羊水や血液などの液体は黒く、筋肉や内臓、脂肪はグレーに写ります。
妊娠初期の超音波検査では経膣法で膣に近い部分の観察をしますが、妊娠中期以降になると経腹法でおなか全体の観察を行うようになります。
■3Dのエコー写真
3Dエコーは経腹法で行われます。3Dでは三次元(長さ、幅、奥行き)超音波で胎児の様子を確認するため、2Dエコーで見たときよりも立体的に表現されます。
赤ちゃんの表情や仕草もわかりやすく、角度によっては顔がはっきりと確認できるかもしれません。
■4Dのエコー(動画)
4Dエコーは3Dエコーと同じく経腹法で使用されます。4Dのエコーは、静止画像である3Dエコーが動画になったもので、おなかの赤ちゃんの表情やしぐさなどリアルな動きを確認することができます。
おなかの中で動く赤ちゃんを感じるだけでなくエコーで動きを見ることができるのでとても感動しますよ。4Dエコーを導入している病院の中には、妊娠10週くらいから検査を行うことが可能なところもあるため、希望する場合は受診する前に確認をしておくとよいでしょう。
エコー写真でわかること
エコー写真では正確な妊娠週数の特定、おなかの中にいる赤ちゃんの様子や特徴などを確認することができます。妊娠中期になると、赤ちゃんの各臓器の発達を確認したり胎盤トラブルをチェックしたりするためにも重要な役割を持っています。
赤ちゃんの位置や動きによりますが、妊娠17~18週以降になると性別が判別できることもあるため、一度の超音波検査で赤ちゃんがよく見えなくても、時期をずらして検査を受けてみるとわかるということもありそうですね。
■男の子のエコー写真
上の写真は妊娠5ヶ月の頃のエコー写真です。超音波検査をするときにタイミングよくしっかりと足を広げてくれていると、股の間が確認しやすいですよね。
超音波検査をする中で性別がわかった場合は、わかりやすいアングルでエコー写真を撮影してくれるかもしれません。
■女の子のエコー写真
女の子のエコー写真では股の部分に割れ目が見えることもあります。ただし、へその緒が写りこんでよく見えなかったり胎児が足を閉じていたりすることも考えられるため、一回の超音波検査では判断が難しい場合があります。
妊娠中の経過別エコー写真
妊婦健診の超音波検査で赤ちゃんの姿を見るのはとても楽しみなものです。毎度違う姿を確認することができる超音波検査は、赤ちゃんの成長だけでなく体の異常なども確認するためにとても大切な検査です。
妊娠初期から出産までのエコー写真を見比べて赤ちゃんの成長の軌跡をたどってみるのもよいかもしれません。
■妊娠2ヶ月(妊娠4週~妊娠7週)のエコー写真
妊娠2ヶ月にあたる妊娠4週目~妊娠7週目のエコー写真では、赤ちゃんの入っている袋の胆嚢だけが確認できます。
このエコー写真だと中央部分に写っている黒色の影が胎嚢で、この中に赤ちゃんがいます。この時期、胎嚢の中の赤ちゃんは二頭身で「胎芽」と呼ばれており、妊娠2ヶ月後期には心拍確認ができることもあります。
■妊娠3ヶ月(妊娠8週~妊娠11週)のエコー写真
妊娠3ヶ月にあたる妊娠8週目~妊娠11週目のエコー写真です。黒い袋の中にしっかりと赤ちゃんの姿が確認できますね。
この頃になると、赤ちゃんの心拍確認ができるようになり、胎芽から胎児と呼ばれるようになりなります。10週以降の超音波検査では、手足の運動を確認できるようになります。
■妊娠4ヶ月(妊娠12週~妊娠15週)のエコー写真
妊娠4ヶ月にあたる妊娠12週目~妊娠15週目のエコー写真です。この頃の赤ちゃんは、頭と体の部分が区別され内臓の形成はほぼ完成します。
エコーをしているときに手足を動かしている姿や、場合によってはおしっこをしている姿を確認することができます。この頃のエコー写真は全身が映る貴重な時期です。
この時期になると、3Dや4Dエコーで赤ちゃんの様子を確認する病院もあります。まだ赤ちゃんが小さく、へその緒まではっきりと確認することができます。頭と胴の区別ができて人間らしい形になっていますね。
上の写真は4Dエコーの写真です。病院では動画で赤ちゃんの動きを確認することができます。
■妊娠5ヶ月(妊娠16週~妊娠19週)のエコー写真
妊娠5ヶ月にあたる妊娠16週目~妊娠19週目のエコー写真です。この時期になると性別がわかることがあります。
妊娠5ヶ月になるとエコー写真で映し出される部分は、胆嚢よりも赤ちゃんの方が多くなってきます。赤ちゃんが向く方向によっては性別がわかったり、表情がエコー写真でしっかり見えたりと楽しい時期です。
■妊娠6ヶ月(妊娠20週~妊娠23週)のエコー写真
妊娠6ヶ月に入ると赤ちゃんの外見は新生児に近づきます。頭蓋骨や脊髄、肋骨といった骨がかたくなり骨格がしっかりしてくるでしょう。
上の写真は妊娠20週くらいのときのエコー写真です。この頃になると、エコー写真でも赤ちゃんの背骨がはっきりと見えるようになります。赤ちゃんは成長し、エコー写真に全身が納まらないくらいまで大きくなっていることがわかります。
妊娠6ヶ月になると3Dや4Dエコーを受けることができる医療機関が多くなります。立体的なエコー写真を見ることができるかもしれません。3Dや4Dエコーの写真では、はっきり顔が見えると両親のどちらに似ているかまでわかることがあります。
■妊娠7ヶ月(妊娠24週~妊娠27週)のエコー写真
妊娠7ヶ月になると赤ちゃんは大脳が発達し、自分の意志で体の動きを調整できるようになります。また、味覚や嗅覚の発達やまぶたができることによって目を開いたり閉じたりすることも可能となります。
妊娠初期のエコー写真と比べても大きく成長した姿を確認することができてうれしいですね。
■妊娠8ヶ月(妊娠28週~妊娠31週)のエコー写真
妊娠8ヶ月はおなかの赤ちゃんは40cmを超え、体重も1,500gを超えてくる時期です。赤ちゃんはほとんどの器官が完成に近づき、目の網膜が完成することで明るさを感じることができるようになります。
エコー写真の角度や、撮影するタイミングによっては喜怒哀楽の表情が見られるかもしれませんよ。上の写真では表情は見ることができませんが、手で顔を隠しているようにも見えますね。
■妊娠9ヶ月(妊娠32週~妊娠35週)のエコー写真
妊娠9ヶ月になるとおなかの赤ちゃんが大きくなり、エコー写真ではもう赤ちゃんの全身を見ることはできません。徐々におなかの中が狭くなる赤ちゃんは動きにくくなり、胎動も少し減ってくる頃です。34週頃には肺が完成し、いよいよおなかの外に出てくる準備を始めます。
■妊娠10ヶ月(妊娠36週~妊娠39週)のエコー写真
妊娠10ヶ月は臨月です。赤ちゃんは全ての器官が完成し、頭が骨盤内へと下降して位置が固定される時期です。もう顔もしっかりと見えるようになっており、生まれてからエコー写真と見比べるのが楽しみですね。
エコー写真は大切に保存しておきましょう
赤ちゃんのエコー写真はいつでも撮れるようなものではありません。赤ちゃんがおなかの中にいる約10ヶ月間しかみることのできない貴重なものですので、大切に保管しておきましょう。
最近ではエコー写真をアルバムにして保存できるサービスもあります。赤ちゃんが大きくなったとき、見せてあげる用に保存しておきましょう。