仕事のコミュニケーションのクセを、「恋愛」にも持ち込んでいませんか? 仕事のコミュニケーションと、プライベートのコミュニケーションは違います。気持ちを切り替えて、やさしいコミュニケーションで、二人の関係を育んでいきましょう。
「効率」は恋には不要
職種や職場にもよりますが、仕事はやっぱり「効率」重視。でも、人間関係において大切なのことは、一見「ムダ」なことや、「間(ま)」「背景」「経緯」「姿勢」などだったりします。効率だけを重視して、「そんな言葉は必要?」と、ムダを切り捨てていくと、関係はギスギスしてしまうかも。
もちろん「毎日メールで『愛してる』って言って~」というリクエストは、なかなか大変ですし、毎日メールがあるかどうかで愛情を計るような関係も、続けるのは困難でしょうけれど。
でも、二人で話す「くだらないこと」「何気ない一日のできごとを話す時間」は、決してムダな時間では無いはず。それを楽しめないようなら、「二人でいること」に意味を感じられない日が来るのも、そう遠いことではないかもしれません。
人間の暮らしにも、仕事という緊張感のある時間以外に、音楽や映画など、一見ムダそうに思えるものが必要です。プライベートをシェアする関係には、ノルマも無いはず。急がず焦らず、二人で「一見くだらないこと」を楽しんでみませんか?
「一つの結論」を出す必要はない
仕事にはミッションと期限があります。そのために会社(チーム)で一つの方向性を見いだす必要があるのです。でも、二人で歩む道には、いくつもの選択肢があるものです。正解は一つではないのです。
「どちらの言い分が正しいか」を相手に説得させるような喧嘩に力を入れるよりも、柔軟に対応していきましょう。
「今週は彼のやり方で、来週は彼女のやり方で」もしくは「このことについては彼に譲る。でも、〇〇については私は譲れない」など、二人の譲れる場所、譲れないことを話し合い、臨機応変に対応しながら、二人の感覚、思考、価値観などを、互いに知っていく必要があります。自分の「正解」を押しつけ合うのではなく、相手の「正解」や「そう考えるにいたった経緯や背景」に興味を持つことが大切です。
パートナーを育てようとしなくていい
職場のように立場が決まっている関係性とは違い、恋人同士の間で「相手を育ててあげよう」は余計なお世話。男女間ではよく、女が男を育てるという言葉を聞きます。確かに男性の方が、精神的に幼稚だと感じることは多いかもしれませんが、それでも「育てる」という考え方には、筆者は疑問を持ちます。
例え、相手が年下であっても、です。仮に「育てなければいけない関係」だとして、「そのことによって、自分も学ばせてもらっている」という心がけがあるだけで、きっと彼への思い遣りも大きく変わるでしょう。
育むのはあくまでも「二人の関係」。関係を育むということは、「自分も成長していこう」という姿勢が必要なのです。
また、女は口が達者なので、つい、男性を追いつめてしまいがちですが、これについても、注意が必要です。会社の書類なら、「この見積書、日付が間違っているので、修正お願いします」と、二本線で消して修正印を押しておけば、書類は修正できます。もっと簡単な書類なら、修正テープで消しちゃうことも。
でも、人間関係では出した言葉は「無かった」ことにはできません。LINEやメールなどに書き込んでしまったら、ずっと残ることになります。画面をキャプチャ(スクリーンショット)して他の人に見せられてしまうことも。
思ったことを、すぐに口にするクセがあるなら「少し待ってみる」ということも必要です。親しくなると育ってきた家族に対する態度と似たような「配慮のないコミュニケーション」を取ってしまいがちです。
でも、どれだけ親しくなっても、自分の親ほどすべてを受け入れてくれるかどうかわからないものです。だからといって口約束を求めるのはNG。約束してもらうのではなく、二人で育んでいくことが大切です。
二人の気持ちは「木」のようなもの。うまく育てることができれば、毎年花を咲かせるような関係にもなれるはず。でも、険悪な会話ばかりなら、せっかく二人がいい種を持っていても、うまく育たないかもしれません。
「恋」や「愛」には、「確証」というものはありませんよね。賞味期限もわかりにくいものですし、育み方次第で続き方も変わりますし、とはいえ、どんなに丁寧に育んでも終わるときには終わるもの。だからこそ、お互いの気持ちや考え方を少しずつ見せ合い、受け入れ合い、後悔のないようにやさしく育んでいきたいものですね。
文:藤嶋 ひじり(恋愛ガイド)