ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。
夢にまで見た憧れのタミヤに触れて大興奮!
今回ニッポンにご招待したのは、アルゼンチンで暮らすディエゴさん(43歳)。ディエゴさんは、6歳の頃に初めて祖父に買ってもらった模型の世界的トップメーカー「タミヤ」のプラモデルに魅せられ、「僕の血管にはタミヤのプラスチックが流れています」とアピールするほど溺愛。17歳の頃は、タミヤで働くことを夢見て専門学校に通いましたが、父親の不幸と借金返済のために退学し、ニッポンへ行く夢をあきらめたという苦労があったのです。「ニッポンへ行って、自身が神と崇めるタミヤの会長・田宮俊作さんに会いたい!」という30年来の夢を叶えていただくため、この度ご招待することになりました!
初来日となったディエゴさん。まず向かったのは、東京都新橋にあるオフィシャルショップ「タミヤプラモデルファクトリー新橋店」。オフィシャルは国内に2か所しかなく、プラモデルから公式Tシャツまで、タミヤ製品がなんと約6000アイテムも揃うファンの聖地です。店構えを見たディエゴさんは思わず涙...。外から外壁やロゴ、ショーウィンドウをじっくり眺めてから店内へ。
実はディエゴさん、自宅にはたくさんのタミヤプラモデルをお持ちですが、その9割は未開封のまま。ニッポンに行って、しっかり作り方を学んでから組み立てようと夢見ていたからでした。それだけの思い入れがあるだけに、「月面着陸の瞬間みたいです」と表現するほど感無量の一瞬です。
さっそく店内で話しかけてくれたタミヤ社員の岡本さんから、社内の年始挨拶で田宮社長からディエゴさんの話が出たと教えてもらったディエゴさんは、「エベレストに登頂した気分です!」と大興奮。さっそく岡本さんからプレゼントして頂いた名入りのタミヤエプロンを着け、プラモデル談義に花を咲かせます。憧れの「ダックスホンダの初版はありますか?」と質問すると、ご厚意でお店に飾ってあった完成品までプレゼントしていただけることに。偶然にもこの日が誕生日だったというディエゴさん、「最高のプレゼントです!」と笑顔でハグを交わし、ショップを後にしました。
一夜明けて向かったのは、静岡県静岡市。プラモデルの国内出荷額の9割を占める模型の都で、5月の世界最大級の見本市では世界中から7万人が集結する静岡。ここに、世界60か国で模型を発売するトップメーカー・タミヤの本社があります。いよいよ、ディエゴさんが37年来の夢を叶える時がやってきたのです。ディエゴさんは敬意を表すため、スーツ姿でバリッと正装。
そしていよいよ本社へ。社内はネットで見ることもできますが、いつか自分の肉眼で見ることを夢見ていたディエゴさんは、まだ一度も目にしたことがありません。瞳は涙で潤んでいます。
さっそく出迎えてくださったのは、23年前、ディエゴさんが送った手紙に返事を書いていたという国際部の羽根さん。プラモデル化してほしい車種のリクエストなどを含む手紙のやり取りはなんと20通以上にも及び、時には要望に応えてくださることもあったそう。その時の手紙1枚1枚をすべて大切に保管していたディエゴさんに対し、羽根さんは感謝を言葉にしてくださいました。
続いて、歴代製品1200点が展示された社内の「タミヤ歴史館」へ。1980年に発売されたホンダモンキーのプラモを前に感動。祖父の愛車でもあった形見のバイクなのですが、持っているプラモデルは未開封なので、完成品を見るのは初めてでした。
その後も、社員食堂で出されている社員用のお弁当を食べさせていただき、社員のみなさんにアルゼンチンのお菓子を配ったりと、温かい交流は続きます。
ディエゴさんがどうしても目にしたかった、プラモデルの金型を特別に見せていただきました。タミヤの金型は世界最高峰の制度を誇る逸品。ここに約200度の溶けたプラスチックを流し込み、パーツを作り出すのです。金型の表面を鏡のように滑らかに仕上げるのは、すべて職人の手仕事だと知って驚いたディエゴさん。こうして憧れのタミヤ本社を大満喫しました。
ついに、尊敬する田宮俊作会長とお会いできる時がやってきましたが、ディエゴさんは感動のあまり会長に見入ったまま動けません。去年12月の会長のお誕生日に送れなかったという手紙をなんとか読み上げ、これまでの自身のいきさつや、どれほど会長を尊敬しているかを伝えました。会長も、「世界中で一番タミヤの模型を愛してくれている人。もうタミヤファミリーです!」とおっしゃってくださいました。
そして、新製品が出たら送るから、ぜひ作った感想も聞かせてほしいという課題も出されました。未来に繋がるうれしい宿題に、ディエゴさんは大きくうなずき、御礼にアルゼンチンの美味しいワインとチーズをお贈りして感謝の気持ちを伝えました。
仕事が終わったあと、お世話になったタミヤ社員の方々がディエゴさんの歓迎会を開いてくださいました。社員しか持つことができないタミヤの社章も記念に頂き、本当にうれしそうなディエゴさん。みんなで静岡名物の静岡おでんに舌鼓を打ちながら、思い出話で盛り上がり、温かい時間が流れます。そこで、田宮会長から出された課題について、タミヤに入社した社員はみんながこの宿題を出される、社員の必須課題なのだということを聞いたディエゴさん。「みなさんの話を聞いて、自分もタミヤの社員になれた気がしました」と、再び涙を浮かべるのでした。
一夜明けて、プラモデルの作り方を学びたかったディエゴさんは、「タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店」へ。ここは必要な工具を借りて、誰でも模型作りが楽しめるというファクトリー。プラモ作りは17歳の時以来というディエゴさんでしたが、講師をしてくださるプラモデラーの長谷川さんから、「そうとは思えないスムーズな手つき」と褒めていただきました。それから2週間の間、他の予定はキャンセルし、朝10時から夜9時まで長谷川さんの元へ通い、祖父から譲り受けたホンダモンキーのプラモ作りに没頭し続けました。
できあがった力作を手に、再びタミヤを訪れ作品を披露したところ、その再現力に一同は思わず言葉を失いました。会長にも報告し、これをプレゼントしたいと申し出ると、会長は社内の歴史館に飾りますと大喜び。ふたりはしっかりとハグを交わし、別れを惜しみつつ会社を後に...。
いよいよ別れのとき。タミヤ営業部の萩原さんが、バイクで市内観光に連れ出してくれたり、タミヤの社員専用バスに乗せて頂いたり、残り少ないニッポンでの時間を大いに満喫したディエゴさん。これまで辛いことがたくさんありましたが、尊敬する田宮会長にしてもらったハグは、他の誰より温かく、安らぎを与えてくれましたと語り、「またプラモデルを作ってニッポンのみなさんに会いに来ます!」と約束してくれました。
ディエゴさん、またの来日をお待ちしています!