23日夜中の3時ごろにインスタグラムのストーリーにアップされた写真
《お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早くきえてくれよ》(原文まま)
現在放送中の恋愛リアリティ番組『テラスハウス2019-2020』に出演中だった女子プロレスラーの木村花さん(22)が、23日未明に亡くなったことがわかった。
木村さんは亡くなる直前と思われる午前3時に自分のSNSを更新。インスタグラムのストーリーには《愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。/さようなら》という意味深なメッセージを投稿し、一部のネット掲示板では心配する声もあがっていた。
また、木村さんがツイッターで最後に『いいね』をしたのが冒頭のコメントだった。『テラスハウスウォッチャー』の女性誌記者が解説する。
「ここ2か月ほど、花ちゃんのSNSは炎上していて、消えろなどのコメントはもうしょっちゅうでした。インスタグラムはコメント制限をかけていたのですが、ツイッターにはあらゆる罵詈雑言があふれていました。それを心配した母親で元女子プロレスラーの木村響子さんはアンチに応戦する姿勢を見せましたが、花ちゃんが亡くなる今日までアンチからの攻撃が止むことはありませんでした」
なぜ木村さんは亡くなったのか。テラスハウス入居からこれまでを振り返る。
◇バスケ選手への恋と失恋(2019年9月~)
木村さんが『テラスハウス』に新メンバーとして入居したのは19年の9月(第20週)だった。4月からスタートした今シーズンにおいて5人目となる女子メンバーだった。
「それまでのテラハのメンバーは、どちらかというと心の内を明かさないタイプが多く、全体的に暗かった。そこに天真爛漫でストレートな物言いをする花が入居したことで“空気が変わった“と好評の声が多かったんです。スタジオメンバーも花のことはベタ褒め。あの山ちゃん(山里亮太)も見守っていました」(前同)
木村さんは入居してすぐにバスケットボール選手の田渡凌さん(26)にひと目惚れ。不器用ながらもアタックするが失恋。
「凌は花の好意に気づいてあえて避けるなどして“察しろよ”という大人のプレッシャーをかけますが、花は言ってもらえないとわからない。避けられ冷たくされる日々が続き、涙する場面が増えていきました」(同)
このころは放送回のSNSでも応援コメントが圧倒的に多く、ファンとの微笑ましいやりとりなども見られた。
◇スタンドアップコメディアンとの恋(2019年11月~)
田渡凌さんは「バスケットボールに専念したい」と誰とも付き合うことなく卒業。 このとき木村さんには新しい恋が始まっていた。スタンドアップコメディアンを目指す小林快さんだ(26)。
凌さんとの恋で凹むたびに話を聞いてくれた彼に木村さんはだんだん心を開いていく。そしてクリスマスを迎え「花のことが気になっている」と告白され、幸せの絶頂にいたように思えたがーー。
「実際には収録と放送のあいだに2か月ほどのタイムラグがあります。視聴者はメンバーのSNSをもちろんチェックしていて、花と快がラブラブな放送回を見る一方で、リアルタイムで花が快のインスタグラムのフォローを外したことに気づきます。
同じころ、凌も花のインスタグラムのフォローを外しています。凌が花のフォローを外す前に卒業メンバーの愛華、春花、流佳と食事をしていたことをアップしていて、その後、一時的に花が愛華のフォローを外すということもありました。そのことから愛華が凌に、花に関して良くないことを吹き込んだのではと推測する声もありました。
視聴者の一部はメンバーのSNSアカウントのフォロー、フォロワーから誰に何回いいねをしたかなどの言動まで詳しくチェックしているのです」(同)
このころから木村さんは少しずつ荒んだ心境を投稿してはすぐに削除などをするようになっていく。
◇炎上(3月31日放送38週)
「スタンドアップコメデイがうまくいかないことから恋愛モードじゃない快と、恋愛を糧にプロレスを頑張るという花は明らかにテンションがすれ違っていきます。他のメンバーとダブルデートをした京都旅行でも快はお金も出さずに不機嫌。2人はその夜話し合い、恋愛に求めるものが違うということを確認し合って京都で決別します」(同)
そして“テラハ史上最大の修羅場”と言われる事件が起きる。“命より大事”なコスチュームを洗濯機に入れたまま出かけてしまった木村さん。
「そのあと中身を確認しないで快が洗濯機をまわしてしまったことで花のコスチュームは縮んでしまうんです」(同)
入居メンバー6人全員が集まったリビングルームに木村さんの怒声が響く。
《一緒に住むんだったら人のこともっと考えて暮らせよ! 限界だよもう! 京都の時からさ、自分のことしか考えて行動してないじゃん!!》
張り詰めた空気がテラハを襲った。
「わめき散らす花にただ謝ることしかできない快。最後に花は“ごめん”と謝る快に対して“さわんなよ! ふざけた帽子かぶってんじゃねーよ”と快がかぶっていた帽子を取って投げ捨てるのです」
自分の非を認めずに相手だけを責める行動が視聴者の怒りを買ってしまう。
《命より大切なコスチュームを洗濯機に入れっぱなしにするな!》 《お前も悪いだろ》 《暴力行為とか最低》 などの批判コメントが殺到し、木村さんはその夜、包帯に血がにじんでいるような画像をインスタグラムのストーリーにアップ。
そこには《すみませんでしあ/消えれるもんなら早く消えたいよ/生きててごめんなさい。良い人じゃなくてごめんなさい。嫌な気持ちにさせてごめんなさい/消えて無くなったら許してくれますか? 消えたらみんなに愛してもらえますか。/わたしはみんなの事が好きです。》(原文まま)とあり、
これに対しても、 《悲劇のヒロインを気取ってる》 《かまってちゃんかよ》 《早く卒業しろ》などのコメントが相次いだ。
翌週の放送回(39週)で快は卒業。物語の中心は他のメンバーにうつり、木村さんに対するコメントも少なくなってきたが、5月前半には最初の恋の相手である田渡凌さんが木村さんだけを省いたメンバーの写真をインスタグラムにアップ。メンバー同士の不仲疑惑も浮上した。
「凌のインスタ投稿で花に同情する声が高まるなか、5月13日に『テラスハウス』の公式YouTubeアカウントに配信された番組未公開シーンで再び炎上してしまうんです。
コスチューム事件以降、心配した女子メンバーが花に話しかけようとします。その中でメンバー女性が“花ちゃんも悪いところはあった“と諭すのですが、花は“100ーゼロで快が悪い“と発言してしまうのです。
その発言の裏には快にメッセージを送ってもスルーされ、自分から弁償を申し出た快を信じたかったのに裏切られた、などの思いがあったのではないでしょうか。しかしこの放送を見た視聴者は反省していないと捉えてしまうのです」(同)
19日に配信された42週の放送回では「恋愛よりも人として成長したい」と話していた木村さん。コロナの影響で撮影が中止される前の3月に撮影されたものと思われるが、彼女はこの2か月で追い詰められていったのかーー。
「批判コメントをひとりで読んでいた」
若者の生きづらさや、自殺問題を取材するジャーナリストの渋井哲也さんは、
「木村花さんは孤立した末に自死したのだと思います。 死因はあきらかにされていませんが噂されている通りの硫化水素自殺だったら、前もって用意した末の自殺です。
コロナでステイホーム週間の中、毎日100通近い批判のコメントをひとり読んでいたのが本当ならば、アンチでもいいから自分をかまってくれる状況を選んだのでしょう。それが彼女が抱えていた孤立感を表しています。
今回の問題は番組側にも責任があると思います。炎上する部分を番組側が煽って視聴率を稼ぐのならそのぶん、出演者の心のケアをしなくてはいけなかった」 とし、制作サイドを批判。続けて、
「最後に綺麗な自分の姿を残してメッセージまで発信することに強烈な自己愛を感じます。台本がないというのが本当ならば、立て続けに失恋して自尊心も奪われた状態で、さらに炎上したら木村さんがどうなってしまうのか考えられる大人が周囲にいなかったのか。
韓国ではク・ハラさんをはじめとするネットをきっかけとした自殺が多いですが、もしかりに木村さんが自殺していたすれば、日本でこのようなケースは極めて稀です。出演者に適切な対応をしたのか。同じような状況を生まないためにも第三者による検証や、リアリティ番組のガイドライン策定など、一刻も早い対応が求められます」
とした。
23日夕方、番組側はホームページにお悔やみのコメントを掲載するとともに、配信予定だった木村さん出演の43週、44週を休止することを発表した。
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