「まず、現実社会の問題をタイムリーにドラマに取り入れるという姿勢は、十分に評価できるのではないでしょうか。現実社会とどれだけリンクしているかはドラマを見る醍醐味のひとつでもありますし、前クールの『獣になれない私たち』(日本テレビ系)や『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)が評価された理由も、そこにあるのでしょう。『QUEEN』の第1話ではアイドル、そして第2話では企業におけるセクハラやパワハラ、いわゆる告発本の問題、さらにはロゴのパクリ疑惑などが題材になるということで、この数年の間に世の中を騒がせたトピックを拾い合わせ、一本のストーリーに仕立てている印象があります。
「第1話では、アイドルのメンバーの一人である赤江桃子(中村ゆりか)が自身の性同一性に疑問を感じていることをメンバーに告白し、それを尊重するためにグループは解散することを選びます。しかし、その後桃子はどのように生きることになったのか、という部分が描かれていないことが、少し気になりました。扱っているテーマのひとつひとつは、現代の日本において非常に重要なポイントであるとは思うのですが、その題材に踏み込み切れていないように感じました。また、竹内さん演じる氷見は、いわゆるダークヒーローであるという見方もできるでしょう。恐喝までいかないまでも、かなりグレーゾーンにある駆け引きや情報操作のやり方、ハッキングをはじめとする彼女たちの調査方法など、スピン・ドクターとはいえ国家資格をもった弁護士なのですから、倫理的に少し気になる部分です。第2話以降、それらをどうクリアしていくか注目したいです」
「視聴者は、基本的に主人公に感情移入しながらドラマを見るものですが、第1話を見る限り、竹内さん演じる氷見という女性がいったいどんな人なのか、いまいちわからないんですよね。ドラマで竹内さんの姿を見るのは久々ですが、相変わらずお美しく、笑顔が素敵な方だなとは思いつつも、何か信用できない(苦笑)。竹内さん、水川(あさみ)さん、斉藤(由貴)さんという年齢の離れた3人が、付かず離れずの関係で楽しくやっているのは、どこか『監獄のお姫さま』(TBS系)を彷彿とさせるようで、しかも、みなさん衣装が素敵で、そこは楽しく見たのですが。そう、バカリズムさんは、彼女たちの上司役を演じると同時に、キャラクター監修も務めているようなので、彼女たちの会話の中には、『架空OL日記』(日本テレビ系)などで培った彼の感性が反映されているのかもしれません。旬の役者たちが一堂に会し、和気あいあいと計画を立てながら、それぞれの役割をこなしつつ、鮮やかに作戦を遂行していく。今クール、非常に多い“弁護士もの”のひとつではありながら、どこか『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)のような“コンゲームもの”的な面白さが、他の“弁護士もの”との違いであり、本作の魅力なのではないしょうか」