NOSHがお届けしている映画『デメキン』のリレーインタビュー企画!
第2弾では、福岡最大勢力の暴走族の総長へと登り詰めた正樹(健太郎さん)の唯一無二の親友でありながら、ときに反発し合い、絆を深めていく厚成を躍動した山田裕貴さんが登場。
「阿吽の呼吸」と表現した健太郎さんとだからこそ生まれた、スクリーンでの息の合い方について、ロングインタビューをお届けします!
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出典:NOSH
Q:『デメキン』は佐田正樹さん(バッドボーイズ)による実録自伝小説/コミックスの映画化です。
山田裕貴(以下、山田):佐田さんから、いろいろお話を聞きました。佐田さんの感じてきた熱さを、映画にして伝えきれるのかと言ったら、なかなか難しいかもしれないですけど、若者たちが喧嘩したり、仲間に熱くなったりという「熱」みたいなものが、本当にストレートに伝わる作品になったな、と思っています。
僕自身、実話を基にした作品への出演はなかなかなかったので、実話に負けちゃいけないというか、佐田さんとの勝負みたいところは感じていました。本人たちが生きた証を僕たちが表現しなきゃいけないから、佐田さんにも「いや、違うわ」と思われちゃいかんな、っていうのは、ものすごく思っていました。
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Q:佐田さんも現場によく行かれていたと伺ったのですが、具体的にどのようなお話をされたんですか?
山田:北九州弁の言葉はもちろん教えていただきましたし、例えば、「特攻服はもうちょっとベルト下やね」とか(笑)。「歩き方はこう」、「唾の吐き方が違う」、「弁当はみんなで食うもんや」とか、本当にいろいろ。佐田さんと本物の厚成さんとの関係性みたいなものも聞いて、「本当に熱いやつだった」と言っていたので、僕も自分が演じる中で、今までで一番熱いやつにしてやろうというのは何となく思っていました。
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(c)よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ(c)2017 映画「デメキン」製作委員会
Q:友情を大切にすることも「熱い」中には含まれていますか?
山田:一番、仲間に熱いやつでいようと思っていたので、セリフじゃ足りなくなった部分を、カットがかからないから、とりあえず(自分の言葉で)言っていました。「お前ら、仲間やろ!」と言っていたのは、全部出てきた思いなんです。それがシーンに残っていたので、良かったなぁと。あと、病院のところもそうですね。
Q:後半、厚成が病院送りになる場面ですね。実話なんですよね?
山田:はい。恋人のアキ(今田美桜さん)がいて、福岡連合のみんなが駆けつけてきて「お前ら、手出すなよ」と正樹に言うシーン。本来はそこでカットだったんです。けど、カットがかからなかったから、なぜだかみんなに「ごめんな」と謝って泣いて、アキの手を握って。それは完全に、僕の今まで通りの、というか芝居に生き続けるみたいなものをやっていたんです。そうすることで、「みんなには言えるけど、ホントは正樹には言えないんだ」と広がる思いもあったから。
あと、アキの手を握ることによって、アキのことも信頼しているし、女性にはやっぱり男は甘えるもんだ、っていうのを見せられるし、とか。いろいろな作用があるんです。
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Q:そういった厚成の思いは山田さん自身、共感するところですか?
山田:そうですね。大切にする人は大切にする、というところ。「女にそんな働かせられねぇだろ」と厚成は言うけど、僕もそういうタイプなんです(笑)。差別とか全然そういうことじゃなくて、僕の希望として、女の人にはおうちを守ってほしいな、って。というのは、僕の父がそういう人間だったから、母は完全に家にいて。うちの両親は、高校から付き合って結婚しているんで。ちょうど厚成の遺伝子を貰っている、みたいな感じですよね(笑)。
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Q:先ほどの「カットがかからないから続ける」というお話を、もう少し伺ってもいいですか?
山田:普段、現場で「アドリブ、アドリブ」と言っていますけれど、やめないっていうのはもはや僕のお芝居のスタイルというか。「んー、なんか足んないな」、「本当はもっとしゃべってるだろうな」と思ってくるんです。セリフは、本当に必要なことしか書かれていない。で、それを膨らますのが僕らの仕事なので。正直、良ければ、伝われば、何を言ったっていいはずなんです。生きてるんだもん、みたいな。
『デメキン』では、もうファーストカットから(芝居を)やめないでやっていたんです。そうしたら、みんな、ビクッとなるんですよね。そこで、みんなから言葉が返ってきたりとかして。
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Q:健太郎さんも同じ感じだったんですか?
山田:ああ、たぶんそうだと思います。そこは、もう阿吽の呼吸で。実は、僕は全面的に発するタイプの人間と思われがちなんですけれど、めっちゃ受け取るタイプなんです。だから相手の芝居で変わっちゃうタイプで、(相手役の演技が)全然伝わってこないと、全然入んないんですよ。役柄でも全く動じない人物の場合は、そういう人の心を動かすために、こっちが動に回るときもあれば、僕が静に回るときもある。
しゃべりって、相手のためにあるじゃないですか。「ありがとう」と言うのも、自分のために言わないですよね。それと一緒で、セリフは相手のためにある、相手の気持ちを動かすためにあるので、僕はまずセリフを全部受け取ってから、ガッって出すんです。
健太郎はすごく伝わってくるタイプでした。真っ直ぐ瞳を見てくるし。だから…、だからだと思うんですよね、僕が受け取る受信機みたいになれたと思っています。
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Q:健太郎さんの持っている資質というか、ぶつかってくるものと、山田さんの返すものががっつりと合わさり、生まれた作品なんですね。
山田:とにかく、僕は、健太郎にも厚成としても、ものすごくいい奥さんでいようと思っていたので(笑)、この現場に関して。人間関係にしても、お芝居に関しても、すべてサポートで。
ストーリーラインで、正樹が喧嘩とかに明け暮れる中、僕が大人な部分で悩んでいるのは、裏テーマでもあるんです。「社会人にならなきゃいけない」という、この暴走族たちへのメッセージにもなるんで。そこを僕は任されていると思っていた。彼女がいるのも僕だけだし。だから、この作品の中で愛を教えられるのは、僕や親子の話でしかないんですよね。
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Q:ご自分の役割を感じて、全うされていた?
山田:正樹が、健太郎が突き進んでいくそのルートを、周りに肉付けしていくみたいな役割だと思っていたので。話を深く広く見せるための人物というか。健太郎が真っすぐ突き進んでいっていた分、「あー、俺はじゃあ足りないところを補おう」とか「前のシーンはシリアスに撮っていたな。じゃあちょっとコミカルに寄せておくか」とか。
Q:演技の強弱に気をつけられていたんですね。
山田:シーンの切り替わりとか、前に大きな出来事があったり、事件があったときの後の緩急みたいなものは、すごく波になるんです。
特に重要だなと思っていたのは、ガソリンスタンドでのアキとの会話。アキに「今日も集会、行くんやろ」と言われて「ううん」ってやる。直後に、「お前ら蝉魔竜(せみまる)さん~?」と(蝉魔竜のたまり場に)行って、ボッコボコにする。アキと話していた可愛い顔みたいなものが、後の怖いアクションへのギャップになるから、すごく重要なんですよね。そこは計算して、組み立ててはいましたね。(取材・文:赤山恭子、写真:南方篤)
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後編のインタビューでは、引き続き『デメキン』の撮影エピソードに加えて、“俳優”という仕事への向き合い方まで、お届けしてまいります。
☆後編はこちら
映画『デメキン』は12月2日(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショーです!