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「お弁当温めますか?」って2時間かかるとは… イラスト作者に聞く

2019年2月4日 06:50 withnews

 コンビニでお弁当を買ったときに聞かれる「温めますか?」の一言。お願いしたものの、まさか2時間もかかるなんて……。そんな3コマのイラストが先日、ネット上で注目を集めました。「日常の出来事も、ちょっと視点を変えると、こんなにおもしろくなる」。そんなイラストを次々と発表している多摩美術大学の学生に話を聞きました。



>>【画像】「お弁当温めますか?」って2時間もかかるの… イラスト作者に聞く

3コマのイラスト「にわとり店員」出典:ヨシダリュウタさんのツイッター

コンビニ店員のニワトリが

 先月3日にツイッター投稿された3コマのイラスト。

 コンビニ店員のニワトリと、お弁当を買った男性のやりとりが描かれています。

 「いらっしゃいませ! こちらあたためますか?」

 「おねがいします」

 すると、ニワトリ店員はおもむろにレジの上に置かれたお弁当の上に座ります。

 どうやらニワトリが卵を温めるように、自分の体を使ってお弁当を温めはじめたようです。

 無言で待ち続ける男性。最後のコマには「このあと2時間待たされました」の一言が添えられています。


作者に聞きました

 ツイッター上では「斜め上の発想に鳥肌」「3歩あるいたら温めるの忘れてそう」といったコメントが寄せられ、リツイートは9千、いいねは5万6千を超えています。

 作者は、多摩美術大学4年のヨシダリュウタさん。

 「毎日障子破りができるカレンダー」や「足の小指につけるヘルメット」などの立体物や、身近にあるものをモチーフにしたイラストなどを発表しています。

 昨年12月にはイラスト集「もしもアンテナ」を刊行。身近にあるものをモチーフに「視点をずらすおもしろさ」を表現しています。

 今回のお弁当をめぐるイラストについては、こう話します。

 「ニワトリが卵を温めている写真を見て、『これで何か別のものも温められるんじゃないか?』と思ったのがきっかけです」


ニワトリ店員のキリッとした表情がこだわりポイントだそうです出典:ヨシダリュウタさんのツイッター

こだわった点は

 コンビニでお弁当を買った際は、ほとんど温めるというヨシダさん。

 たまに、きちんと温まっていないときがあって「あれ?」と思うそうです。

 イラストに登場するお弁当がちゃんと温まったのかを気にするコメントも上がっていましたが、「どうなんでしょうか。なんかぬるそうな気がします(笑)」とのこと。

 2時間待った男性については、「ニワトリと世間話をしたり、立ち読みしたりしていたんだと思います」。

 描く上でこだわったのは、お弁当を温めるニワトリの表情だといいます。

 「真剣に温めていたらかわいいなと思い、最後のコマのキリッとした表情にこだわりました」

 話題になったことについては、「楽しんでいただけてとても嬉しいです!」と話していました。

 ◇ ◇ ◇

 ヨシダさん初の個展「ヨシダリュウタ展 もしも視点」が2月11日まで開催されています。場所は東京都渋谷区のMONKEY GALLERYで入場無料。詳しくは下記サイトで。

「ヨシダリュウタ展 もしも視点」 の詳細はこちら
書籍「もしもアンテナ」のAmazonページはこちら

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_ac767473741c_広末涼子さんが、インスタをしない理由「ミステリアス部分を……」 ac767473741c

広末涼子さんが、インスタをしない理由「ミステリアス部分を……」

2019年2月4日 06:50 withnews

 「ポケベルの子」と呼ばれ人気を呼んだ広末涼子さんですが、ツイッターやインスタグラムは使っていません。その理由は、高知の少女時代、あこがれ続けた女優への思いがありました。平成が終わり、40代を迎えようとしている今、「しっかり年を取っていけば良い」と考えています。広末さんの「第2ステージ」を聞きました。(朝日新聞高知総局記者・加藤秀彬)

>>【画像】ポケベルCMでブレークした「あの時の」広末涼子、そして現在は……

 「広末が語った平成」5千字インタビュー平成という時代とともに駆け抜けた広末涼子さん。「初めて壁に当たった」という2年間の芸能活動休止と大学入学。3児の母として「女性の選択肢を広げたい」と語る子育て論。5千字のインタビューです。【記事はこちら】

「あまり知ってもらうと、先入観が」

 ――ポケベル、携帯電話世代の象徴となったが、近年流行しているツイッターやインスタグラムは活用していません。

 「時代には反していますが、女優さんへのあこがれが小さいころから強かったので、一般人とは違う神秘性とか、ミステリアスな部分、生活感が見えないあこがれが私自身、女優さんに対してあります」

 「女優さんだから全てをオープンにしなくてはいけないとは思っていません。みなさんブログで生活を出したり、お子さんを見せたりすると思いますが、それが見えない方が女優としては私個人への予備知識が影響を及ぼす危険性がないという意味で良い」

 「あまり私のことを知ってもらうと、先入観が生まれるじゃないですか」

ポケベルのCM(写真は1997年)で人気を呼んだ=NTTドコモ提供

「おばあちゃんになったらおばあちゃんの役」

 ――平成が終わり、次の時代には40代を迎えます。

 「平成が約30年ということは、中学校に上がる前からずっと平成です。ちょうど夢のきっかけをつかみ、走り抜けて、今やっと立ち止まって景色を見ているような時です。次が本当に第2ステージだなと思います」

 「走り抜けていたのは10~20代前半ですが、そこからも仕事だけではなく、人生の分岐点がたくさんある中で、やっと今立ち止まって振り返るような時期が来ている気がしています」

 「(映画「ゼロの焦点」の)犬童一心監督に、『広末さんは年相応の役ができる女優さんだから、またご一緒しましょうね』と言われました。最初は意味がわからず、どういう意味かなと思いました。つまり、『おばあちゃんになったらおばあちゃんの役ができる女優さんですね』と言っていただいたのだと思います」

「次が本当に第2ステージだなと思います」と語る広末さん=柴田悠貴撮影

「しっかり年を取っていけば良い」

 「私は当時、女優さんはきれいでいなければとか、年をとったらどうなるのだろうという不安がありました。しかし、演技を続け、人生を歩んでいくことで、50代になったら50代の女性を演じれば良いし、おばあちゃんになったらおばあちゃんを演じれば良いんだと気がつきました。これはすごく褒め言葉だなと」

 「アイドルだからずっとアイドルでいなければいけないのではなく、しっかり年を取っていけば良い。そう思うとすごくうれしくて、最高の褒め言葉だと思いました。そんな女優にこれからなりたいと思います」

     ◇

広末涼子(ひろすえ・りょうこ)1980年、高知市生まれ。94年、クレアラシルのCMでデビュー。97年、「MajiでKoiする5秒前」で歌手デビュー。「鉄道員」「おくりびと」「ゼロの焦点」など数々の映画やドラマに出演した。
 「広末が語った平成」5千字インタビュー平成という時代とともに駆け抜けた広末涼子さん。「初めて壁に当たった」という2年間の芸能活動休止と大学入学。3児の母として「女性の選択肢を広げたい」と語る子育て論。5千字のインタビューです。【記事はこちら】

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_b0336d3eac76_光で咲く「奇蹟の大藤」30万輪、圧巻の美しさ 仕掛け人は花のプロ b0336d3eac76

光で咲く「奇蹟の大藤」30万輪、圧巻の美しさ 仕掛け人は花のプロ

2019年2月2日 06:50 withnews

 「忘年会シーズンにあわせて、レストランの窓辺をすこし明るくしよう」。北関東にある植物園が約20年前の冬、そんなねらいで園内を彩った電飾が、日本を代表するイルミネーションスポットへと成長しました。その秘密は、花のプロたちのこだわり。「本物と同じく手間ひまかけて育ててきた」という仕掛け人を訪ねました。(朝日新聞経済部記者・滝沢卓)

>>【画像】【イルミ画像】プロのこだわり!本物を再現した「光の花」

「光の花」が咲く植物園

観客でにぎわうあしかがフラワーパークのイルミネーション=2018年12月17日、栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
 植物園が最も華やぐのは、大小色とりどりの花が開く春だ。しかし、栃木県足利市のあしかがフラワーパークでは、例年10月下旬から2月上旬(今年は2月5日まで)も「光の花」が夜咲く。
 名物となったイルミネーション「光の花の庭」の開催期間中は、年間来園者の約3分の1にあたる約60万人が訪れる。園を運営する足利フラワーリゾートのパーク管理部次長、長谷川広征さん(47)は約20年間、そのデザインや取り付け作業のリーダーを務めてきた。

本物の再現にこだわった「奇蹟の大藤」

「奇蹟の大藤」の中に立つ長谷川広征さん。手に持つバラのオブジェも、本物を何度も観察しながらデザインした=栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
 なかでも人気なのは、園のシンボル、樹齢約150年の大藤2本を彩るイルミネーション「奇蹟(きせき)の大藤」だ。約1200畳分の藤棚で約30万球のLEDが演出する淡い紫の光に囲まれると、ライトアップされた本物の花の下にいるような感覚になる。

 目をこらすと、植物園ならではのこだわりがわかる。一球一球に半透明の花のオブジェがついているのだ。

大藤の花をモデルにしたオブジェ=滝沢卓撮影
 大藤のオブジェを採用したのは2017~18年シーズンから。かつては油性ペンでわざとムラを残して白熱球を塗ることで、実際の色合いを表現しようとしていた。だが、微妙な色合いを表現できるLEDが登場し、大藤の花をかたどったオブジェをいかして本物に近い美しさを追い求めることにした。

4月末~5月上旬に見頃を迎える大藤=あしかがフラワーパーク提供

デザインに1年以上

 大藤は、毎年4月末から5月上旬にかけて約16万もの花房が垂れ下がり、来場者の目を楽しませる。花の見た目が最も美しくなるのは「開ききる直前」だという。

 このため、栽培担当のアドバイスももらいながら、この時期が見頃の花約200輪の大きさを測ったり見比べたりし、オブジェのサイズは「縦3センチ、横2.3センチ」が理想的という結論を得た。試作を重ね、花びらの角度や丸みもミリ単位の調整にこだわった。
 結局、デザインには1年以上の時間と手間をかけた。長谷川さんは「単なる電球ではなく、一つの花として考えた。どの実物と比べても違和感がないものにしたかったから」と話す。

花を咲かせた大藤=あしかがフラワーパーク提供

転職してきた「仕掛け人」

 こだわりを見せる花とイルミネーションだが、関わるようになったのは全くの偶然だったという。

 足利市出身で、20代の頃はホームセンターで働いていた。約6年半働き、多くの商品の販売や仕入れを経験。このうち約3年半担当したのが、園芸品種の販売だった。花を買いに訪れる色々な年代の人と話せることが面白くて「もっと花のことを知れば、多くの人とつながれる」と、栽培などの知識を増やした。

咲き誇るバラ=あしかがフラワーパーク提供
 他の商品担当になった後も、花への思いが忘れられず、28歳だった2000年の夏、足利フラワーリゾートに転職。ちょうど園内のレストランから夜に見える景色を美しくしようとイルミネーションで園を彩り始めていた頃で、ホームセンター時代の仕入れ経験をかわれ、電飾を業者から仕入れる担当になった。当時の電球数は約1万5千球。「今のような形は想定していなかった」と振り返る。

イルミネーションのモデルになりそうな花を観察するには欠かせないメジャーと、バラのオブジェ=2018年12月17日、栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
 だが、「もっと見せて」という来場者の声にも励まされ、花を光で表現するように。大藤のほか、バラ、ツツジ、スイレンなど10種類近い植物の再現に次々挑んだ。今では、オブジェの付いていない電球も含めると、園全体で約450万球の一大イベントに「育ててきた」。

キバナフジを再現したイルミネーションのトンネルの中に立つ長谷川広征さん=2018年12月17日、栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
 その結果、長崎のハウステンボス、札幌の市街地と並び、17年に日本の3大イルミネーションの一つに選ばれた。一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローが認定する「夜景鑑賞士」ら約5千人が、全国に約300ある中から投票で選んだ。植物園ならではの独創性が評価されたという。

5月中旬に見頃を迎えるキバナフジ=あしかがフラワーパーク提供

本職の合間にコツコツ取り付け

 電球は一つ一つ、職員約50人がかりで取り付ける。肥料や水やり、刈り込み、花壇の改修や配置の変更といった「本職」の合間に取り組む作業だ。長谷川さんも春に黄色の花をつけるキバナフジの栽培担当だけに「春に咲く本物の花に興味を持ってもらいたい」という思いは忘れない。

 「(本物を)春も見てみたいね、という言葉を聞くとうれしいですね」

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_db21f609ff0f_「おしぼりで顔ふき」の謎をガチ検証!マナー違反?脳科学的効果は… db21f609ff0f

「おしぼりで顔ふき」の謎をガチ検証!マナー違反?脳科学的効果は…

2019年2月1日 16:52 withnews

 早くも2月、肌寒い日々が続きますね。正月休みの余韻はとうに消え、街は仕事に向かう人々であふれています。最近、新年会で気付の一杯をあおった、なんて方も多いでしょう。乾杯前に手が伸びるのは、ホカホカのおしぼりです。凍える指先を温めたら、つい顔をふきふき……。「おやじ臭い」と周囲から白い目で見られ、縮こまった方もいるのでは?私も最近、初めてやってしまいました。他人事ではないけれど、意外と知らない、あの動作の理由。気になったので、徹底的に調べてみました。(withnews編集部・神戸郁人)

>>【画像】「おしぼりで顔ふき」の謎をガチ検証!マナー違反?脳科学的効果は…

「大人になったね」の一言に戦慄

 1988年生まれで、30歳の私。三十路に突入して間もなく、20代の頃と変わらぬ気持ちで日々を送っています。……いや、正確には、そう思っていました。
 今年の三が日、両親と食事をしました。会場は実家近くのしゃぶしゃぶ屋です。一人暮らしの私は、しばらくぶりの家族との再会を楽しみにしていました。
 個室の扉が開き、店員さんが持ってきたおしぼり。ほわっと立ち上がる湯気に魅入られ、私は手をふくのもそこそこに、気づけば顔にあてがっていたのです。
 「あっ!」。小さく声をあげたものの、時既に遅しです。すぐに「一線を越えた」という自責の念が押し寄せてきます。その後の会話は、ほとんど記憶に残っていません。
 帰宅後、母からラインでメッセージが届きました。

 「いつの間にか大人になったね!」

 それまで親に見せたことのなかった、「おしぼりで顔をふく」という行為への評価が含まれているのは明らかでしょう。
 戦慄(せんりつ)すると同時に、私は一つの決意を固めました。

「こうなったら、動作の根拠を解明するしかない」

 そしてヒントを求め、街に繰り出したのです。

新橋の駅前で聞いてみた

 おしぼりと聞き連想するのは、やはり飲み屋。飲み屋といえばサラリーマン、サラリーマンといえば新橋。1月下旬の金曜日夜、JR駅前にある「SL広場」でインタビューしました。

黒ずくめのおじさまたちでにぎわう、JR新橋駅前の「SL広場」。この日の気温は5度=神戸郁人撮影
 「あれ、気持ちいいんだよなぁ」。一人で「ポケモンGO」を楽しんでいた、40代後半の男性会社員は目を細めます。
 いて付く冬場の宴会では、温めたおしぼりを手に取ると、つい顔をふいてしまうそう。逆に「汗をかく夏場は、欲求が起きない」と言います。
 一方、会社の同期同士で、飲み会への道すがらという40代の男性2人組は、「基本的にふかないようにしている」と苦笑気味です。
 「就職して間もない頃、頭までふく人を見たことがあって。それ以来、やろうとは思いません。やっぱり、おやじ臭いよね……」
 若者はどう考えているのでしょうか?会社の新年会を控え、同僚を待っていた男性(23)にも聞いてみました。
 「仕事先や上司など、年上の人と飲むことはあります。顔をふく人がいるかというと、たまに見かける程度。僕もやりません。やはり『おじさん』のイメージでみられるのが嫌です」
 ちなみに、私が禁を破ってしまったと打ち明けると、「30歳になるまで絶対ふかないようにします!」

 ……思わず渋い顔になりましたが、否定的な評価が多いことは分かりました。

カギは脳が覚える「快感」

 そもそも、なぜ居酒屋でおしぼりが出されると、顔をふきたくなるのでしょうか?
 調べてみると、ネット上に「大脳生理学的には、温かなおしぼりがいやし効果をもたらす」との一文があるではありませんか!

 早速、公立諏訪東京理科大学(長野県茅野市)の篠原菊紀教授(脳科学)を取材しました。

笑顔を見せる篠原菊紀教授出典:朝日新聞

 「まだ十分に分かっていませんが、おしぼりで顔をふく時の温度上昇と、なでられた時の心地よさを結びつける受容体が存在する、と考えられます」
 受容体とは、体の内外からの刺激を受け取る器官や細胞を指します。篠原教授によると、反応していると思われるのは、母親になでられた感覚に関わる部分。つまり、ぬくもりが生理的な安心感を生み出している可能性があるのです。
 さらに脳は、「おしぼり=温かくて気持ちいいもの」ということを覚えます。すると居酒屋に行くたび、記憶と運動を結びつける「線条体」という部分が作用。その結果、お店に入っただけで、おしぼりが恋しくなってしまうといいます。
 確かに、温かいおしぼりを顔に当てると、何だかホッとします。おしぼりへの思いは、人間の生態と深く関わっていたのです。予想外に壮大な話になってきました……!

「おやじ臭さ」と結びつく理由

 篠原教授によると、顔ふきが「おやじ臭さ」と結びつく理由も、脳の働きから説明できるといいます。
 脳の前方に位置する「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」と「下前頭回(かぜんとうかい)」という部位は、人間の行動の制御に関係しています。

脳の構造を表した図。「背外側前頭前野」と「下前頭回」は、「前頭葉」にある部位出典:PIXTA

 これらの機能は、40歳前後を境に低下。特に男性の場合、その下げ幅が定年後から大きくなるといいます。
 お酒を飲むと、気が緩みやすくなり、中高年男性ほどおしぼりで顔をふく率が高まります。いわば、「脳のブレーキ」がきかなくなるのです。
 「若年男性、女性では、その行為に脳による抑制がかかる。一方、中年男性では文化的に認められた感があり、解放されるのかもしれません」

現場で進む「布→紙」

 メカニズムが分かったところで、現場の受け止めが気になってきました。居酒屋の関係者は、あの動作のことを、どう捉えているのでしょうか?
 店舗の全面禁煙化などで話題となった、チェーン店「串カツ田中」を運営する串カツ田中ホールディングス(東京都品川区)の広報担当、永瀬もなみさんに聞いてみました。

「全席禁煙」を掲げる居酒屋・串カツ田中の店舗写真出典:朝日新聞

 同社では2016年、店舗で提供する布製おしぼりを、紙製のものに転換しました。永瀬さんによると、お客さんからの要望が理由だったそうです。
 「私たちのお店には、女性やお子様も多くいらっしゃいます。以前から、おしぼりについて衛生面を気にする声が上がっていたんです」
 布製おしぼりはレンタル品です。使い終わると専門業者に回収してもらい、洗浄した上で再利用します。そのため、使い回しを嫌がる人が少なくありませんでした。そこで、使い捨て可能な紙おしぼりに置き換えたのです。
 おしぼりで顔をふく人がいたことも要因ですか――。そう永瀬さんに問うと、実態はよく分からないとしつつも「清潔感(を気にする)という点では、少なからず(要因に)含まれているかと思います」と教えてくれました。
 国内外の全218店舗で、お客さんが顔をおしぼりでふく姿は、ほとんど見られないそうです。薄くて破れやすい紙製のものでは、さすがにやりづらいのかもしれませんね。

紙おしぼりは、回収前にまき直す必要がなく、人件費の削減にもつながったという(画像はイメージ)出典:PIXTA

きちんと殺菌、気軽に使って

 あの動作が嫌われる背景には、「マナー違反」とされていることもあります。そこで、納品・回収する業者側にも意見を聞いてみました。
 「実を言うと、ご法度ではありません」

 布おしぼりの関連事業者でつくる、「全国おしぼり協同組合連合会」(名古屋市)の山口高広理事長は、そう強調します。

分厚い布製おしぼりの丈夫さは、つい顔をふいてしまう要因の一つかもしれない(画像はイメージ)出典:PIXTA

 山口さんによると、おしぼりの起源は諸説ありますが、江戸時代に普及したとの見方が有力なのだそうです。
 旅人をもてなす旅籠(はたご)では当時、水に浸した手ぬぐいを利用者に提供していました。中には顔や首の汗をふき、疲れをいやす人も。これが形を変え、おしぼりとして現代に受け継がれたといいます。
 リフレッシュに役立てるという点で、顔をふくのは、むしろ正統的な使い方と言えそうです。
 「ある取引先の飲食店では、お客さんがトイレから戻る度に、温かいおしぼりを渡していると聞きました。手や顔をふくことで、気持ちを新たに、店での時間を楽しんでもらいたい。そんな思いを込めているのではないでしょうか」
 とはいえ近年は、安価な紙製おしぼりの流通量が増え、布製のものは需要が減少。イメージの低下も相まって、連合会が本部を置く愛知県では、納品業者が倒産するケースもあるそうです。
 山口さんは語ります。

 「飲み会前におしぼりを使うのは、神社での参拝前に手を清めるようなもの。回収した布は、国の基準に基づき殺菌・消毒されています。ぜひ、気軽にふいて頂きたいものです」

回収したおしぼりは、専用の工場で、塩素などを含む特殊な液体で洗浄される出典:朝日新聞

おしぼりが持つ「魔力」

 「おしぼりで顔をふく」という動作は、時代の流れとともに、少しずつ見られなくなっているようです。しかし、社会通念だけでは計れない、独特の「魔力」があると感じます。
 先述の永瀬さんによると、串カツ田中ホールディングスの、ある20代男性社員も、布おしぼりを出す居酒屋では顔をふいているとのこと。案外、見えないところでやってしまう人は、多いのかもしれません。
 顔におしぼりを押し当てても、自分を卑下する必要はない。むしろ「人間らしい」と思っていいのだ――。取材を通じ、三が日の自分の背中を、力強くたたいてやりたい気持ちになりました。

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_ba58712514de_「僕にとってお金は血液」 高須クリニック院長が語る〝医者とカネ〟 ba58712514de

「僕にとってお金は血液」 高須クリニック院長が語る〝医者とカネ〟

2019年2月1日 16:16 withnews

 「医は仁術」という言葉があります。その一方で、「医者は最も安定してもうかる仕事」という見方もあります。医者はどこまで情で働き、どこまでカネの力で動くのか。「高須クリニック(https://www.takasu.co.jp/)」の院長として有名な高須克弥さんに「医者とカネ」について語ってもらいました。(聞き手・太田啓之)

>>【画像】ソウル「美容整形大国」の現場 美を求め海外からも

「砂漠に医者を集めるドバイ」など、GLOBEの記事はこちらから

二重まぶたの手術、3~4分で12万円

 僕は今日(取材は5月20日)、70人の手術をしました。二重まぶたにする手術だと、3~4分で12万5000円。唇を薄くする手術は15万円、鼻を高くする手術は35万円です。

 みんな「高いなあ」と言うんですが、実は40年間、まったく値上げをしていません。うちがはやるのは、相対的に安くて質の高い手術をしているからでしょう。

災害時の支援、売り上げあるからこそ

 高須クリニックの売り上げは、グループ全体で約60億円。お金持ちからたくさん受け取っているからこそ、そうではない人の医療費をタダにできる。それが「医は仁術」という言葉の本当の意味です。

 阪神大震災や東日本大震災の被災者には、タダで施術しました。シミやシワを取って若返らせてあげると、うれしくなって生きる希望がわいてくる。美容外科も立派な医療なんです。

出典:熊本地震被災地への支援をツイッターで報告する高須克弥さん

ブラック・ジャックが大嫌い

 ブラック・ジャックみたいですって? 僕はブラック・ジャックが大嫌いなんです。偽医者のくせに高い金を取って。それに生まれつきの天才外科医なんて幻想。ものすごくたくさん失敗して初めて、手術の腕が上がるんです。
ブラックジャックは全巻目を通しました。ブラックジャックは外科医の基礎的トレーニングができていません。あのマントの下の不潔なメスを滅菌することから教えないといけません。ブラックジャックの患者が感染症にならないのが不思議です。 https://t.co/Ax8LBNXcJ3
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2016年7月3日

美容整形のもうけは地域医療に

 僕が美容外科医として働くのは週2日だけ。他の日は愛知県にある高須病院の理事長として、老人介護に軸足を置く地域医療を実践しています。

 すべて保険診療ですが、理想の医療を目指すほど、人件費がかさみ、赤字になる。美容整形のもうけを病院につぎこんでいるからこそ、倒産せずに続けられています。

残った財産、死ぬまでに社会に還元

 僕にとってのお金は、血液みたいなものです。生きていくためには、どんどん循環させる必要があるけど、使わない血液がたくさんあってもしょうがない。ためる必要はないんです。過去に脱税で摘発されたのも、お金に関心がなくて事務に経理を任せていたから。その前科のせいでドバイに進出できなくなりましたけどね。

 いま71歳ですが、かなり財産が残っちゃった。奨学金を出したり、チベットに学校を作ったり、国境なき医師団に病室を寄付したり、と死ぬまでに社会に還元する計画を進めています。

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_d11f9363ed4b_絶対ぶつからないボール? 8方向から16個が行き来、藝大卒展が話題 d11f9363ed4b

絶対ぶつからないボール? 8方向から16個が行き来、藝大卒展が話題

2019年2月1日 08:17 withnews

 8方向から打ち出される計16個のボール。それぞれ真ん中で交差しているのに、ぶつかることなく動き続ける――。東京藝術大学の卒業・修了作品展に出展されているそんな作品が、ネット上で注目を集めています。その仕組みについて制作した4年生に話を聞きました。


こんな作品です


 東京都美術館に展示されている作品「Movement act」。

 「*」に横棒を1本加えた形をした木製の台の端々には、ボールを打ち出す「ソレノイド」という部品が8個取り付けられています。

 スイッチを入れるとソレノイドが音をたてて動き出し、ボールを置くと反対側に向かって打ち出されます。

 端まで到達すると、少し横にずれた後、再びソレノイドで元の方向へ打ち返されます。

 タイミングを見計らってどんどんボールを増やしていき、最終的には16個に。

 台の中央部分で交差しているにもかかわらず、ぶつかることな動き続けています。

 この様子を映した動画がツイッター投稿されると、「見てて気持ちいい」「スクランブル交差点の日本人みたい」といったコメントが寄せられています。


作者は先端芸術表現科4年生

 「卒展期間中の2月3日まで、作品の横に立って1日30回は動かしています」と話すのは作者の小野澤峻さん。美術学部先端芸術表現科の4年生です。

 小学生時代にお手玉を覚え、中学生でジャグリングに。高校はジャグリングができるサークルのある学校を選んだといいます。

 現在もイベントに出演したり、幼稚園や老人ホームで披露したり、といった活動を続けているそうです。

 「ジャグリングのパフォーマンスをどうやったら作品にすることができるのか? そう考えた時に、自分をそこから引き抜いてみようと思ったんです」


0.28秒ずつずれて動く

 大学3年生の夏ごろに着想して、4年生の6月ごろに4方向から6個を打ち出すものを制作。最初のうちは10秒ほどでぶつかってしまったといいます。

 出展した8方向から打ち出す作品では、ソレノイドが0.28秒ずつずれて動くように制御。

 ボールによって個体差があったり、使ううちに木製の台が削れたりといった要因が影響するため、やすりをかけるなどの調整が大変で、この部分に4カ月ほどかけたそうです。

 「ボールを置くタイミングも決まっていますし、実はそれほど難しいことはやっていないんです」


木製にこだわった理由

 台やボールを金属製にすれば手間が減り、より精度の高い動きにできますが、あえて木製にこだわったそうです。

 「人間のライブパフォーマンスと同じで失敗することもあって、見ている人もハラハラ・ドキドキする。その反応も含めて作品にしたいと思ったんです。マシンではなく、パフォーマーなんです」

 卒展の実演を見ていると、ごくまれにボールがぶつかることもありましたが、ほとんどは無事成功。見ている人たちは動画を撮ったり、拍手をしたりと盛り上がっていました。


作者の小野澤峻さん

今後の活動は

 大学ではイベントの企画・運営などに取り組み、「パフォーマーや作家を社会とつなぐ活動」を続けてきたという小野澤さん。

 俯瞰(ふかん)した立場で活動するためにも、まずは作家と名乗れるだけの作品を残そうと「Movement act」を制作したといいます。

 「Movement actは作家としての集大成です。今後はどちらの活動も続けていきたいと思います」

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_a2306f4ed6d5_サイバー対策どこへ… 今年は「約ネバ」とコラボも、政府は大丈夫? a2306f4ed6d5

サイバー対策どこへ… 今年は「約ネバ」とコラボも、政府は大丈夫?

2019年2月1日 06:50 withnews

 コンピューターウイルスなどのサイバー問題を何とかしようと、政府が躍起です。毎年2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティ(CS)月間」とし、呼びかけは人気アニメとのコラボでグレードアップ。ただ政府自身にも弱点があるのです。サイバー対策はどこへ行く……。(朝日新聞政治部専門記者・藤田直央)

>>【画像】最初は無難だったけど……サイバー啓発ポスター激変史

人気アニメと続々

 今年のCS月間はテレビアニメ「約束のネバーランド」と協力します。原作は週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画です。キャラが登場するサイトが2月1日に立ち上がる予定で、SNSも活用。子どもたちが危機に立ち向かうストーリーにかぶせて「抗え。この世界(インターネット)の脅威に。」と呼びかけます。

 かつてのCS月間キャンペーンはお役所っぽく地道なものでしたが、ここ数年、「攻殻機動隊」「ソードアート・オンライン」「BEATLESS」といった近未来アニメと相次いでコラボ。ネットが身近なだけに危険とも隣り合わせの若者を中心にメッセージを届けようと、力が入っています。年々増える政府のサイバー関連予算も追い風です。

「攻殻機動隊」と協力した政府の2016年「サイバーセキュリティ月間」ポスター。この年から人気アニメとのコラボが始まった=内閣サイバーセキュリティセンターのHPより
 こうした世間への呼びかけは大事です。が、肝心の政府自身はサイバー攻撃への備えは大丈夫なのでしょうか。

年金情報流出で後手

 記憶に新しいのが、厚生労働相の監督下にある日本年金機構での被害です。2015年、業務連絡を装って送られたメールを職員が開いたために機構のパソコンがウイルスに感染し、約125万件の個人情報が流出。容疑者不明のまま昨年に時効になりました。

朝日新聞より
 政府には各省庁へのサイバー攻撃を監視する内閣CSセンター(NISC)がありますが、対処は基本的に攻撃を受けた各省庁でなされ、日本年金機構の件では後手に回りました。縦割りの例でわかりやすいのが自衛隊の「サイバー防衛隊」で、守るのは防衛省と自衛隊だけです。

自衛隊のサイバー防衛隊が2017年3月に防衛省で行った初のサイバー攻撃対応訓練の様子。「不審なメールが開封された」という連絡を受け、システム障害やウイルス侵入を防ごうとした。出典:防衛省提供

五輪へ縦割りどう克服

 民間との連携も課題です。ネット依存が強まるばかりの社会で、電力、通信、交通といったインフラがサイバー攻撃にあったらどうするのか。各業界は別々の省庁が所管しています。攻撃の兆候を共有することから、被害への緊急対処に至るまで、やはり政府内の縦割り克服が欠かせません。

サイバー対策で重要インフラを担う各業界(左側から奥への列)と所管の各省庁(右側)が今年1月に開いた会議。東京五輪に向け対策強化を話し合った=東京・霞が関 出典:藤田直央撮影

 とりわけ日本では2020年夏に東京五輪が控えます。五輪では12年夏のロンドン以降、開会式や関連サイトなどを狙うサイバー攻撃が目立つようになりました。円滑な運営には競技会場や観客だけでなく周辺のインフラまで守ることが欠かせず、政府の役割も重いのです。

朝日新聞出典:東京五輪に向けたサイバー対策強化について藤田記者が朝日新聞に書いた記事はこちら

「CS庁」で解決?

 そこで唱えられているのが、東京五輪でのサイバー対策強化をテコに、政府内のサイバー関連部門をひとつにまとめ、サイバーセキュリティー庁(CSA)をつくることです。

 シンクタンクの笹川平和財団が昨年10月に提言。いま年間予算約40億円、職員数は自衛隊のサイバー防衛隊なみの約190人であるNISCを拡大し、CSAとして2千億円、2千人で立ち上げます。政府内のサイバー対策を一手に担うだけでなく、警察や消防、海上保安庁と同様に、世の中で起きた事件や事故にサイバー分野で対処します。

サイバーセキュリティー庁の創設を提言した笹川平和財団の報告書出典:全文はこちら

 欧米先進国にならって政府主導で社会全体へのサイバー攻撃に対応しようという訳なのですが、実は日本には、そう簡単にいかない事情があります。

 その国を取り巻く情報通信に政府が目を光らせている欧米先進国のサイバー対策は、「既存の対外情報機関が土台となっており、もともと人員や予算が手厚い」(笹川平和財団サイバー問題担当の大沢淳氏)という面があります。スパイや盗聴も含む対外情報機関の活動が国民に警戒されないよう、政府によるプライバシー侵害をチェックする機関もあるそうです。

 一方で日本では、敗戦後に対外情報機関がなくなり、今に至ります。

どんな社会がいいのか

 ただ、2001年に米国で同時多発テロが起きて以降、自民党からは日本を守るために対外情報機関を設けるべきだという声がたびたび出ています。サイバー対策強化を急ぐ政府にCSAのような組織を作る動きはまだ見られませんが、もし動き出せば対外情報機関へと発展するかもしれません。

2001年9月11日の米同時多発テロを伝える翌日の朝日新聞朝刊。テロリストが米旅客機を乗っ取り、ニューヨークの摩天楼やワシントンの国防総省に突っ込んだ。犠牲者は日本人24人を含む約3千人。米政府は「テロとの戦い」を掲げ対外情報活動の統合、強化を進めた。
 政府がサイバー空間での悪い行いを見張り、取り締まる役割を強めるということは、悪い行いに関係のない日常の通信も把握する力が強まるということでもあります。

 そういう社会を私たちは望むのか。望まないのであれば、政府にお任せにせずに社会をいかに守るか。自分を守るために自分自身でどこまでのことができるのか……。

 スマホやパソコンでネットにお世話になる日々、「サイバーの日」の3月18日まで続くCS月間に、そんなことを考えてみるのもいいかもしれません。

米政府による通信傍受などの情報収集活動を2013年に暴露した米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン氏。16年6月、東京で開かれた「監視社会」のシンポジウムに亡命先のロシアからネット中継で参加した。技術の進歩やテロ対策を背景に「政府が一般市民を無差別に監視できる状況になっている」と語った。出典:朝日新聞

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_44399cd38dbb_クイーン旋風、ネットテレビにも Abemaがライブ放送を決めた理由 44399cd38dbb

クイーン旋風、ネットテレビにも Abemaがライブ放送を決めた理由

2019年1月31日 10:31 withnews

 日本での興行収入が100億円を突破した映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、新たな展開を見せています。インターネット放送「AbemaTV」が2月2日午後10時からQueen(クイーン)の過去のライブ映像を無料放送します。クイーンのコアなファンとは距離がありそうなネット放送がなぜ? フレディが亡くなった後にクイーンを知った世代のプロデューサーに狙いを聞きました。

>>【画像】レア中のレアアイテム フレディ追悼コンサートのチケット

【AbemaTVの番組サイト】映画「ボヘミアンラプソディ」

クイーンが追い求めたファンも参加する音楽を映画でも追究

 今回、放送されるのは、冷戦下の1986年にハンガリー・ブダペストで開かれたライブです。この放送のきっかけとなったのが、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の空前のヒットでした。

 「20世紀フォックス映画」によると、昨年11月9日の日本公開から75日目で、興行収入が100億円を突破しました。1月28日現在、累計で興行収入105
億1636万円、動員数が760万人となり、2017年に公開された洋画「美女と野獣」の興行収入124億円にどこまで迫れるか、注目されています。

 この映画がここまで興行成績を伸ばしてきた背景には、様々な面で映画界の常識を覆し、イノベーターであったということです。

 「極音」「LIVE ZOUND」「凄音」といった劇場独自に音響のプロが音を微調整した映画館に遠方からでも人が駆け付けました。

 大型スクリーンで包み込まれるような感覚で見ることができる「IMAX」版やスタジオの音に近づけた「ドルビー・アトモス」版など、プレミアム仕様のバージョンで、いわば「体感する映画」というジャンルを築きました。

 さらに、「応援上映」のスタンダード化があります。「スタンディングOK」とする劇場が出てくるなど、昨年12月下旬ごろから、劇場オリジナルな取り組みが生まれました。

 それはまるで、クイーンがライブでの経験からファンも参加する音楽を追究したように、映画を見に来た人たちも参加できるような動きです。

 劇場に行くと、上映が終わった後、世代を超えた見知らぬファン同士が声を掛け合っている姿が見られます。

1992年に世界で限定発売されたBOXセット。ファンの吉田仁志さん所蔵のもの。

AbemaTVがブダペスト・ライブを急きょ放送する狙いは?

 このような盛り上がりの中、AbemaTVが企画したのが、『興行収入100億円突破記念!QUEEN史上最大規模&最後のツアー映像「ハンガリアン・ラプソディ〜クイーン・ライヴ・イン・ブダペスト’86」特別上映』です。AbemaTVの「SPECIAL2チャンネル」で放送されます。

 この番組のプロデューサー、黒澤隼人さん(30)は、フレディが亡くなった後、ドラマやCMで流れた楽曲を通じてクイーンを知った世代です。学生時代にやっていたバンドでは、フレディの「I Was Born To Love You」をコピーしていたそうです。

 黒澤さんは、昨年11月9日に「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されると同時に鑑賞し、すぐにこの番組企画を考えたそうです。

 当初は、年末年始の番組として可能性を探っていたものの実現しませんでした。興行収入が日本で100億円を突破し、アメリカのアカデミー賞にもノミネートされたタイミングを狙い、放送が決まりました。

出典: YouTube

【予習しよう!】Queen- Bohemian Rhapsody (Live In Budapest, 1986)
出典:Queen Official

「フレディ・マーキュリーの正義には”家族と愛”があった」

 「この映画を見始めた時から鳥肌が立ち、終盤では体が震え上がる感覚に襲われていました」という黒澤さん。

 「今まで見えなかった、フレディ・マーキュリーという1人の人間の生き様、境遇、苦悩。その全てを、繊細に描いたストーリー。その物語に対し、フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックは圧倒的存在感を放ち、まるでフレディ自身が乗り移っているのではないかと錯覚させるほど」

 黒澤さんは、音楽映画としての完成度もあったと言います。

 「誰もが引き込まれる名曲たちがフレディの人生になぞらえた形で奏でられ、音楽の総指揮ブライアン・メイとロジャー・テイラーが作るこのうえない説得力など、音楽映画としての最高峰といえる完成度がありました」

 「様々な要素があると思いますが、フレディ・マーキュリーの正義には”家族と愛”があったと言うことも、多くの日本人の共鳴を呼んだのではないかと思っています」

サンパウロであったイベントに登場したフレディ・マーキュリーのコスプレヤー=2018年12月、ロイター

新たなAbemaTV視聴者層を狙う

 映画で描かれた時代は1970年代や80年代前半です。AbemaTVの視聴者層とクイーンファンや映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見た人たちの層は、マッチするのでしょうか?

 そんな疑問に、黒澤さんは「世代を問わず支持されている映画だと思います」と自信を見せます。

 「10代、20代がSNSなどで映画『ボヘミアン・ラプソディ』に関して、感想などを多く投稿をしています。この映画をきっかけにクイーンに興味を持った若者をはじめ、昔からのファンなど、世代を問わず支持されている映画だと思います」

 黒澤さんによると、AbemaTVの視聴者層はほぼ男女半々。若年層を中心に幅広い年齢がユーザーだと言います。

 「今回のライブ映像を通して、映画をきっかけに興味を持った若年層やファンのみなさんに、映画やクイーンの魅力をさらに感じていただけるような番組にしたいと考えています」

 今回のライブ映像は、誰でも無料で見られるインターネット放送です。その狙いについて黒澤さんは、ユーザー層の拡大を挙げます。

 「番組を通じて、クイーンという伝説のバンドの魅力をインターネットの力で大きく拡散し、これまでAbemaTVをご覧になっていなかった方も含め、たくさんの方にご視聴いただける機会だと捉えています」

クイーンのライブ番組を企画したAbemaTVのプロデューサー黒澤隼人さん出典:AbemaTV提供

視聴しながらコメントでディスカッションを

 テレビは今、スマホ片手にSNSでつぶやいたり、検索したり、参加したりしながら見る時代です。そこに、インターネット放送の強みもあるようです。

 例えば、引退した安室奈美恵さんの特別番組。ユーザー同士がAbemaTVのコメント機能を使って議論する動きが見られたそうです。

 黒澤さんは今回のライブ映像の放送についても「他のメディアにはない新しい楽しみ方を今回もご提案できたらと思っております」と意気込みます。

 「お気に入りのシーンや感動の場面をTwitterで実況しながら同じ番組を見ている方々とコミュニケーションできるAbemaTVならではの機能なので、ぜひ当日ご視聴いただける方にはご活用いただきたいです」

 withnewsもクイーンファンとともに、当日参加してみたいと思います。

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_f43960cd7b6c_「つんく♂っぽい」と言われ……DA PUMP「U.S.A.」作詞家の狙い f43960cd7b6c

「つんく♂っぽい」と言われ……DA PUMP「U.S.A.」作詞家の狙い

2019年1月30日 20:52 withnews

 大みそか、実家のテレビに流れる紅白歌合戦を特別な思いで見ていた人がいます。DA PUMPの「U.S.A.」の作詞を手がけたshungo.さん(46)です。スマホにはひっきりなしにLINEやメールが届く中、「ああ、『U.S.A.』は確かに2018年の大ヒット曲だったんだ」とかみしめました。英語詞と同じ響きの日本語を選んだり、語尾の「あ」を意識したり……。「ダサかっこいい」を成功させた言葉のプロに、ヒットの舞台裏を聞きました。(朝日新聞記者・坂本真子)

>>【画像】テレビ欄で振り返る平成、DA PUMPと一緒に紅白初だったラルク

「米国に憧れる少年をイメージ」

  昨年12月、shungo.さんを訪ねると、少し緊張した面持ちでインタビューに答えてくれました。

「『U.S.A.』の歌詞は、1960~70年代の米国に憧れる少年をイメージしたものです」

原曲は1992年にイタリアで発売されたユーロビートの「U.S.A.」。サビの「カモン・ベイビー」は元の歌詞を生かしました。
また、できるだけ原曲の英語詞と同じように聞こえる言葉選びを意識したそうです。たとえば、原曲の「チーク・トゥ・チーク」は「地球人」に。確かに響きが似ています。

 歌詞のフレーズの末尾に、「シネマ」「渚(なぎさ)」など「あ」の音を多く使ったことにも理由がありました。

 「ユーロビートは、2曲に1曲は『ファイア』とか『ディザイア』のような言葉が語尾に来るんです。語尾のアタックを大事にするために、『あ』の音でそろえました」

 さらに、伸ばす音と、小さい「つ」の位置を先に決めて、言葉を当てはめたそうです。「一飛(ひとっと)び」「リレーションシップ」「オーシャン」「ハート」などが、それにあたります。

 「日本語はダンスミュージックに乗りにくいので、歌を跳ねさせるために、伸ばす音と小さな『つ』を駆使しました」
 細部まで計算され、言葉を選び抜かれた歌詞であることがわかります。

「1960~70年代の米国に憧れる少年をイメージしたものです」と語るshungo.さん=飯塚悟撮影出典:朝日新聞

作詞家としても実績重ねる

 作詞家のshungo.さんは、どんな人物なのでしょうか。

 出身は東京都。マドンナやイングヴェイ・マルムスティーンといった洋楽を聞くのが好きな高校生でした。英語の歌詞を熟読して韻を踏む手法を知り、自らも歌詞を書き始めます。英会話の授業中に歌詞ノートを教師に没収され、二度と戻って来なかったそうです。

 「授業中に書いていたら、ものすごく怒られました。文法が違う、英語としておかしいと、みんなの前で言われたことも覚えています」

 音楽との出会いは、子どもの頃に習ったにエレクトーン。楽譜は読めず、課題曲を耳で聴いてコピーして弾いていました。
そして、歌うことが好きでした。

 20代初めの頃、歌のオーディションを受けて合格し、95年にボーカル&ダンスユニット「HIM」に男性ボーカルとして加入。アルバムにメインで歌う曲が2曲あり、「詞を書かせてください」と頼んで書いたのが、作詞家としての最初の一歩でした。

 「詞の指導をしてくださったプロデューサーの方に褒められて、その気になったというか。英語と日本語が合わさって意味が通じる文章は歌詞として成立しない、ということも教わりました」

 HIM解散後、2000年に男性R&Bユニット「Sin」のボーカリストとして再デビュー。作詞家としても本格的に活動を始めました。

 HIMの曲「AS TIME GOES BY」を元SPEEDのhiroがカバーしたことが縁で、同じ音楽事務所に所属するw-inds.の詞を手がけるように。

 2002年「Because of you」、03年「Long Road」、05年「十六夜の月」、07年「Beatiful Life」など、数多くのw-inds.の曲に詞を書き、紅白歌合戦でも3度、作品が歌われました。

 他にも玉置成実さん、中西圭三さん、上戸彩さん、島谷ひとみさん、谷村奈南さんらの曲に詞を書いています。また、作曲やプロデュースを手がけた作品もあります。

マドンナやイングヴェイ・マルムスティーンといった洋楽を聞くのが好きな高校生だったという=飯塚悟撮影出典:朝日新聞

「奇をてらわず普通に」

 昨年、w-inds.と同じ事務所のDA PUMPが3年8カ月ぶりにシングルを出すことになり、「U.S.A.」の日本語詞を依頼されました。

 「ISSAさんが歌われる音を想像できたので、書きやすかったです。奇をてらうようなことは考えず、ごく普通に制作しました」とshungo.さん。

 「U.S.A.」は、夏の高校野球の応援歌になったり、運動会やお祭りで使われたり。shungo.さんのもとにも毎日のように友人や親類から「子どもが踊った」などの動画が届くようになりました。

 「ISSAさんが歌われた瞬間に自分の手を離れてDA PUMPの曲になったので、こういう風にブレークするんだと客観的に見ていました。イントロが流れた瞬間に、ちびっ子たちの頭にビックリマークのようなものが出るんですよね。魔法みたいなものがあると思いました」

「U.S.A.」を披露するDA PUMP=2018年12月31日、東京・渋谷のNHKホール、池田良撮影出典:朝日新聞

聖子さんの「いいねダンス」に「驚愕」

 「U.S.A.」は、年末の日本レコード大賞で優秀作品賞を受賞し、DA PUMPがパフォーマンスを披露しました。メンバーのKENZOさんが「U.S.A.という曲で1年間、夢みたいな時間を過ごさせてもらいました」と語って感極まり、涙ぐんだ姿が印象的でした。

 shungo.さんもそんなDA PUMPの姿をテレビで見て、「すべてが全力で誠実でグッときました」。

 大みそかは実家で家族や友人と共に紅白歌合戦を見て、友人や知人からたくさんのLINEやメールが届いたそうです。

 紅白では、さまざまな出演者がDA PUMPと一緒に「U.S.A.」を踊りました。中でも松田聖子さんが「いいねダンス」と最後の「ひよこダンス」を笑顔で踊る姿を見て、「驚愕しました」とshungo.さん。

 「ああ、『U.S.A.』は確かに2018年の大ヒット曲だったんだ、と実感しました」

DA PUMPの「いいねダンス」出典:朝日新聞

荻野目洋子さんのファンだった中学時代

 作詞家として、shungo.さんは物語の情景を紡ぐ、松本隆さんのような詞が目標だと言います。

 「松本さんの映画みたいな詞が大好きだったので、寂しいことを寂しいと言うのではなく、違う言葉で情景を描くのが歌詞だと思っています」

 「フックとして『愛してる』みたいなことを言ったとしても、『悲しい』『切ない』『寂しい』というよりは、『○○を一人で歩いている』『一人の影が伸びる』みたいな情景を描く方がより伝わると思うので」

 実は中学生の頃、荻野目洋子さんのファンでした。今は彼女と同じ事務所に所属。詞の書き方を教わったプロデューサーは以前、彼女の担当ディレクターでした。一昨年の「ダンシング・ヒーロー」のリバイバルヒットは、「U.S.A.」へと続くユーロビート復活の流れも作りました。

 「ご縁の要に必ず荻野目さんがいらっしゃる。いつか詞を書けたらいいなと思います」

盆踊りの輪の中で「ダンシング・ヒーロー」を熱唱する荻野目洋子さん(中央)=2018年7月29日夜、愛知県一宮市、戸村登撮影出典:朝日新聞

東北でのボランティア「とても幸せな日々でした」

 shungo.さんには、作詞家とは別の顔もあります。

 昨年夏、宮城県大崎市をPRする「U.S.A.」の替え歌「湯ですぜ!」の詞も書きましたが、同県は東日本大震災以降、ボランティアに通っている土地です。

 震災の翌月に2週間。その後、現地で知り合った柔道整復師の開院を手伝うため気仙沼市へ行き、2年3カ月暮らしました。隣家に住む86歳の女性と交流を深め、「昔ながらのことをたくさん教わりました。価値観が変わり、人間に戻していただいた感じ。とても幸せな日々でした」と振り返ります。

 茨城県常総市の水害や熊本地震のときも被災地へ。ボランティアはライフワークになりました。「U.S.A.」のヒットでやっと、作詞家であることを被災地のお年寄りたちにも理解してもらえたそうですが、「湯ですぜ!」を歌ったグループEnGene.のプロデュースも担当するなど、宮城県との縁は続いています。

出典: YouTube

「つんく♂っぽい」歌詞、本当の狙い

 昨年5月に「U.S.A.」のミュージックビデオがYouTubeで公開され、6月にシングルが発売されると、「どっちかの夜は昼間」などの歌詞が「つんく♂っぽい」などと騒がれました。

 これには、「普段と同じように書いた曲なのに……」と、戸惑ったと打ち明けます。実は「どっちかの夜は昼間」の「夜」は「闇」を指し、続く「ユナイテッドする朝焼け」につながるそうです。

 「どっちかがダメでもどっちかはいいから、闇を抜けて、いい方向に引っ張っていこう、朝焼けへつないでいきましょう、と。無意味に書いたわけではなかったんです」

 この歌詞に込めた思いの奥には、ボーカリストを志し、2度の歌手デビューを経て、作詞家として花開いたshungo.さんの、決して順風満帆ではなかった歩みがあります。そして、苦節10年で再ブレークを果たしたDA PUMPとも重なります。

 言葉のプロが紡いだ、細部まで計算され尽くした歌詞。意識してみると、「U.S.A.」の聞こえ方が変わるかもしれません。 

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cat_oa-rp53487_issue_d974e0df8bdf oa-rp53487_0_45cf5f4c3be0_釣った魚をクーポンに……「三方よし」夢のサービスは本当にあった 45cf5f4c3be0

釣った魚をクーポンに……「三方よし」夢のサービスは本当にあった

2019年1月30日 06:50 withnews

 みなさん、釣った魚ってどうしていますか。自分で食べられたら1番良いのですが、さばいたり料理したりするのって難しいですよね。できたとしてもたくさん釣れたら食べきれないということも。逃がすのももったいないです。そんな悩みを解決するサービスがあります。釣った魚をクーポンに交換できて、地元の食事や温泉を楽しめる。まさに「ウィン・ウィン・ウィン」の取り組みを体験してきました。(朝日新聞静岡総局記者・堀之内健史)

>>【画像】水族館で「おいしそう」はダメ? 青森県営浅虫水族館の解説文

釣った魚を市場に引き取ってもらう

 「ツッテ熱海」は、静岡県熱海市の「熱海魚市場」で取り組まれています。

 市場と提携する釣り船で釣った魚を市場に引き取ってもらい、周辺で食事や温泉などに使えるクーポンに交換できます。

 市場が提携する釣り船は現在3隻。今回はそのうち裕海丸(ひろみまる)さんに乗船してきました。

出港前の裕美丸

道具もレンタル

 2018年12月下旬、午前6時15分ごろ。まだ暗い熱海港が集合場所です。

 ツッテ熱海は「初心者でも手ぶらで」がコンセプト。取り組みに参加する釣り船はいずれも道具をレンタルでき、使い方も一から教えてもらえるそう。
 
 私も持参したのはタオルと飲み物だけ。

 港に車を停め、出迎えてくれたのは副船長の押切貴美子さん。船長は押切さんのおじの伊藤年秋さん。伊藤さんは熱海一のタイ釣り名人だそう。これは期待できます。

 東京都太田区から旅行で熱海に来ていた柳原弓恵さん(46)、大希君(10)も一緒に乗船しました。

 7時前、いざ出港です。水平線に日の出が見えました。

 15分ほどでポイントに到着。

 さあ、釣りスタートです。レンタルした電動のさおの動かし方やエサの付け方、仕掛けの落とし方などは押切さんが3人につきっきりで丁寧に教えてくれます。

タイ釣り名人の船長、伊藤さん

出港しました

押切さんが丁寧にさおの扱い方や釣り方のコツを教えてくれます

熱海の街並みを眺めながらゆっくりと

 水深はおよそ70メートル、マダイが狙えるポイントとのこと。えさのエビをつけた仕掛けを底まで落としてから1~2メートルほど上げたところで待ちます。しばらくしたら上げ、またエサを付けて落とす、を繰り返します。

 熱海の街並みを眺めながらゆっくり待ちます。

 滋賀県出身の記者は子どものころ、よく父親や友人たちとブラックバスやブルーギルを釣りにでかけていました。大学生になってからは時々、海釣りをするようになりましたが、働き始めてからはほとんどしていません。電動のさおを使うのも初めてです。

 しばらくすると、船長のさおに当たりが。大希君が釣り上げました。小ぶりのマダイです。

 私も気合を入れ直しますが、その後も当たりはきません。

 「マダイはいるけど、今活性が悪い」とのことなので、次はアマダイが狙えるというポイントへ移動しました。

 「記者さんきてるよ!」

 そう言われ、あわてて引き上げます。

 小さいです。ベラという魚で市場では引き取ってもらえないとのこと。

 少し焦ってきました。釣れなかった場合、記事にできるのか……。

 それを察してか、「必死に釣ろうとする人ほど釣れないですよね」と押切さん。余計に焦ります。

マダイを釣り上げた大希君

3匹を手に市場へ

 無になろうと待っていると、また当たりが来ました。引き上げると、少しこわい見た目の魚が釣れました。大きいです。

 「これはオニカサゴ。珍しい。なかなか釣れないし、おいしいよ。サイズも大きい」と船長。

 市場にも売れるそうです。なんとか、安心です。しかしせっかくなのでタイを釣りたいです。

 弓恵さんはアマダイをゲット。大希君はアマダイのほか、特大のカワハギまで釣り上げています。

 粘りましたが、私のさおにタイはかからず、11時ごろ、タイムアップ。

最初に釣れたベラ。市場には売れないそう

やっと釣り上げた大物、オニカサゴ
 釣果はオニカサゴ1匹、ベラ1匹。船長が釣り上げたアマダイを1匹いただきました。

 ここで参加証明書というものを渡されました。

<釣った魚は釣り船スタッフの指示に従いすぐに氷締めや必要に応じて血抜きを行います>
<釣りが終わったらすぐ熱海魚市場へ釣った魚を持っていきます>
 
 これらの項目にチェック。釣り人、釣り船の両者が署名します。

 一般の人の口に入る魚なので、こうして品質を保証しているということです。

 釣った魚をクーポンに代えるために、熱海港から車で数分の熱海魚市場まで持っていきます。

弓恵さんはアマダイゲット

⑨大希君は大きなカワハギを釣り上げました

この日の釣果。自分で釣り上げたのは中央のオニカサゴと小さなベラ1匹。残りは船長さんにいただきました

魚を釣ってハラミ定食を食べる

 魚を持っていくと市場の方が魚種ごとに分けてくれます。買い取り価格は時期や魚種によって変わるそう。この日はアマダイ、オニカサゴともに1キロあたり1400円の買い取り価格でした。
 
 計測するとオニカサゴが800グラム、アマダイは300グラムでした。計1500円分。うーん、もう少し釣りたかったです。

 1500円分のクーポンを受け取りました。

 さあ、これをどこで使うか。現在、利用できる店はレストランやお土産屋、温泉など18店舗です。
 
 お腹が減ったのでランチにします。少し離れた網代にある焼き肉屋「とんがらし」に行きました。

 1480円のハラミ定食を注文。おいしくいただきました。
 
 釣った魚を自分で食べたいという思いもありましたが、魚をさばいたことはないですし、さばけたとしても、タイとカサゴ合計1.1キロは一人では食べきれなかったと思います。

アマダイは300グラムでした

1500円で交換の魚、4千円で競り落とされる

 自分で釣った魚を食べる――。それが釣りの醍醐味ですよね。でも釣った魚をどうすればいいのかわからないというのが、釣りへのハードルを上げている部分もあると思います。

 この取り組みは、市場が提携する釣り船で釣った後、市場に持ち込むだけで、お金と同じ価値のクーポンに代えてもらえます。釣った後のことを心配しなくていいという点で、釣りへのハードルを大きく下げてくれる取り組みではないでしょうか。

 たくさん釣れた時に、食べる分だけ持って帰り、残りはクーポンに代える、といった使い方もできそう。熱海に観光に来ていて、釣りをしたいけど、魚を持ち運べないという人たちにもぴったりかもしれません。

 釣った人はクーポンで熱海を楽しめる。買い取る市場としても扱う魚が増える。クーポンを使うことで地域も潤う。

 まさに「三方良し」の取り組みだと感じました。

船から見た熱海の景色

地域活性化のモデルに?

 ツッテ熱海は昨年9月に始まったばかり。今後、提携する釣り船を増やしていくそうです。

 もっとクーポンが流通し、釣りを通じて熱海の経済が盛り上がれば、地域活性化の一つのモデルにもなるかもしれません。

 ちなみにクーポンに代えたオニカサゴとアマダイは翌日の競りで4千円ほどで競り落とされたそうです。

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