「心臓発作にならない方法」求め、増えるボードゲームカフェに潜入

2018年7月8日 06:50 withnews

 「心臓発作にならないための10の方法」、みなさんご存じですか。字面だけ見ると、よくありがちなネット記事のような感じがします。ですが、これ、ボードゲームなのです。義理のお母さんの来襲を避けたり、他人にヤバい食べ物を食べさせたり、離婚したり、はたまた長期休暇をとったり…。人生ゲームが発売50周年を迎えた中で、ボードゲームの人気が高まっているようです。各地で増えているボードゲームカフェに行って色々と触れてみました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)
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オープン3年でも「老舗」

 人生ゲームはシリーズ60作品に達し、累計1500万個以上が販売されているようにボードゲーム自体の歴史は深いです。一方、ボードゲームカフェとなると、つい最近できた店が多いようです。

 「心臓発作~」を教えてもらうために向かったボードゲームカフェ「上野上さま」は、東京メトロ千代田線の湯島駅から2分ほど歩いた雑居ビルの2階にありました。2016年7月のオープンです。新しい業態のため、この業界では3年も経つと「老舗」の部類になるとか。

雑居ビルの一室にひっそりとあります

2日間で2万人を動員

 以前は雀荘だったため、麻雀もできます。ですが、店内は禁煙。ドリンクも頼むことができ、クリーンな雰囲気が漂っています。この店、今でもちゃんと風俗営業法の許可を得て雀荘を営業しています。雀荘って風俗営業法が関わってくるのですね。
【関連リンク】その麻雀大会、大丈夫? 賞金出して逮捕…例外も
 ボードゲームカフェは、都内に80店舗ほどあります。全国には200店舗(店長情報)あるそうで、増えているようです。

 電源を使わないアナログのゲームが一堂に会するイベント「ゲームマーケット2018春」は、2日間で2万人(主催者発表)を動員するほど、ボードゲーム自体の人気が出ています。

クリーンな店内

550種類以上のゲーム

 店内にはUNOなどの有名なゲーム以外にも、550種類以上のゲームがあります。見たことのないようなゲームが大半です。

 新入社員の歓迎会などでも使われ、貸し切りもしています。

壁一面に並ぶボードゲーム
 店長の松岡知宏さん(38)は「最初は私物の20種類くらいから始めました」。小さい時に転勤族だった松岡さんは「ボードゲームを一緒にすることで初めて出会う友達ともすぐ仲良くなれたので、ゲームが大好きになりました」と話します。

 現在は、別の仕事をする傍ら、夜にカフェの運営をしています。

ゲームの説明をする松岡知宏さん(中央)

他人を不健康に…

 だいぶ話はそれましたが、「心臓発作にならないための10の方法」は簡単に言えば、様々なイベントを乗り越えながら血圧や肥満、うつ、ガン、コレステロールの数値を維持し、生き残りを目指すチェコ発のボードゲームです。

 会社員として生活する中で、ストレスや誘惑をうまく避けながら、最後まで健康にいることと、他人に容赦なく不健康な物を振ることが求められます。海外のゲームですが、日本の現実の生活にえらい近いゲームですね。

 2~5人で遊ぶことができ、4320円(税込み)です。

体に悪そうな…


「仕事と家庭は不倶戴天の敵」

 ルールブックは「仕事と家庭は不倶戴天の敵としてあなたの時間と気力を激しく奪いあっています」との書き出しから始まります。

 「ナイトライフや怠惰といったあなたの大罪を贖うのは、たまにやるスポーツや、場当たり的な健康生活への挑戦だけ」とリアルな言葉が続き、「迷惑事、パーティー、親戚来訪といった危機が常にあなたを脅かしています」と。人生をしっかりと反映したゲームです。

 対象年齢は10~99歳。100歳以上がプレーしてはいけない理由があるのでしょうか。

義母の来襲はストレスなのでしょうか…
 墓場マークに到達すると、プレーヤーは死亡してゲームから脱落します。最後の1人になるまでゲームは続きます。

 勝利するのに求められるのは「日常生活に潜む精神的・肉体的脅威にもっともうまく対処すること」。世の中には想像もしないような内容のゲームがあるものです。


「ユウスケ」も大変です

学生も訪れるボードゲームカフェ

 話を再度戻します。「上野上さま」には、「カラオケやボウリングに行こう」というような感覚で訪れる学生も多いとか。

 日本ではまだ販売されていない種類もあり、松岡さんの選球眼で「ライトからディープな層までお付き合いいただけるラインナップがそろっている」そうです。海外のものでも、ルールを教えてもらえるので安心です。

 ボードゲームの販売もしており、実際に買っていくお客もいました。
 

海外のボードゲームも多数

はまる記者

 取材に訪れた日のテーマは「正体隠匿ゲーム会」。日によってテーマを決めてゲームをやるイベントが開催されています。初心者でもゼロから教えてくれるスタンスのようです。

 正体が分からないようにする「ワンナイト人狼」などが実施されており、参加してみるとはまってしまい…。いつも仲間内でやるとすぐに処刑されてしいますが、初対面の方々とやると楽しいものです。

 取材が1時間だったのに対し、4時間ほどゲームにのめり込んでしまいました。これは危ない。今後も面白いボードゲームの世界を紹介するかもしれません。

ちまたではやっている外交ゲーム「Diplomacy」
<上野上さま> 東京都台東区上野1-2-5-205
料金 一般500円、4人以上400円、学割300円(いずれも1時間)
営業 平日(午後5時半~午後11 時)、土日祝(午後1~10時)、水曜定休
電話 03-3836-1869
Twitter ‎@ueno_uesama
ホームページ http://uenouesama.com/

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ピーターラビットと信託の意外な関係 世界一の景色守った作戦とは

2018年7月7日 07:00 withnews

 映画でも大人気になった、ご存じ「ピーターラビット(TM)」。イギリスの田舎を舞台にした、かわいいウサギが主人公の物語です。このピーターラビット、じつは「信託」と深いつながりがあるそうです。信託銀行や投資信託……。信託がついた言葉はいくつか思い浮かびますが、なんだか難しそうなイメージ。どんな関係があるのか、答えを探しに「信託博物館」にやってきました。(朝日新聞記者、柴田秀並)

なぜこんなところにあのウサギ

 東京駅から徒歩3分。丸の内の超一等地に、西欧風の重厚な建物が見えてきます。「信託博物館」です。

 運営する三菱UFJ信託銀行本店ビルに隣接していますが、本店ロビーにもいきなり、ウサギたちの森が。
 謎が深まります。

信託博物館に隣接する三菱UFJ信託銀行本店のロビーにも、ピーターラビットの森が再現されていました

あのウサギたちです。いったいなぜここに…

ヒントは物語の舞台にあった

 さっそく「信託博物館」の中へ。
 館内には、信託の歴史が分かる資料や、基礎知識をまとめた映像を映す大型モニターが並びます。
 その一角に、ありました。見慣れたジャケットを着たウサギの展示です。

 事務局長の友松義信さんが解説してくれました。

 「ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポター(TM)(1866~1943)は、英国・湖水地方をとても愛した方でした。物語の舞台として、この地が多く登場します」

 「湖水地方」とは、イングランド北西部、大小の湖が点在する美しい景観で知られる地域です。

 ポターは小さい頃から避暑でこの地を訪れていたそうです。やがてこの地に魅了されたポターは湖水地方のニア・ソーリー村という所に移り住みます。ここで、多くの作品を生み出していきました。

ポターが初めて購入したニア・ソーリー村のヒルトップ農場の当時の写真。物語の一場面とそっくりです

迫りくる乱開発の波

 しかし当時は開発ラッシュの時代。売りに出された土地が業者によって乱開発される恐れがありました。

 自らの愛した土地や自然を守ろうと、ポターは私財をなげうって自ら土地を購入する決断をします。

 「ポターは1905年にニア・ソーリー村にあった農場を買ったのを皮切りに、土地だけでなく、小さな一軒家など、どんどん買い取っていきました。その資金には、本の売り上げもあてられています」

 私財を捧げ、自らの愛した地域を守るなんて、頭が上がりません。でも、それと「信託」がどう関係するの?

 「ポターはこの地を後生に残すために、イギリスで発生し、勃興しつつあった『信託』=トラストを使いました」

「愛する地を残すために信託を使いました」。ピーターラビットの展示の前で力説する友松事務局長

東京ドーム360個分の景色、そのままに

 友松さんによると、信託とは「誰かが誰かに何かを託す」仕組みです。その源流の一つが中世の騎士と言われているそうです。

 出征すると自らの土地が妻子だけになり、近隣の有力者に奪われる危険がありました。そこで騎士たちは、信頼する友人に管理を託して土地を譲渡したのです。

 イギリスではこうした仕組みが進化し、託された者にきちんと管理させる法制度も整っていきます。そして、信託の仕組みがあらゆる場面で使われるようになりました。

 ポターも自分がいなくなった後に自然が破壊されないよう、信託しました。彼女の遺言で、東京ドーム360個分という広大な土地のほか、農場や数多くのコテージを「ナショナル・トラスト」という非営利団体に寄贈しました。

ポターが愛した湖水地方の風景=友野賀世撮影

託したのは土地だけではなく

 信託された団体は、自然環境や歴史的建造物を保護管理する目的に創設され、現在では日本も含めて世界各地で設立されています。
 ポターから信託された広大な土地や自然を、いまも守っています。数多くの観光客が訪れ、その入場料収入がこの地域の保全・維持にあてられているそうです。

ポターから自然保護団体に土地が託され、後世に引き継がれた
 ちなみに彼女の遺言の一部はとてもユニークです。自らが愛した風景をそのまま残したいという思いがにじみます。
 ・高原の農場で飼育する羊は、純粋のハードウィック種で維持すること
 ・トラウトベック・パーク農場内での、オッターハウンドとハリアーといった猟犬による狩猟を固く禁じる

ポターが保護に努めた在来種のヒツジ(ハードウィック種)の群れ=友野賀世撮影

世界観そのままのプリクラも

 三菱UFJ信託銀行は、ピーターラビットをイメージキャラクターに使って今年で30年といいます。

 「愛されるキャラクターであるのはもちろんです。それに、ポターが自らの愛した自然を残したいという願いを信託しました。我々も、お客様からいろんな財産を託して頂き、思いに応えるお手伝いをしています。少々おこがましいですが、そういう意味では同じだと思っております」。友松さんは、そう締めくくりました。

 信託博物館は入場無料。平日の午前10時~午後6時に開館しています。ピーターラビットのプリクラも撮れちゃいます。「8種類あって、撮影は無料です。全パターン撮るファンの方もいますよ」と友松さんの部下の堀いづみさん。

ピーターラビットの世界に自分の姿を合成したプリクラが撮れます。堀さん(左)と友松さん







検索してもわからないこと、調べます。

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むかしの生き物が現代に紛れ込んでいたら… 大きさが一目瞭然な図鑑

2018年7月6日 06:50 withnews

 大昔の地球で暮らしていた生き物を、現代の日常に配置したらスケール感が伝わるんじゃないか――。そんな思いで制作された「リアルサイズ古生物図鑑」が、発売前からネット上で話題になっています。3DCGを使ったり、何度も読みたくなる仕掛けを作ったり、随所に工夫を凝らした一冊について担当編集者に聞きました。


「アノマロカリス・カナデンシス」のページ出典:技術評論社提供

こんな本です

 技術評論社から今月21日に発売される「リアルサイズ古生物図鑑 古生代編」(B5判208ページ、税別3200円)。著者はサイエンスライターの土屋健さん、監修は群馬県立自然史博物館です。

 これまでの古生物図鑑と大きく異なる点は、生き物のサイズ感を直感的に捉えることができる点です。

 魚売り場にサバなどと一緒に並んだ「アノマロカリス・カナデンシス」や、横断歩道を渡る「アースロプレウラ・アルマタ」、ラブラドールレトリバーと昼寝する「ディイクトドン・フェリケプス」など、日常生活を撮影した写真に3DCGで作った古生物を合成してあります。

 まだ発売前ですが、ツイッター上では「すごく気になる」「編集者の光るセンスを感じます」「予約してしまった」と話題になっています。


ラブラドールレトリバーと昼寝する「ディイクトドン・フェリケプス」出典:技術評論社提供

発案のきっかけは

 「これまでにも土屋さんと古生物に関するシリーズを何冊も出してきました。大きさについては『全長1m』『頭胴長3.5m』といった感じで説明してきましたが、そのスケールを実感してもらう良い方法はないかと考えていたんです」

 そう話すのは、リアルサイズ古生物図鑑の担当編集者・大倉誠二さんです。

 「中生代の生き物になりますが『始祖鳥』がどれくらいの大きさか知っていますか? 実はカラスやハトとそれほど変わらないんですよ」

 数字で伝えるよりも、身近なものと置き換えたり、日常シーンの中に紛れ込ませたりすることで実感してもらえるのではないかと考えたのが、きっかけになったそうです。


横断歩道を渡る「アースロプレウラ・アルマタ」出典:技術評論社提供

資料性の高い仕上がりに

 各ページでは日常生活の写真に、3DCGで作った古生物を合成しています。

 「単なる悪のりに終わらせることなく、リアルさを追求した結果、3DCGを使うことにしました。費用はかかりますが、配置する際の角度など細かな点で効果がありました」

 そのおかげで、「上面」「正面」「底面」「側面」といった角度から描いた三面図的復元図も掲載できることに。古生物の全体像を把握する資料性の高いものに仕上がったといいます。

 また、ところどころに他のページに登場した古生物が「ゲスト出演」しています。

 例えば、魚売り場に並んだアノマロカリス・カナデンシスのページには、こっそり「ネクトカリス・プテリクス」が登場していて、「売約済み」の紙が貼ってあります。そして、別のページではネクトカリス・プテリクスがお寿司になっています。

 「『あっ、この生き物はさっきのページで見たやつだ』と気づいて、またそのページをめくってもらえたら、という狙いです」


表紙はこちら出典:技術評論社提供

ビシビシ味わって

 発売前から話題になったことを受けて、来年には「中生代編」を出すことも決定。恐竜や原始的哺乳類などを紹介する予定で、次は「新生代編」も検討中だといいます。

 注目を集めていることについて、大倉さんはこう話します。

 「サイズ感をビシビシ味わって楽しんでもらいたいです。また、読んだお子さんが一人でもいいから『古生物を研究しようかな』と思ってくれたらうれしいです」

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キティが仕事を選ばない理由とは? 株主総会での社長の発言が話題に

2018年7月6日 06:50 withnews

 いろんな業種とコラボして「仕事を選ばない」とも言われるハローキティ。先日開催された株主総会で、サンリオの社長が明かしたその理由が話題になっています。発言の真意について取材しました。


宮崎牛とコラボ出典:サンリオ提供

みそ汁やUNOにも

 「ハローキティ」が誕生したのは1974年。サンリオによると「いつも元気いっぱい。ちょっぴりおてんばで、明るくてキュート。みんなをHappyな気持ちにさせてくれる、とってもやさしい女のコ」です。

 人気は国内にとどまらず、「カワイイを世界共通語にした」とも評されます。

 他社とのコラボも数多く、最近ではマルコメから「ハローキティのおみそ汁」が発売されたり、カードゲーム「UNO」にも登場したり、「仕事を選ばない」とも言われることもあります。


マルコメの「ハローキティのおみそ汁」=マルコメ提供出典:朝日新聞

こんな理由があったとは

 そんなキティに関するツイートが、話題になっています。

 サンリオの株主総会で、辻信太郎社長がこんな話をしたそうです。

 大好きなのに売れずになくなってしまいそうなものがあったら、サンリオとコラボするように言ってほしい。そうすればコラボして売れるようにする。世界中みんなが仲良くするためにこの会社を作ったのだから、と。

 このツイートに対して、「こんな理由があったとは」「本気で涙出た」といった声が寄せられています。


歌舞伎を取り入れたミュージカル「KAWAIIKABUKI」の様子出典:サンリオ提供

サンリオに聞きました

 社長は株主総会でこのような発言をしたのでしょうか? サンリオの広報担当者に聞くと、こんな答えが返ってきました。

 「今年の株主総会は6月28日でした。毎年、総会終了後に株主のみなさんと辻がお話をする時間があるのですが、その中で出た発言です」

 サンリオのライセンスビジネスに関する話の中で、以下のような趣旨の発言をしたそうです。

 「面白いと思った商品や、おいしいと思った商品について、『実は売れなくて困っているんです』という話を聞いた際は、サンリオとコラボするように言ってほしい」


ハローキティ新幹線の2号車。座席の枕カバーもハローキティに=2018年6月25日、福岡県那珂川町の博多総合車両所、長沢幹城撮影出典:朝日新聞

企業理念は

 「世界中みんなが仲良くするためにこの会社を作った」という部分は、辻社長がよく口にする言葉だといいます。

 ホームページに掲載されている企業理念には、こう書かれています。
 毎日を幸せな気持ちで生きていきたい……

 それは、私たち人間の心からの願いです。

 では、本当の幸せとはいったい何でしょう。

 どんな人間も、たったひとりで生きることはできないのではないでしょうか。

 支えあい、助け合ってはじめて生きていくことができるのです。

 ともに生きる仲間たちと信じあい、仲よく生きていくこと。

 それが、私たち人間にとっての本当の幸せなのではないでしょうか。

 (中略)

 悲しいとき、苦しいとき、楽しいとき……どんなときも、心から話し合えるひとがいる幸せを、一人でも多くのひとに感じてもらいたい。

 そう願って、私たちは事業に取り組んでいます。
出典:サンリオのホームページ

段ボールにはこんな文字が

サンリオの段ボールには「世界中がみんな“なかよく”」の文字が記されています出典:サンリオ提供


 「純粋な社会貢献としてライセンス提供をするケースもありますが、ライセンスビジネスについては採算性などもしっかり検討して実施しています」と広報担当者。

 企業理念を守りながらビジネスとしても回せる仕組みを。キティが仕事を選ばない背景には、こんな理由があるようです。

 ちなみに、サンリオで使っている段ボールにはこんな文字が記されています。

 「世界中がみんな“なかよく”」

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【世界の乗り物】ロバも牛も馬も…最後の頼りは動物 船や自転車も

2018年7月6日 06:50 withnews

 ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、「街の乗り物」をテーマに撮った写真を集めました。今回は自転車、バイク、船、そして動物を取り上げます。自転車は各地で公共交通機関としての復権を果たしつつありますが、課題もあるようです。途上国ではバイクタクシーが人気を集め、川や湖に接する街では船が活躍。道路の整備されていない地域では、動物たちが人やモノを運んでいます。(朝⽇新聞国際報道部)

シェアサイクル、光と影

 個人で楽しむ乗り物として、スポーツやレクリエーションの側面が注目されてきた自転車。排ガスを出さない点などが見直され、市民の足として新たに導入する動きが各地で進んでいます。街角に置かれ、共同で利用するシェアサイクルという形です。台湾の西本秀記者から。

台湾のシェアサイクル
 西本記者「台湾には『You Bike 微笑単車』と呼ばれるシェアサイクルがあります。
 2012年に先駆けて導入された台北市内の場合、主要地下鉄駅や公共施設の近くに、約400カ所の自転車ステーションが設置されています。通勤や通学にも使えますし、私も休日、少し離れたショッピング街に買い物に出かける際などに利用しています。
 中国では上海など、どこでも乗り捨てできる自転車が話題になっていますが、古くなった自転車が放置されがち。台湾では自治体と地元の自転車メーカー・ジャイアント系の団体が連携してステーションを整備し、自転車のメンテナンスをしています」

台湾のシェアサイクル
 西本記者「地下鉄やバスで使う交通カードをステーションの機械にかざすと、自転車のロックが解け、乗車が可能になります。
 料金は、基本的には30分で10台湾ドル(約36円)。最初に利用する際、スマートフォンのアプリを通じて、会員登録が必要です。
 地下鉄やタクシーなどで移動するよりも、街角の風景や空気を体に感じながら移動できるのが、自転車の良いところです」

 この光景、日本でもおなじみになりつつありますね。東京・築地にある朝日新聞社前にもシェア用の赤い自転車が並んでいます。近場への取材は自転車で、という記者も増えているようです。

大量に投棄されるシェアサイクル=北京市、山本裕之撮影
 シェアサイクルの先駆けとなったのはフランスのパリで、2007年に実用化されました。ただ、近年の爆発的なヒットは中国が原動力。日本にも「モバイク」が進出しています。

 ところが、その中国では過当競争で利益が上がらず、次々とつぶれる事業者が現れています。どこでも乗り捨てできる方式なので、放置された自転車が通行を妨げる事態も多発。地方政府が回収して運び込む保管場は、自転車の墓場と呼ばれているそうです。

 中国だけではありません。AFP通信によると、フランスで展開していたゴービー・バイクは2018年2月、サービスを中止。1000台以上の自転車が盗まれ、約3400台は壊され、6500台は修理が必要な状態になってしまったそうです。

 他方、やはりシェアサイクルを導⼊したタイの⾸都バンコクでは、あまり利⽤が進んでいない様⼦。吉岡桂⼦記者から。

バンコクのシェアサイクル
 吉岡記者「バンコクの都心で撮影したシェアサイクルです。数台は稼働している模様ですが、私はバンコクで自転車に乗っている人自体を見たことがない気がします。記憶に残っていないだけかもしれませんが……。
 中国で話題のシェアサイクルが昨年上陸したときも、ニュースになっていましたが、大学とか観光地に限っているようで、これもまだ都心では見ません」

バンコクのモーターバイク
 吉岡記者「なぜか。総局のスタッフによれば、暑いし、危ないし、空気も悪いので、いずれにせよ自転車は使いたくないとのこと。
 さらに、モーターバイクが席巻しているからです。これが渋滞を抜けてぶんぶん走り回っているので、自転車の出る幕がありません」

バンコクのバイクタクシー
 吉岡記者「バイクタクシーもありますが、私は怖いので乗ったことがありません。この人たちの雇用は政治的に敏感な問題です。
 プールされている場所があって、一応、料金も書いてあります。私は急ぐときは、タクシーより高いけど、結局トゥクトゥクに乗っています」

 バイクは車体が小さいため、渋滞中の道路でも、車両と車両の間をすり抜けて走ることができるという強みがあります。

 渋滞のひどさで知られるインドネシアの首都、ジャカルタでも人気を集めているようです。野上英文記者から。

ジャカルタにて、バイクタクシーを降りる野上記者
 野上記者「ジャカルタの交通機関にもいろいろありますが、バイクタクシーが一番人気です。私もたまに利用します。
 運転手がヘルメットを貸してくれて、後部座席に乗ります。渋滞した車の間をぬって進むので、機動性はバツグン。
 逆に言うと、このバイクのせいで車がさらに渋滞しています。信号無視、逆走、割り込み、なんでもありなので、よけいに混みます」

バイクタクシーから見たジャカルタの街並み
 野上記者「いまはアプリでウーバーのように距離と料金をあらかじめ指定して乗れるので、人気がさらに爆発。みんな通勤やちょっとした移動に使っています。
 ちなみにバイクはほとんど日本車です」

イランのバイクタクシー
 公共交通機関が発達していないから渋滞が起き、渋滞を避けるためにバイクが走り回り、さらに渋滞が悪化する。そんな悪循環は、東南アジアだけでなく各地の途上国でみられるようです。

 もっとも、ヘルメットを貸してくれるというのは良心的かも。イランにもバイクタクシーはあり、私も乗ったことがありますが、客用のヘルメットなんてありませんでした。運転手はしてましたけどね。

3輪の自転車

 さて、自転車に人が乗る荷台がつき、タイのトゥクトゥクのような3輪車だけどエンジンは人、という乗り物も各地にあります。

 バングラデシュから奈良部健記者、ミャンマーから五十嵐誠記者、キューバから田村剛記者。続けてどうぞ。

バングラデシュの「リキシャ」
 奈良部記者「バングラデシュでは、『人力車』が語源とされるリキシャが健在です。乗るとスイスイ快適で、ちょっとした距離なら数十円という安さ。
 汗でびっしょりになった細い体でペダルをこぐおじさんの背中を後ろからみると、『自分もがんばるぞ』という気持ちになります」

ミャンマーの「サイカー」
 五十嵐記者「ミャンマーでよく見かける街の乗り物、サイカー。自転車の脇に客を乗せるいすが付いており、その名の由来は『サイドカー』とも言われます。
 2013年に西部ラカイン州の州都シットウェー近郊にあるイスラム教徒ロヒンギャの居住区を訪ねると、サイカーはここでも人や荷物を運んでいました。
 前年にあった仏教徒住民との衝突で、市街地から郊外に追いやられたロヒンギャの人たち。かつては市中心部の市場などでサイカーをこぐ『サイカーダマー』などとして働く男性も多かったそうです」

キューバの自転車タクシー
 田村記者「ハバナ旧市街で庶民の足となっている3輪車型のタクシー。細い路地をすいすい走っていきます」

 日本でも東京・浅草などで人力車を見かけることはあります。ただ、あれは完全に観光用。タクシーとして客を乗せる自転車がいまなお現役で走っている国は、まだ残っていました。

 しかし、地球環境の保全のため、排ガスの規制は待ったなしの課題。古めかしく見える「人力タクシー」ですが、案外と時代を先取りした乗り物になっていくのかもしれません。

船も大事な「街の乗り物」

 さて、こんどは陸上を離れ、やはり太古の昔からある乗り物、船です。

 コロンビアから田村剛記者、ペルーから岡田玄記者、ミャンマーから五十嵐誠記者です。

コロンビアの船
 田村記者「コロンビア西部チョコ県のそれぞれ違った集落の船乗り場の写真です。
 黒人の人口が多いチョコ県は、コロンビアで最も貧しい地域の一つで、道路網があまり開発されていません。
 村むらは熱帯雨林の川に沿って発展しており、それぞれがボートで結ばれています」

コロンビアの船
 田村記者「2016年に政府と和平合意にいたったコロンビア革命軍(FARC)にとっても、重要な移動手段はこうしたボートでした。
 写真の村むらにも、ボートに乗ったFARCのゲリラ戦闘員や、それと対立する別の武装集団らが次々とやってきて、村人にも大きな被害が出ました」

コロンビアの船
 田村記者「小さな船に、沈んでしまうのではないかと思われるほどたくさんの人が乗るので、乗り心地はあまりよくないです。水しぶきで服がびしょ濡れになります」

ペルー・イキトスの船
 岡田記者「ペルーのイキトスという町で。アマゾン川流域の水上都市で、買い物や通勤通学には小舟が欠かせません」

ミャンマー・インレー湖の船
 五十嵐記者「ミャンマー北東部シャン州にある観光地インレー湖に暮らす少数民族インダーの人たちは、足でオールをこいで巧みに小船を操り、漁を行います。この湖の風物詩です」

 都市は必ず川沿いに発展すると聞いたことがあります。飲み水や農業・工業用水として使われるほか、物流でも重要だからだとか。

 日本では橋の発達とともに、渡し船も減ってしまいました。

 しかし、ミャンマーの足でオールをこぐというのはすごいですね。私は高校時代にボート部だったので、3年間みっちりと船をこぎましたが、足でどうすればできるのか、ちょっと想像がつきません。

動物も活躍しています

 続いては、今も元気に人やモノを運んでいる動物たちの姿をお目にかけます。パキスタンの乗京真知記者とミャンマーの五十嵐誠記者から。

パキスタンのロバ
 乗京記者「パキスタンはでこぼこの道が多いことから、ロバや水牛が現役で活躍しています」

パキスタンの水牛
 乗京記者「フンは手のひら大に伸ばして塀にはりつけ、乾燥した後、かまどの燃料に使います」

アフガニスタンのロバ
 五十嵐記者「戦乱が続くアフガニスタンでは治安の悪化が続いていますが、2011年9月に取材で訪れた中部バーミヤン州は比較的治安が安定していました。
 美しい湖バンデ・アミールを訪れた時のこと、遠くからロバに乗った地元の男性が近づいてきました」

アフガニスタンのロバ
 五十嵐記者「車がほとんど見かけられないなか、ロバは地域の人たちにとって重要な乗り物のようでした」

 ロバと人のつきあいは古く、約5000年前のメソポタミア文明では既に家畜として使われていたそうです。歩みは速くありませんが、体がじょうぶで粗食にも耐えるところがその理由だとか。

 そういえば、イランに住んでいた時にこんな話を聞きました。イスラム教に厳格なイランは、酒類の販売を法律で禁じていますが、ヤミでは売っています。禁制品だけに日本の5倍くらいの価格がします。この値段が、冬場になるとさらに上がるんだそうです。

 というのも、酒の多くは隣国のトルコやイラクなどから運ばれてきますが、当然ながら、幹線道路沿いにある検問のある国境を通ることはできません。そのため、ロバが背中に乗せて、山中の人が通れないような獣道をえっさこらさと運んできているんだとか。ところが、冬場は雪が降ったり地面が凍ったりして、ロバでさえ踏破できなくなる。それで品不足になり、値が上がるというんですね。

 この目で確かめたわけではないので、本当かどうかはわかりません。ただ、イランでも地方に行くとロバはよく見かけました。

 さて、最後はエジプトの首都カイロから、北川学記者です。

エジプトの馬車
 北川記者「カイロで取材先から帰る途中、荷車を引いて道路を疾走する馬に遭遇しました。
 エジプトの街中ではよく目にする光景。馬の仕事は、観光地で人を乗せることだけではないのです」

 タイヤのついた乗り物は、基本的に道路、それも舗装された道路があることが前提になっています。ただ、世界はそんな場所ばかりではありません。

 古来、人の生活は動物たちによって支えられてきました。おそらくは今後も、頼り続ける部分はきっと残っていくでしょう。

 というわけで、各地の「街の乗り物」でした!








検索してもわからないこと、調べます。





【特派員フォトリレー・連載一覧】

・(昼ごはん編1)ヤギ肉・湖の魚…、お国柄見える「サラメシ」たち

・(昼ごはん編2)海越えたシリアの「弁当」 ウズベキスタンの食は

・(昼ごはん編3)ど迫力のローストポーク! 肉肉肉な国と言えば…

・(タバコ箱編1)体への害、警告「どぎつい」国々 2500円の国も

・(タバコ箱編2)警告画像「ヘビー級」の国々 もはやホラー…

・(タバコ箱編3)体への害、警告「抑えめ」な国々 北朝鮮製の箱も

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慰霊の日、りゅうちぇるさんに教えてもらった「今、発信する理由」

2018年7月6日 06:50 withnews

 りゅうちぇるさんの「そのツイート」を目にしたのは、4月のことでした。「沖縄戦の『慰霊の日』にはうーとーとーをします……」。テレビで見るのとは違う、彼の真剣な投稿にひかれました。どんな思いで投稿したのか聞いてみたい。目の前に現れたりゅうちぇるさんは、あのかわいい声そのままに、平和とふるさとへの思いを熱く語ってくれました。(朝日新聞記者・逸見那由子)

上京しても「うーとーとー」

 「うーとーとー」は沖縄の言葉で「手を合わせて祈る」という意味です。

 りゅうちぇるさんは、上京してから毎年のようにツイッターで「きちんと『うーとーとー』したよ」「戦争のない、差別のない、平和な世界を願いましょう」などと投稿してきました。

 今年はこんな風に呼びかけました。

 

「地上戦の悲しみを忘れない」

 りゅうちぇるさんは高校卒業まで沖縄で育ちました。沖縄では6月23日の「慰霊の日」が休日。正午になるとサイレンが鳴り、黙禱をするのが当たり前のことでした。

 6月23日は日本中が休日だと思っていたというりゅうちぇるさん。「東京に来て、戦争について考える時間があまりになくてびっくりした」と言います。

 ツイッターに「うーとーとー」の投稿をしたのは、そんなギャップを感じていたときのことでした。

 「モンパチさん(バンドのモンゴル800)の歌にも『忘れるな琉球の心』という歌詞がある。沖縄の人には、地上戦の悲しみ、苦しみを忘れてはいけない、絶対繰り返しちゃいけないっていう認識があるんです」

 ※琉球王国=明治時代まであった王国。明治政府によって解体され、沖縄県が設置された

<沖縄戦> 米軍は太平洋戦争末期の1945年3月に慶良間諸島、4月に沖縄本島に上陸。日本軍は本土上陸を遅らせる持久作戦をとり、県民を巻き込んだ激しい地上戦が約3カ月続いた。各地では、住民がまとまって命を絶つ「集団自決」もあった。死者は日米両軍と民間人らを合わせて約20万人。沖縄県民の4分の1が犠牲になった。

<沖縄慰霊の日> 沖縄戦は1945年6月23日に司令官が自死し、日本軍の組織的戦闘が終わったとされる。沖縄では戦後、この日を全戦没者を悼み、平和を祈る「慰霊の日」に定めた。

親族の名前が刻まれた平和の礎の前で、手を合わせる夫婦と子どもたち=2018年6月23日午前、沖縄県糸満市の平和祈念公園出典:朝日新聞

埋もれがちな「慰霊の日」

 基地問題で揺れる沖縄ですが、本土との温度差があるのも事実です。私自身、記者という職業を選ばなければ、6月23日を意識して過ごしていなかったかもしれません。

 朝日新聞では、中学生の平和学習に役立ててもらいたいと、4年前から「知る沖縄戦」という別刷り紙面を、通常の紙面とは別に作り、希望する学校に配布してきました。

 私は今年、別刷り紙面の編集を担当しました。

 教育現場だけでなく、若い世代の人たちに関心を持ってもらうにはどうすればいいだろう……。そんなことを考えていたときに出会ったのがりゅうちぇるさんのツイートでした。

 はっちゃけた印象を持っていただけに、言葉のひとつひとつに真剣さが伝わる「うーとーとー」の文面には、意外さとうれしさを感じました。

 さっそく事務所に取材をお願いしましたが、りゅうちぇるさんは人気タレント。ダメでもともとの気持ちでした。快諾いただいたときは、私自身が驚いてしまいました。

エイサーを踊る小学校低学年の頃のりゅうちぇるさん出典:りゅうちぇるさん提供

小3のときに見た米軍ヘリ墜落

 りゅうちぇるさんが戦争について考えるきっかけは、今も沖縄に集中する米軍基地にもありました。

 宜野湾市にあった自宅は普天間飛行場が目と鼻の先。「親から『あそこ(基地)から別世界で言葉も違うんだからね』って言われてきました。それは、戦争があってこうなったので」

<在日米軍基地> 1945年に日本が太平洋戦争で敗戦し、占領軍が進駐して以来、米軍は国内に駐留。各地で旧日本軍の飛行場や軍用地などを接収し、基地を造った。米軍専用施設は13都道府県にあり、うち約70%が沖縄県に集中。沖縄県内の面積は約1万8500ヘクタールで、JR山手線の内側の約2.9倍に相当する。

住宅に囲まれた米軍普天間飛行場。駐機場にはオスプレイやヘリが並んでいた=2018年1月、沖縄県宜野湾市出典:朝日新聞

<米軍普天間飛行場> 宜野湾市の真ん中に位置し、面積は東京ドーム約100個分の476.3ヘクタール(1月1日現在)。日米両政府が1996年、日本に返還することで合意した。米海兵隊の輸送機オスプレイなどが常駐している。

 幼い頃から基地のそばで育つと、爆音を響かせて上空を飛び交う米軍機にも慣れっ子です。

 ところが、ある出来事をきっかけに危険と隣り合わせだと思うようになったそうです。2004年8月の米軍ヘリの沖縄国際大(宜野湾市)墜落事故です。小学校3年生だったりゅうちぇるさんは、その瞬間をすぐ近くで目撃し、「その光景は忘れられない」と語ってくれました。
<沖縄国際大ヘリ墜落事故> 2004年8月13日午後、米軍普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学の構内に、訓練中の米軍大型ヘリコプターが墜落、炎上した。搭乗員3人が負傷。構内にいた学生らにけがはなかったが、破片が飛び散り、民家の窓ガラスやブロック塀を壊した。

米軍ヘリの墜落現場。機体は炎上し、原形をとどめていない。後ろはヘリがぶつかった沖縄国際大学1号館=2004年8月13日、沖縄県宜野湾市出典:朝日新聞

息子の名前に込めた願い

 日本は今年で戦後73年を迎えますが、世界では今も紛争が絶えません。戦争を繰り返さないために未来を担う子どもたちができることは……。

 そんな問いにりゅうちぇるさんは、一瞬考えた後、コミュニケーションの大切さを挙げてくれました。

 「大事なことをよく話し合えていないのに、『らちがあかない』と軍事力を使う。いじめも『勝手に決めつけてみんなの力でいじめる』みたいなところがある。悲しみしか生まれないし、誰もハッピーにならない」

 もうすぐ生まれる息子の名前は、米国のミュージカル映画「ヘアスプレー」の主人公から「リンク」と決めているそうです。黒人差別などを取り上げたストーリー。日本では珍しい名前ですが、「リンクは人の見た目ではなく中身を見て人を愛する子。息子にはそんな子になってほしい」という両親の願いが込められているといいます。

慰霊の日やおばあ、平和などについて話すりゅうちぇるさん=東京都渋谷区出典:朝日新聞

おばあが教えてくれたこと

 りゅうちぇるさんの父方の祖父は米兵だったそうです。戦後沖縄で祖母と結婚するも、離婚して米国に帰国しました。

 祖母自身、10代のころ沖縄戦の集団自決から逃れて生き残った人でしたが、「戦争は人を変えてしまう。皆が皆悪い人ではないし、皆が皆良い人ではない」と祖父や米兵を悪く言わなかったと言います。

 憎しみや偏見ではなく、目の前の相手としっかり向き合う。祖母の教えをりゅうちぇるさんが大切にしているのがよく伝わりました。

 言葉を選びながら自らの体験や沖縄への思いを語ってくれたりゅうちぇるさん。取材中には、お茶を勧めてくれる心配りも。私自身、無意識の内にりゅうちぇるさんの見た目や若さで先入観を持っていたのかもしれない。大切なことに気付かされた一日でした。

慰霊のため平和祈念公園には多くの人たちが訪れた=2018年6月23日=沖縄県糸満市出典:朝日新聞

平和への一歩に

 慰霊の日の翌日、りゅうちぇるさんは、最近始めたばかりというブログにも思いをつづりました。

 「今考えると、ぼくのふるさとでは、今の平和な毎日が当たり前ではないんだよ、という大切なことを、教えてくれる大人がたくさんいて、環境がありました。素晴らしいよね。でも、これはぼくのふるさとだけの問題ではなくて、昔この国で何が起きたのか、そして今でも起きている問題を、改めて考えなおして、みんなで、平和を願いたい。そして、この記事を読んで、こういう発信力で、慰霊の日を知らなかった方にも、知っていただいて、改めて平和を考えてくださるだけで、大きな一歩だな、と思うんです」

 私自身も小学生の時、両親の祖母から戦争体験を聞いたことがあります。

 原爆で焼け野原になった広島の街を歩いたという母方の祖母。東京大空襲で自宅に焼夷弾が降り注ぎ、命からがら逃げたものの、幼い妹は栄養失調になって亡くなったという父方の祖母。どちらも亡くなり、もう話を聞くことはできません。もっと詳しく聞いておけばよかったという後悔もあります。

慰霊の日の前夜、ろうそくの火で「平和」の字がともされた=2018年6月22日午後7時43分、沖縄県糸満市の平和祈念公園出典:朝日新聞

5千以上のリツイート

 73年前を今の日本に置き換えて想像するのは少し難しいです。でも、あの時代を生き抜いた祖父母がいて、今のわたしがいるということ。生きたくても生きることができなかった人たちがいたこと。今も世界では、爆撃におびえたり、おなかをすかせたりする子どもたちがいること。平和が当たり前ではないこと……。

 戦争を知ることには、そんなことを心にとどめる意味があると思っています。

 平和を維持するためには、願うだけではダメだという意見もあります。その通りだと思います。それをどう実現するか考えるためにも、過去を「知る」ことを大切にしたいです。

 りゅうちぇるさんが今年、慰霊の日に関してツイッターに投稿した2件は、計5千以上リツイートされ、コメント欄には「黙禱しました」「慰霊の日って知らなかった」「沖縄のこと教えてください」「忘れないことが大事」「見直した」といった声が並びました。

 若い世代の心にも届いていること、うれしく思いました。りゅうちぇるさん、ありがとう。

 若いみなさんが沖縄戦を知るきっかけになればと、朝日新聞社では、教育特集「知る沖縄戦」を発行し、ご希望の学校に無料でお届けします。主に中学生以上が対象で、対馬丸撃沈、ひめゆり学徒隊や地上戦の悲劇を伝える証言や記録などで構成しています。



 希望する特集名、校名、所在地、電話番号、担当者名、必要部数を記入して、ファクス(06・6221・5634)かメール(1817@asc-g.co.jp)でお申し込みください。学校単位が原則ですが、個人でも可。申し込み多数の、ご希望に沿えない場合もあります。締め切りは9月末。問い合わせは朝日新聞コミュニケーションセンター(06・6222・2000)へ。紙面イメージは、(http://www.asahi.com/special/nuclear_peace/gallery/shiru2018/)でも確認できます。



 また、朝日新聞デジタルの特集ページ「沖縄はいま」。(http://t.asahi.com/hxph)では、記事や動画、写真を多数、紹介しています。沖縄戦前の1935年に撮影された写真も見ることができます。






検索してもわからないこと、調べます。

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記念日登録、まさにバブル 年間200件以上も「きっちり審査」してた

2018年7月6日 06:50 withnews

 十六茶の日、「信濃の国」県歌制定の日、神戸プリンの日、ガチ勢の日、牛たんの日、ドラゴンクエストの日、難病の日――。企業や自治体などが今春、一般社団法人日本記念日協会に登録した記念日の一部です。協会の審査に合格する、新たな記念日は年間200件以上。今年5月末現在でなんと合計1904件に上ります。協会ってそもそも何? なんで登録数が増えているの? 審査ってどうするの? 詳しく話を聞いてみました。(朝日新聞科学医療部記者・鈴木智之)

日本記念日協会のホームページ。新たな記念日の一覧を見たり、キーワードから記念日を検索したりできる

こどもの日が「キズケアの日」?

 きっかけは、1枚のポスターでした。そこには「キッズの日はキズケアの日」の文言が――。聞いてみれば、日本創傷外科学会と日本形成外科学会が5月5日の「こどもの日」にあわせ、「こども(キッズ)」と「傷(キズ)」をかけて、昨夏、協会に申請し、認められたとのこと。

 整形外科医に比べ、認知度もいまいちな形成外科医の存在を、「傷ややけどの専門医」として広く知ってほしい、との思いがそこにはありました。

 この記事を書くために、協会に取材した際、私は初めてこの協会と膨大な記念日の存在を知りました。

「キッズの日はキズケアの日」をPRするポスター
【鈴木記者の記事はこちら】

「キッズの日はキズケアの日」子どもの早期受診呼びかけ(朝日新聞デジタル)

そもそも「協会って」何者?

 協会は長野県佐久市にありました。電話で対応してくれたのは、代表理事で同市在住の加瀬清志さん(65)。職業は、なんと放送作家でした。もともと東京出身で、ラジオ局で深夜番組などを担当。30年以上前、番組のネタ探しのため、記念日を調べていたといいます。

 きっかけになったのは6月10日の「時の記念日」。時計台の数など時計にまつわるエピソードを取り上げると評判が良く、その後も記念日を話題に番組を作りました。

 それを続けていると、さながら「記念日博士」のように扱われるように。「いつの間にか視聴者だけでなく、全然知らないプロデューサーからも記念日に関する問い合わせが来るようになりました」と笑います。

 ラジオを中心に1週間で10本以上の番組に携わっていたといいます。過労で体調がすぐれず、空気のいいところで子育てしたいという思いもあり、1990年に佐久市に移住。翌年には記念日の情報をまとめようと、協会の設立をラジオ番組で公表し、92年から協会として記念日の登録を始めました。

 第1号は「ダイアナの靴の日」。日付は9と2で「くつ」と読む語呂合わせから9月2日。婦人靴販売で全国展開するダイアナが同社の靴の素晴らしさを多くの人に知ってもらうのが目的でした。

日本記念日協会のホームページに掲載された「ダイアナの靴の日」の説明

急増する記念日、地域でみると…

 当初、登録数は年間10件ぐらいでしたが、徐々に増加。ここ数年では2014年144件、15年176件、16年221件、17年263件とうなぎ登り。加瀬さんによると、協会に登録されていないものも合わせると、日本には年間4千もの記念日があるとか。単純に平均して1日あたり10以上ある計算です。

 どんな目的で登録するのでしょうか。

 「商品などのPRを期待する人が多いです」と加瀬さん。登録するのは法人が多く、東京が突出している、とのこと。一方で、最近は地方の企業も増えていて、「人口あたりの記念日の数では関西の企業が多い。実利性と面白さを重視するのでは」と加瀬さんは推察します。

 登録料は税別10万円。少し高い気がしますが、一度登録すれば更新料はかかりません。

日本記念日協会の加瀬清志代表理事=6月16日、大阪市、鈴木智之撮影

登録した会社に聞いてみると…

 実際に最近登録した会社にも聞いてみました。

 トーラク株式会社(神戸市)は年間530万個を販売する看板商品で、かんきつが優しく香るなめらかなプリン「神戸プリン」が初めて販売された日に合わせ、2月1日を「神戸プリンの日」に制定しました。

 きっかけについて、広報担当の田村麻希さんは「『神戸プリン』はおかげさまで2018年2月に25周年を迎えました。四半世紀を迎えたこの時期に、これからも『おいしさ』と『よろこび』をつないでいきたい、という思いを形にしようと、申請、制定に至りました」「社内で世代交代も進んでおり、当時の開発者の苦労や思い入れを社員と共有する機会を形にしたいという思いもございました」と回答。記念日にちなんだキャンペーンや特別商品の企画などを検討中だそう。

 10万円の登録料については「登録後は幅広くPR活動に利用できることを考えますと、決して高くないと考えております」と答えてくれました。

 加瀬さんのもとには、大学の卒業論文のテーマに取り上げ、「どうして記念日が好まれるのか」「企業にとって記念日は意味があるのか」といった内容を問い合わせに来る学生も増えているそうです。

卵、乳製品、砂糖のシンプルな素材をこだわりの割合で配合し、かんきつ系リキュールを隠し味に加えた「神戸プリン」=トーラク提供

合否は「普通の人」7人で審査

 やっぱり気になるのは「審査」方法。申請があったものを、すべて登録しているのでしょうか。それとも加瀬さんが独断で決めているとか?

 聞いてみれば、毎週月曜日に審査会が開かれるそうです。インターネット電話「スカイプ」でつないだ会議に、加瀬さんを含めて計7人の審査員が出席します。加瀬さんが仕事などで知り合った主婦や会社経営者、学生など様々な肩書を持つ「普通の人たち」。現在、東京都や北海道、岡山などの13人が登録されており、内容に合わせ、都合がつく人に出席してもらっているそうです。

 判断基準は「記念日として世の中に愛してもらえるか」、「特定の政党や宗教団体によるものではないか」などなど。話し合った後、加瀬さんを除く6人のうち、過半数の同意で合格となります。

 もし、3対3の同数になったら? その場合は再度議論。「すでに登録されている記念日と似ている」「一つ一つの記念日を大事にすべきだ」などと意見をぶつけ、最終的には加瀬さんが判定します。昨年は申請された記念日のうち、8割強が合格。最近では審査員になりたいという申し出もありますが、募集はしていないそうです。

日本ミード協会が制定した「ミードの日(3月10日)」の登録証授与式。右が日本記念日協会の加瀬清志代表理事。ちなみにミードは蜂蜜を原料とする醸造酒で、人類最古のお酒とも言われる。おいしさをより多くの人に味わってもらうために登録。日付は「ミー(3)ド(10)」と読む語呂合わせから=3月6日、東京都、日本記念日協会提供

では、実際にどんな記念日が?

 最後に、この春登録された一部の記念日と由来などを、協会のホームページから紹介します。



「十六茶の日」(毎月16日、アサヒ飲料)

健康16素材をブレンドして作られた「十六茶」を飲んで、自分の身体や大切な人を思いやる日にとの願いが込められている。日付は1年を通じて飲んでもらいたいとの思いと「十六茶」の名前から。



「信濃の国」県歌制定の日(5月20日、長野県)

1900年に長野県師範学校の運動会で初めて披露されてから1世紀以上長野県民に愛されてきた歌。1968年5月20日に正式に県歌に制定。50周年を記念し、長く歌い継ぐのが目的。



神戸プリンの日(2月1日、トーラク)

「神戸プリン」の販売25周年を記念。お客様へ感謝し、「おいしさ」と「よろこび」をつないでいくことが目的。日付は初めて発売された1993年2月1日から。



ガチ勢の日(5月20日、マンダム)

汗やニオイを気にせず、さまざまな活動を本気(ガチ)で取り組み、楽しみ、夢中になる若者「ガチ勢」を応援するのが目的。日付は5と20を5×20と見立て、本気度の100%を表すことから。



牛たんの日(9月10日、仙台牛たん振興会)

仙台の食文化であり名物として名高い牛タン焼きを、より多くの人においしく、楽しく、安全に食べてもらうのが目的。日付は9と10で「牛(9)たん=テン(10)」と読む語呂合わせから。



ドラゴンクエストの日(5月27日、スクウェア・エニックス)

日本を代表するロールプレイングゲーム(RPG)「ドラゴンクエスト」を、さらに多くのファンに愛されるシリーズ作品とするのが目的。日付は「ドラゴンクエスト」が初めて発売された1986年5月27日から。



難病の日(5月23日、日本難病・疾病団体協議会)

難病患者や家族の思いを多くの人に知ってもらう機会とするのが目的。日付は難病患者を支援する「難病の患者に対する医療等に関する法律」が2014年5月23日に成立したことから。






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「メルカリ映え」する意外なブランド 内部データから見えた世界

2018年7月6日 00:50 withnews

 メルカリの上場によって注目を集めたフリマアプリは、新しい価値観を生み出しつつあります。「マンガ全巻を出品してから読む」「ユニクロの中古でも平気」。メルカリの内部に蓄えられた膨大なデータから、物欲という言葉の定義を揺さぶるフリマの世界を覗いてみました。

ダウンロードは7100万

 設立から5年のメルカリですが、アプリのダウンロードは7100万という、日本最大のフリマアプリになっています。

 そんなメルカリの内部に蓄積されたデータからは、急速に発展しているフリマという二次流通の世界が見えてきます。

メルカリの山田進太郎CEO=ロイター

ユニクロとシャネルが同居するランキング

 まずブランドもの。落札されるブランドの1位はユニクロ、出品されるブランドでもユニクロは2位でした。ユニクロが存在感を持つ理由は、全国的な知名度があること。そして、中古品に対する抵抗感が薄れている背景があります。

【落札アイテムのブランド】
1位ユニクロ
2位ナイキ
3位アディダス
4位シャネル
5位ラルフローレン
(2013年7月2日〜2018年4月30日)

【出品アイテムのブランド】
1位ナイキ
2位ユニクロ
3位アディダス
4位シャネル
5位ラルフローレン
(2013年7月2日〜2018年4月30日)

 ランキングにはシャネルのような高級ブランドも入っています。メルカリによると、例えば口紅は他の人が使った先の方を少し削って、そのまま使う人がいるそうです。中古品への抵抗感の薄まりは、高級ブランド品のコスメ商品にも現れています。

 出品と落札、どちらも5位にいるラルフローレンが入っています。シャネルほど高級ではありませんが、子ども服などに「ちょっといいもの」を安く手に入れたい需要があるそうです。

 ナイキとアディダスも上位にあります。これはスニーカーのコレクター同士が売り買いをしているためです。

メルカリの本社オフィス=ロイター

期限以内に読み切る理由

 「価格.com」のような比較サイトによって、実店舗で試して最安値の通販サイトで購入する「ショールーミング」が広まりました。

 今、メルカリによって生まれているのは、フリマに出品することをあらかじめ考えた上で購入する行動です。その代表格が「マンガ全巻」です。

 メルカリは落札が決まると決められた日数以内に配送しなければいけません。メルカリユーザーの中には、期限内に読み切ることを前提にマンガを買いすぐに出品、汚さずに読み終えた物を配送する人がいます。

 定価で買ったとしても、下取りの価格が引かれるので結果的に格安でマンガを読むことが可能になります。

メルカリの事業を説明する山田進太郎CEO=ロイター

普段使いのアイテムに広がった中古市場

 買う側の心理にも変化は起きています。それが「修理を前提」にした落札です。

 メルカリでは画面が割れたスマホがよく出品されます。時計なども動かなくなった状態であっても落札されます。

 修理業者にメルカリの画面を見せて修復可能かどうかを聞いた上で、落札しているのです。

 中には自分で直せる人や、別の使い方をする人、多少の破損は気にしない人もいるそうです。

 従来なら高級自動車や不動産でしか成立しにくかった中古市場が、普段使いのアイテムでも生まれています。

本社オフィスにあるメルカリのロゴ=ロイター

「玉ねぎの皮」の使い道

 中古市場の拡大によって思わぬ発見もあります。

 メルカリの定番アイテムに「玉ねぎの皮」があります。普通なら生ゴミですが、染色の素材として需要があります。

 同じようにピスタチオの殻、トイレットペーパーの芯も工作の材料として人気です。牛乳を飲まない家庭にとって、牛乳パックを集めるのは大変です。そんな時、メルカリで検索すれば「椅子作成用1個分」が送料込み300円で手に入ります。

メルカリでは玉ねぎの皮も商品に……出典:https://pixta.jp/

「iPhone」より「野球」の県民

 メルカリのデータからは地域の特徴も浮かび上がりました。全国のユーザーを見ると次のランキングになります。

【全国の人気カテゴリー】
1位キャラクターグッズ
2位アイドル関連グッズ
3位ミュージシャン関連グッズ
4位iPhoneグッズ
5位ハンドメイドグッズ
(2017年1月1日〜2017年12月31日)

 ところが、4位に「野球」が入ってくる県があります。広島県です。

【広島県の人気カテゴリー】
1位キャラクターグッズ
2位アイドル関連グッズ
3位ミュージシャン関連グッズ
4位野球
5位ハンドメイドパーツ
(2017年1月1日〜2017年12月31日)

 どうやら広島県民にとっては、iPhoneよりもカープの方がニーズがあるようです。

カープ優勝を祝って鏡開きをするカープ女子たち出典:朝日新聞

「メルカリ映え」時代の到来か

 メルカリのアプリが一番多く使われるのは午後10時。帰宅して夕食を済ませくつろいでいる時間帯です。トレンドワードなどで盛り上がったアイテムは、そのままメルカリの出品と落札に跳ね返ります。

 ランチの時間帯も利用が増えます。1人で食事をする間、時間を潰す感覚で使う人が多いそうです。

 メルカリによると、欲しいアイテムをインスタグラムで調べるような使い方が増えているそうです。

 買い物の調べ物ツールは、検索サービスから始まり、女性向けサイトの「MERY」のようなユーザー層を絞ったメディアが加わり、さらにインスタと広がって来ました。

 今、起きているのは「とりあえずメルカリで調べる」という流れです。フリマアプリというサービスが買い物の主流になった時、物を持つという価値観自体が変わる可能性を秘めています。

 売る前提で買い物をするのなら、「メルカリで高く売れるか」は新品のアイテムを買う際に重要な要素になります。

 その結果、シャネルのようなブランド品から、ユニクロのような手頃な商品まで、中古市場を見越した「メルカリ映え」な商品が求められてくるのかもしれません。

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【世界の乗り物】タイだけじゃなかった!世界で活躍するトゥクトゥク

2018年7月5日 10:56 withnews

 ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、「街の乗り物」をテーマに撮った写真を集めました。日本でもすっかりおなじみの3輪タクシー「トゥクトゥク」、なんと世界各地にありました。その起源となった国はタイではなく、実は……。(朝⽇新聞国際報道部)

力士も乗るトゥクトゥク

 案内役は東京・国際報道部の元テヘラン支局長、神田大介です。トゥクトゥクはタイを中心に使われています。前輪が一つ、後輪は二つという「原動機付き3輪車」。狭い路地でも小回りがきくうえ、丈夫で修理しやすいため、長く重宝されてきました。

バンコクの3輪タクシー「トゥクトゥク」=藤谷健撮影
 最近は日本でも観光などの目的で使われています。朝日新聞の記事を検索すると、少なくとも福島、千葉、山梨、長野、愛知、兵庫、高知、福岡、宮崎、沖縄の各県に存在するか、かつて使われていたようです。

 力士が場所入りする際に使われたことも。

トゥクトゥクに乗って名古屋場所入りした時天空関=2015年7月19日、波戸健一撮影
 記事によると、八百長問題で大相撲から客足が遠のいたことから、「何とか盛り上げたい」と親方の知人が始めたとか。車体は約130万円でタイから購入し、150万円以上をかけて改造。取組前にリラックスできるよう、後部座席ではテレビも見ることができる特別仕様だそうです。

 こうしたカスタマイズのしやすさもトゥクトゥクの魅力となっています。

 今回特派員たちが撮った写真には、この種の3輪自動車がたくさんありました。まずはタイのおとなりラオスから、染田屋竜太記者。

ラオスの「ジャンボ」
 染田屋記者「ラオスの街中を縫うように走るのは、バイクで台車を引っ張る『ジャンボ』。首都ビエンチャンでは大通りを見れば1台は走っているのを見ることができます」

ラオスの「ジャンボ」運転手、オアンさん
 染田屋記者「客待ちをしていたオアンさん(55)。『他のアジアの国ではトゥクトゥクが人気みたいで、観光客にはジャンボじゃなくてトゥクトゥクの方が通じるね』
 この仕事を始めて12年。実はフルーツ農家なのですが、雨期に入り、仕事の手が空くと街に出てジャンボを運転するといいます。『最近はあんまり景気が良くない。1日に客が5~6人しか乗らないこともあるよ』とオアンさん。
 料金は、1キロで2万ラオスキップ(約260円)とのこと。ぼったくられなければ、ですが……」

ラオスの「ジャンボ」
 染田屋記者「ジャンボに乗ってみると、渋滞の中をくねくねと抜け、なかなか爽快。オアンさんは『車が増えて渋滞がひどくなったから、ビエンチャンを回るならジャンボが一番だよ』」

ボンボンはねる中国の車両

 トゥクトゥクは楽しい乗り物ですが、メーターがなく、料金交渉をしなければいけないというのが難点ではありますね。

 さて、似たような車両は中国にもありました。瀋陽から平賀拓哉記者。

中国・瀋陽の「小蹦蹦(シアオボンボン)」
 平賀記者「中国東北部の遼寧省瀋陽では、『小蹦蹦(シアオボンボン)』と呼ばれる電動3輪車のタクシーが走っています。近郊の地下鉄駅では、朝夕の通勤時間帯に赤い小さな車体がずらりと並び、客引きをする姿をよく見かけます。
 もともとは高齢者や障害者用につくられた車両です。「蹦」は中国語で「跳ぶ、跳ねる」という意味の動詞で、道路の凹凸に小さな車体がはねるように走るので名付けられたようです。中国語でも見た目通り可愛いらしい語感があって、ネーミングセンスの良さを感じます。
 運賃は目的地までの距離に応じて、5元、10元とざっくり決められています。だいたいタクシーの半値以下で乗ることができるので、自宅が駅からちょっと離れた場所にある人にとって便利な交通手段です」

中国・大連の「小蹦蹦(シアオボンボン)」
 平賀記者「北京や河北省などでも、『三蹦子(サンボンツー)』など呼び方は変わりますが、同様の3輪タクシーが利用されています。
 一見すると東南アジアの3輪タクシーのような趣があって観光客にも人気が出そうですが、観光資源として堂々と宣伝はできない事情があります。
 実は小蹦蹦、客を乗せるのは違法営業なんです。ただ、庶民の足として定着してしまっているのと、運転手たちから職を奪ってしまうことになるため、当局も黙認してきたというのが実情のようです。
 ですが、中国では乗用車が爆発的に増えているため、規制がかなり厳しくなっています。中国の発展の速度はすざまじいですから、10年後には姿を消してしまうかもしれませんね」

 えっ、ずいぶん派手な赤い塗色だけど、違法なの? 中国と言えば「お上には逆らえない」という印象がありますが、そういう融通の利く一面もあるんですね。

 続いてはパキスタンから、乗京真知記者。派手さではまったくひけをとりません。

パキスタンの「チンチー」
 乗京記者「公共交通機関が発達していないパキスタンでは、数十円程度で乗れるタクシー的な乗り物が何種類もあります。トゥクトゥクに近い形のものは『チンチー』。バイクに荷台を付けて通勤や通院の人、野菜や果物など軽い荷物を運びます」

パキスタンの「スズキ」
 乗京記者「スズキ社の軽トラックはそのまま『スズキ』の愛称で親しまれ、建築資材や家畜など重めの貨物も難なく運べる耐久性から最も人気の高い乗り物です」

 パワーや安定性は、やはり4輪の方が上のようですね。そういえばベトナムではオートバイのことを「ホンダ」と呼びます。それだけこの分野では、日本製が優れているということでしょう。

 インドネシアにも3輪から4輪に「進化」した車が走っています。首都ジャカルタから野上英文記者。

ジャカルタの「バジャイ・キュート」
 野上記者「ジャカルタならではの乗り物が小型四輪タクシー『バジャイ・キュート』。これまでの三輪タクシー『バジャイ』に代わり、安全と環境への配慮で人気なんだとか。
 4人乗りで4000~5000ルピア(30~40円)。安いうえに、一般車が入れない専用道の通行が許可されていているそうです」

グアテマラやペルーでも

 そして驚いたことに、3輪タクシーは中南米でも快走していました。岡田玄記者で、まずはグアテマラから。

中米グアテマラにもあった「トゥクトゥク」
 岡田記者「グアテマラの古都アンティグアで撮影したのは、トゥクトゥクです。そう、あのトゥクトゥク。インドから輸入しているそうで、グアテマラの各地で走っているとか」

グアテマラの「トゥクトゥク」の運転手さん
 岡田記者「アンティグアには市内に765台あり、観光客だけでなく、市民の足としても重宝されています。
 で、このグアテマラからコロンビアに移動する飛行機で、偶然隣り合わせたインド人商社マンいわく、トゥクトゥクはペルーにも輸出しているとのことでした」

ペルーの「モトタクシー」
 岡田記者「そのペルー、南部にあるチチカカ湖近くのプーノという街で見たのがこの青いバイクタクシーでした」

 ペルーではモトタクシーという名で呼ばれているようです。

 そういえばエジプトの首都カイロでもトゥクトゥクは走っていました。決まって黄色と黒の塗色。カイロも細い路地が多いだけに、使い勝手がいいようです。

エジプトの首都、カイロを走るトゥクトゥク出典:ロイター

 そして調べてみると、ポルトガルの首都リスボンや、オランダの首都アムステルダムなどヨーロッパにもありました。

 もっとも、こちらは近年になって増えたもので、観光用だとか。

 トゥクトゥクは、歩くにはちょっと遠い距離を行くにはぴったり。窓もなく、文字どおり街の空気を感じられることが、人気を呼んでいるようです。

ポルトガルの首都、リスボンで客を待つトゥクトゥク出典:ロイター

ルーツはダイハツ「ミゼット」

 そんな世界中で活躍しているトゥクトゥクですが、ルーツは日本にあるんです。

1957年に発売された「ミゼット」
 ダイハツの軽3輪車「ミゼット」は、1957年に発売されると爆発的にヒットし、ブームを巻き起こしました。

 このころ日本は高度経済成長期のまっただなか。まだ乗用車は本格的には普及しておらず、ミゼットのような「オート三輪」がモノや人の移動で大活躍しました。

 これ以前に主役だったのはリヤカー。つまり人力です。オート三輪は日本におけるモータリゼーションの先駆けでした。

2017年11月の東京モーターショーで展示された「ミゼット」
 諸外国も注目。ミゼットは発売翌年の1958年には早くも東南アジアや中東から引き合いがあり、59年から輸出が始まったそうです。

 特にタイは輸送の近代化を目指す政府の政策もあり、59年から60年にかけて4300台を輸入。人力でこいでいた3輪車に取って代わりました。

1962年の東京都足立区千住の様子。「ミゼット」が活躍している
 その後、日本ではよりパワフルな4輪の軽トラックが普及し、ミゼットも1971年末には製造を終了。タイをはじめとする各国では独自の進化を遂げ、今も現役で走っているというわけです。

インド圏のオートリキシャ

 ところで、3輪車と言えば、インドやネパール、バングラデシュ、スリランカなどで見る「リキシャ」もあります。

 モーター付きの「オートリキシャ」は、タイのトゥクトゥクよりも一回り小さいですが、ほぼ同じような形をしています。バングラデシュから奈良部健記者。

 奈良部記者「リキシャの語源は日本語の『人力車』だと言われています。
 オートリキシャは字のごとく、自動のリキシャです。圧縮天然ガスを燃料にしているものが多いです。呼び止める時には、大きな声で『オートー!!』と言います」

 なお、呼び名の由来は日本ですが、車体はスクーターの「ベスパ」で知られるイタリアのピアッジオ社が源流だそうです。

 ということは、中南米の3輪車はトゥクトゥクと呼ばれていても、源流はイタリアなのかもしれません。詳しいことはわかりませんでした。

バングラデシュの「オートリキシャ」
 奈良部記者「実は、2年前に日本人も犠牲になった首都ダッカのテロ以降、バングラデシュの日本人社会では乗ることを避けるようにしています。
 後部客席に格子のようなドアがあり、外から施錠されてしまうタイプのものが多く、いざという時逃げにくいというのが理由だそうです。風情のある、安くて便利な乗り物に乗れないというのは、テロが残した悲しい影響の一つです」

 2016年7月1日夜、ダッカのレストランがイスラム過激派に襲撃され、日本人7人を含む22人が殺害された事件は記憶に新しいところです。

 今もなお、バングラデシュでは多くの日本人が現地のために貢献しようと働いています。ですが、外国人がいることがわからないように事務所の看板を外すしたり、外出を控えたりしているそうです。

 テロは単に命を奪うだけでなく、生活から人間らしさも奪っていきます。何を気にすることもなくリキシャに乗れる日が1日も早く訪れることを、切に願います。

【特派員フォトリレー・連載一覧】

・(昼ごはん編1)ヤギ肉・湖の魚…、お国柄見える「サラメシ」たち

・(昼ごはん編2)海越えたシリアの「弁当」 ウズベキスタンの食は

・(昼ごはん編3)ど迫力のローストポーク! 肉肉肉な国と言えば…

・(タバコ箱編1)体への害、警告「どぎつい」国々 2500円の国も

・(タバコ箱編2)警告画像「ヘビー級」の国々 もはやホラー…

・(タバコ箱編3)体への害、警告「抑えめ」な国々 北朝鮮製の箱も






検索してもわからないこと、調べます。

外部リンク

バイト従業員のレベルが一目でわかる! ファミレスの取り組みが話題

2018年7月5日 06:50 withnews

 大俵ハンバーグが名物のファミリーレストラン「ビッグボーイ」。そんなお店のアルバイト従業員の首元のタイが、ネット上で注目を集めています。色に応じて「勉強中です」「ひと通りできます」といった感じで、習熟度がわかるようになっているのです。「もっと広がって欲しい」と評判の取り組みについて取材しました。


ビッグボーイの名物「大俵ハンバーグ」出典:ゼンショーホールディングス提供

まごころ戦隊 安心レンジャー

 今月3日にツイッター投稿された画像。ビッグボーイ店内のテーブル上に置かれたPOPが写されており、こんな内容が書かれています。
 「まごころ戦隊 安心レンジャー」

 タイの色にご注目! スタッフのレベル別にタイの色を分けています。お客様のコールに素早く駆けつけます!

 【レベル3:ゴールド】 いつでもお声掛けください! 全て対応します。

 【レベル2:赤】 自信あります! お任せください。

 【レベル1:青】 ひと通りできます! 慣れてきました。

 【新人スタッフ:緑】 勉強中です! がんばってます!

 この投稿に対して、「これ便利」「ひと目でわかるようになっていれば心にゆとりが持てる」「うちのバイト先にも欲しい」といったコメントが寄せられています。


ビッグボーイ店内のテーブル上に置かれたPOP。タイの色に応じて習熟度がわかる仕組みです出典:ゼンショーホールディングス提供

アルバイト従業員に適用

 「2017年3月にユニフォームを一新するタイミングで導入しました」と話すのは、親会社であるゼンショーホールディングス広報室・今村基聖さんです。

 アルバイト従業員のみに適用されている制度で、社内で定めた項目をクリアしているかどうかを複数人がチェックした上で、ランクアップする仕組みです。上がるほどに賃金もアップするそうです。

 導入した理由は2つあるといいます。

 「一つはお客様に安心していただき、ストレスをなく過ごしていただくため。もう一つは従業員のモチベーションアップです」

 制度を導入したことで、子どもたちから「あっ、○○レンジャーの人だ」と声をかけられ、緑の新人スタッフに対して「がんばってね」と応援されることもあるそうです。

 話題になったことについて今村さんは「引き続き真心こもった接客と、従業員のモチベーションアップにつながる取り組みを続けたいと思いますので、よろしくお願いします」と話します。

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