関西大学システム理工学部の小金沢新治教授らは、IoT対応でメンテナンス不要の磁石を使う小型環境発電機を開発した。人や車両が通過する際に踏み、可動板を押し込むと電磁変換で発電する。橋梁や高速道路の老朽化・損傷監視に使うセンサーの動力源など、大がかりな配線工事や定期的な交換作業が難しい現場での需要を見込む。
開発したデバイスは、磁石がコイル鉄芯(てっしん)横を通過し、磁界の大きさが変化することで発電する。磁石や光、温度差などを利用する環境発電の一種。
可動板は磁性を持たないよう樹脂製で、周辺は金属カバーを付けてコイルを保護した。橋梁や高速道路に可動板が表面から2ミリメートル程度突出するように設置し、本体は大きな応力がかからないように埋め込むことを想定。数キログラムの加重で可動板を踏むことで発電し、損傷・老朽化確認用センサーを可動できる。
外形寸法は20ミリ×20ミリ×5ミリメートルと小型で埋め込みやすい。現在、1秒当たりの電力は50マイクロワット。電気を貯蔵することで必要なときにセンサーを稼働できる。
センサーを動かすのに必要な電力は100マイクロワットのため、貯蔵不要になるよう改良を図る。さらに耐久性の向上や低コスト化もできるよう、設計を工夫していく。電池などの代替手段を取りにくい交通インフラで最も需要を見込む。
日刊工業新聞2018年2月22日
【ファシリテーターのコメント】
ほかにも全地球測位システム(GPS)信号の届かない病院など建物内部での発信器動作などにも使えるだろう。
明 豊