cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_43f08422c6c8_揺さぶるイスに匂い装置も、VR体験をよりリアルにする技術の数々 43f08422c6c8

揺さぶるイスに匂い装置も、VR体験をよりリアルにする技術の数々

 広島市立大学の脇田航助教らは、VR(仮想現実)コンテンツ用に搭乗者を揺さぶる駆動いすを開発した。球面と受け皿でいすを支える構造をもち、球面を滑らせることで前後左右に回転する。ジェットコースターやトロッコなどの座席が動く乗り物系VRコンテンツに提案していく。

 半球と受け皿でいすを支え、2本のシリンダーでいすをつり上げるように駆動する。搭乗者といすの重心が低いため、起き上がり小法師のように搭乗者を揺さぶる。身体全体を持ち上げて揺するよりも小さな力で済む。

 いすの回転角度は前後左右いずれも25度で、振れ幅は50度。搭乗者が揺らされると身体がしなるため、頭部の振れ幅は90度近くなる。新たにいすとシリンダーの接続部に回転継ぎ手を採用して、動きの表現を広げた。

 現在は半球を切削加工で製作しているが、金型を用意すれば製造コストを抑えられるという。50万円程度での製品化を目指す。VRアミューズメント施設などに提案。耐久性試験を経て2月を目標に同大発ベンチャーのランバス(広島市中区)で受注生産を始める。
日刊工業新聞2019年1月23日

歩行できる装置も開発
 広島市立大学の脇田航助教は、仮想現実(VR)ゲーム用の360度方向の歩行入力装置を開発した。腰を囲むドーナツ状のクッションの中に荷重センサーを配置し、移動方向を検出する。歩くように脚を上げた動きを計測して歩行や走行としてVRゲームに入力する。直径1メートル程度の装置の中で無限に歩き続けるようなVR体験ができる。

 VRゲームでは全身の動きを狭いスペースで計測し、コンテンツに反映させることが課題になっている。本当に歩いたり走ったりすると広いスペースが必要になり、ヘッドマウントディスプレー(HMD)などの配線の取り扱いが問題になってくる。

 そのため乗馬やサーフィンのような乗り物に乗せて下半身の動きを制限するコンテンツがアミューズメント施設では主流だった。

 今回、脇田助教は、クッションで腰を囲い、脚を動かしても実際には移動しない計測装置を開発した。クッション内部には腰の高さに荷重センサーが配置され、装置に体重をかけるとその力を検出する。さらに膝の上げ下げを、膝の付け根の高さのセンサーで計測する。膝の角度の計測分解能は5―15度程度。膝を上げ下げする速度を移動速度に反映できる。

 検出システムの部品原価2万円で構成できる。研究用試作ではドーナツ状のクッションや架台が高価になっているが、構造自体はシンプルなため量産機ではコストを抑えられると見込んでいる。

 ベンチャーを立ち上げて事業化する計画。まずは施設用のVRアトラクションに提案する。将来は家庭用の歩行入力システムに展開したい考えだ。

日刊工業新聞2019年12月26日
東工大は香りで演出
 東京工業大学の加藤真悟大学院生と中本高道教授らは、消臭機能付き嗅覚提示ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を開発した。部屋ににおいが充満しにくく、匂い情報を切り替えやすい。VR(仮想現実)コンテンツに香りを加えてよりリアルな体験を演出できる。

 HMDに後付けする形で、芳香部と消臭部を鼻を挟むように配置した。芳香部では香料を吐出すると弾性表面波素子に液滴がのり、高周波振動で霧状になって漂う。消臭部では霧を吸い込み、活性炭で吸着する。4種の香料をセットできる。

 1度に吐出する液滴は3ナノ―10ナノリットル(ナノは10億分の1)。においの強さは滴下量で調整する。香料1ミリリットルで10万回滴下できる。香料を混ぜることで幅広い香りを表現できる。

 HMD上で芳香・消臭することで部屋全体ににおいがこもりにくくなる。残り香が混ざらず、VRコンテンツ中のシーンの切り替えがしやすくなる。

 VR映画館のように同時に複数の人がVRコンテンツを鑑賞する場合でも、鑑賞者全員でのにおいの時刻同期が要らない。HMDなどの装着から鑑賞終了まで一人ひとり運用できるため、セットアップの人員を抑えられる。鼻の周辺にだけ香料が漂うため、空間全体に香りをまく例に比べて香料を減らせると期待される。HMDのVRコンテンツでは第一人称視点の作品が多く、鑑賞者が目を向けないと状況が伝わらないことがあった。においで視覚を補完することができる。

日刊工業新聞2019年1月16日

【ファシリテーターのコメント】
東映が映画館で公開したVR映画を以前、体験したのですが、音の迫力によって没入感がこんなにも違うのかと感じました。上記紹介した技術によって没入感がどの程度変わるのか、ぜひ体験してみたいです。
葭本 隆太

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_3efb789fabd1_不正相次ぐ産業界…なぜ企業のリスク管理は機能しないのかの答え 3efb789fabd1

不正相次ぐ産業界…なぜ企業のリスク管理は機能しないのかの答え

 日本を代表する企業で会計不正やデータ偽装などの不祥事が相次ぐ。なぜ企業のリスクマネジメント(RM)は機能せず、失敗に陥るのか。企業の不正問題に詳しい元芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授の安岡孝司氏に聞いた。(取材・葭本隆太)

経営者による圧力で現場にしわ寄せ
 ―なぜ企業による不正が後を絶たないのでしょうか。
 品質不正は企業の経営者による現場への圧力によって起きやすい。利益の最大化を目的にギリギリの生産計画を立てたり、人員を減らしたりすることのしわ寄せが生じるからだ。特にこれまでの品質不正は製造部署とは独立な第三者のチェックが働かずに見逃されたというパターンがほとんどだ。一方、経営者の利欲による(報酬などに関する)不正も現場の経理や財務担当者が関わっているはずだが、それをチェックする機能が働いていない。

 ―品質不正に関して多くのメーカーは製造部署とは別に検査部署を持っていますが、それは機能しないのでしょうか。
 検査部署があっても同じ事業部の中に製造部署と横並びで設けている企業が多い。(品質データの改ざんが17年に発覚した)神戸製鋼所では品質保証部署が製造部署と同じ事業部内にあり、独立していなかった。そのような体制の企業では検査部署も事業部全体の収益責任を負う形になり、事業部長から部の計画達成のために検査不正を指示・黙認されると機能しなくなる。一般的に検査部署は製造部署と比べて発言力が弱い人が配属される傾向も影響する。

 ―不正を抑止するためにどんな組織を構築すべきでしょうか。
 事業部門の収益責任と独立した立場で、検査方法の正しさや検査結果の改ざんなどを監視する「第二のディフェンスライン」としてRM部門が必要だ。全国に工場を持つ企業などでは、各工場内の検査部署を工場長の配下ではなく、本部のRM部門の分室としておく手法が有効だ。

 ―組織の整備には経営者の判断が求められますね。
 組織体制は経営者が設計するが、経営者自身による不正を指示しやすくするためや、コスト削減のために組織整備を怠るかもしれない。そうならないためにも、組織体制の適切性や経営の怠慢がないかを監視する社外取締役や監査役が非常に重要だ。ただ、社外取締役なども数合わせのためや名前だけで選ばれている人が少なくない。例えば有名企業の社長は本業だけでも大変と想像できるが、社外取締役を複数兼職するケースがある。これで社外取締役の役割を本当に果たせるだろうか。こうしたことを踏まえると、企業のRMには限界がある。株主などの外部のステークホルダーには企業の組織体制を評価し、企業の不正を社会的に抑止する投資行動などを期待したい。

投資家に求められる責任
 ―投資家はどのような動機でそうした行動を取るでしょうか。
 投資家にとっては企業の不正が発覚すると株が下がる大きなリスクがある。それに家計の資金を預かって運用している機関投資家には投資パフォーマンスだけでなく、社会をよくするという視点での投資行動が求められ始めている。環境や社会に悪影響を及ぼし得る企業を投資先として避けることは投資家責任になってきた。私は企業のガバナンス(G)やRMを評価するツール(GRMスコアリングモデル)を提案しており、それを活用して投資行動してほしい。しっかりしたガバナンスとRM体制を持つ企業には評価結果を開示して投資家などにアピールしてほしい。

 ―GRMスコアリングモデルでは不正発覚後の第三者委員会の報告書を評価するツールも提案されていますが、企業の再発防止策はどう評価すればよいでしょうか。
 第三者委員会の委員が企業と独立しているかどうかはもちろんだが、報告書に書かれていないことに問題があることが多い。たとえば第三者委員会の調査が任意か強制力を持つものかが明記されていないことが多い。報告書の中には現場の問題だけを調査し、取締役や監査役の責任に触れていないものもある。また、品質不正の場合は不正が発覚した製品とは別の製品まで調査したかも重要だろう。神戸製鋼所はそれを実施した結果、複数の製品で不正が見つかった。糾弾される結果ではあるが、再発防止に向けた調査活動としては立派だ。

 ―企業の不正を抑制する機能としては「内部通報制度」も重要な役割を担います。
 内部通報制度は経営陣を監視する立場にある社外取締役などに直接つながるラインがあってこそ生きる。社内経営陣につながるだけではもみ消される可能性があるからだ。内部通報の通報件数を公表しているか否かでも、その組織の企業の状況を評価できる。誤解されやすいが、通報回数は多い方がよい。社員が気軽に相談できる窓口として機能している証拠だからだ。

【略歴】1985年みずほ情報総研(旧富士総合研究所)入社。金融技術開発部部長などを経て、09年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。19年退職。主な著書に『企業不正の研究―リスクマネジメントがなぜ機能しないのか?』

連載・なぜ?なに?失敗(全6回)
【01】動物ライター 丸山貴史氏(8月19日配信)
【02】元JAL機長 小林宏之氏(8月20日配信)
【03】元芝浦工業大学大学院教授 安岡孝司氏(8月21日配信)
【04】離婚式プランナー 寺井広樹氏(8月22日配信)
【05】恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表 清田隆之氏(8月23日配信)
【06】感性リサーチ社長 黒川伊保子氏(8月24日配信)
日刊工業新聞2019年8月16日記事に加筆

【ファシリテーターのコメント】
内部通報制度に関連して「通報回数は多い方がよい」という指摘は一瞬「?」となりましたが、その理由を聞き納得させられました。また、内部通報制度の有無や組織体制などについて多くの企業が公開していない点も問題視されていたことも印象的でした。
葭本 隆太

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_f5516afaf4a6_あのトラウマをもう一度!伝説の怪奇漫画家が絵本の世界へ f5516afaf4a6

あのトラウマをもう一度!伝説の怪奇漫画家が絵本の世界へ

 知る人ぞ知る、あの伝説の怪奇漫画家・日野日出志氏が73歳にして初めて絵本作家に挑戦した。1960年代から90年代にかけて漫画雑誌『ガロ』『少年画報』『少年サンデー』を中心に、『蔵六の奇病』『地獄変』『毒虫小僧』など数々の名作を残し、読者に数々のトラウマを植え付けてきた日野氏。“怪奇と叙情”をテーマに描かれた作品は、どれもおどろおどろしい描写でありながら、主人公の悲哀を描くストーリーには誰しもが共感を覚えたはずだ。そんな怪奇漫画の世界から一転、15年ぶりの新作は絵本だという。制作に至った動機や、新しい試みに対する想いを聞いた。(文・梶田麻実)

15年ぶりの新作は妖怪絵本

―この作品では、怪奇漫画家から一転し、絵本作家への挑戦になります。
 もともと民話や童話が好きで、絵本をつくりたい気持ちがあった。自分が本来やりたかったことを思い出したような感覚がある。

―73歳にして15年ぶりの新作に至ったわけは。
 2018年にツイッターを始めてすぐ、コメントや『いいね』がつき、反応の早さに面白さを感じた。投稿内容を考え、毎日アイデアを思い浮かべていたことが、創作意欲につながったように思う。ツイッターを通して制作過程の反応を知れたのは初めての経験で、『新作楽しみにしています』などと、フォロワーに背中を押されたところもある。

妖怪ごとに色味、世界観出す
―制作を通じてこだわったことは。
 絵本を開くと次々と妖怪が出てくる構成で、妖怪ごとに色味を変えて世界観を出した。狂言回しのようなキャラクターや、漫画のキャラクターを登場させる遊びを入れたりもした。所々に出る中指と薬指を曲げる手のポーズは、漫画家の杉浦茂先生へのオマージュとなっている。
 幼いころから杉浦先生の作品に強く影響を受け、ギャグ漫画ばかり描いており、かわいらしい絵が自分のDNAに刻まれていた。漫画家を目指しはじめたが、赤塚不二夫先生の作品を見てとてもかなわないとギャグ漫画の世界を諦めた。
 自分のポジションを探して7年でようやく怪奇漫画にたどり着いたものの、気を抜くと絵がかわいらしくなる。そのため、一生懸命怖くなるように努力して絵を描いていた。それがいつの間にか逆転し、絵本では怖くなりすぎないような絵を描くことに苦労するようになった。

―絵本はカラーですが、どのように描きましたか。
 デジタルで色付けした後、プリントアウトし、後から手書きで水彩の色味を足している。木のざらついた感じなど、デジタルだけでは表現できないところがあり、手書きを残すという部分は自分のなかで変わらないもの。

―漫画作品では、モノクロのなかでも色を感じさせる表現が多く使われています。
 『蔵六の奇病』の主人公である蔵六は、絵を描きたいが色が手に入らない、という設定にした。自分が幼い頃、親がクレヨンを買ってきてくれることになり、寝ないで楽しみに待っていると、6色しかない小さなクレヨンを渡されてショックを受けたことがあった。その頃の経験がトラウマのように残っていて、色に対する想いを蔵六にのせた。自身の経験は作品の中に自然に入っていく。この作品を描いたことで、色の表現方法に触れ、モノクロのなかでも色を感じさせる方法を探した。自分の描く絵に対し、影を加えたりバランスを崩していくことで奇妙な世界ができ、更に色への想いを作品に込めたことで、もう一つ世界が広がったような気がしている。

―創作をするうえで大切なことは。
 ワンポイントは、自分の世界観を持てるかどうか。上手下手ではなく、自分の技術と作品の世界観が合致するところを探す。ギャグ漫画、時代劇、学園モノ、ロボット、4コマ、と色々試して7年かけてようやく怪奇漫画の世界に辿り着いた。なにより、自分のポジショニングを探し続けることが重要だ。
 作品を作る際、ホラー作品ではモンスターを怖がる主人公に感情移入することが多いが、逆に怖がられているモンスター側はどんな気持ちなのだろう、という点に着目してきた。人間は誰しも「なぜ生まれたのか」と考えるときがあるだろうが、それを追求したのがフランケンシュタインやドラキュラ、狼男のような作品。怖がられる側が持つ悲しみのような部分にスポットを当てたい気持ちがあり、“怪奇と叙情”の世界観を作り上げていった。

常に賭けの気持ち
―新しいことに挑戦する怖さはありますか。
 どんなものでも、作品を発表すること自体にリスクを感じている。発表したら最後、自分の手元には戻らない。作品を編集者に渡してから、本当にこれでよかったのかと思う気持ちは、デビューしてから今もずっと変わらず、常に賭けの気持ちがある。

―15年間のブランクを経て感じることは。
 デジタルの時代となり、インターネット上では、50年前に描いた作品も最新の作品も同じところに並ぶ。露出することで認められる世界であり、紙で刷ったものは絶版になってしまう自分のようなタイプには、デジタルのほうが合っているかもしれない。
 ホームページやツイッターで発信することによって、若い人たちに作品を見てもらえる機会が増えたこともうれしく感じている。

―作品を通して伝えたいことは。
 子どもたちや若い人は、どんな状況でも自分の存在を否定しないでほしいという思いがある。物事は考え方一つで変わる。確かにしんどいこともあるが、1度しかない人生の中で、恐れずに自分の好きなことをやってもらいたい。漫画家として50年以上のキャリアがあるが、絵本の世界はまた別もの。そんな自分でも頑張れるのだから、多くの人たちが頑張れるはずだ。

『ようかい でるでるばあ!!』絵:日野日出志・著:寺井広樹/彩図社/2019年

日野日出志氏(ひの・ひでし)

怪奇漫画家・大阪芸大芸術学部教授。67年(昭42)にデビュー後、漫画雑誌『ガロ』『少年画報』『少年サンデー』を中心に、『蔵六の奇病』『地獄変』『毒虫小僧』など、数々の代表作を残す。旧満州チチハル市出身、73歳。

【ファシリテーターのコメント】
「実は怖いものが苦手」という日野先生。苦手なものに向かったり新しいものを取り入れることは、とてもエネルギーがいることです。つい後回しにしてしまいがちですが、柔軟性とチャレンジ精神を持って自分を更新し続けることで、自分でも気が付かないような面白い人生が待っている気がします。
梶田 麻実

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_f67cd301a85c_賞金総額1億円!日本で大規模な国際ロボ競技が来年開かれる f67cd301a85c

賞金総額1億円!日本で大規模な国際ロボ競技が来年開かれる

来年8月に福島、10月に名古屋で
 国際ロボット競演会「ワールド・ロボット・サミット」(WRS)の2020年8月・10月開催に向けて、参加チームの募集や競技概要の検討など準備が着々と進んでいる。19年8月には19歳までの若者を対象としたジュニア競技の事前大会が開かれた。主催者である経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、18年に開催したプレ大会の結果を踏まえ、世界各地のロボット技術者や学生が集う一大イベントとする意気込みだ。

 WRSはロボットの社会実装の促進を狙いにしており、競技会と展示会からなる。競技会はプレ大会と同様、ものづくり、サービス、インフラ・災害対応、ジュニアの4カテゴリーで実施する。

 参加者は世界各国の技術者や学生など。競技の詳細をまだ明らかにしていないジュニアを除く3カテゴリーについて、8月31日までWRSの公式ホームページで募集している。

 ジュニアの事前大会は8月5−9日に相模原市南区の相模女子大学で開催された。若者が本大会に向けて腕試しをするとともに、競技設計に反映させる。

 経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2020年8月と10月に「ワールド・ロボット・サミット(WRS)」を開く。同年8月20―22日には福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)でインフラ・災害対応の競技を、同年10月8―11日に愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で、ものづくり、サービス、ジュニアの3カテゴリーの競技を実施する。賞金総額は1億円以上を予定する。

前回は23カ国・地域、126チームが参加

 WRSは生活や社会、産業分野でのロボットの社会実装と、研究開発を加速させるのが狙い。18年に開催したプレ大会には23カ国・地域、126チームが参加。ものづくりカテゴリーではデンマークのチームが優勝、サービスカテゴリーではコネクテッドロボティクス(東京都小金井市)など日本勢が多く入賞し、各分野の最先端技術を競い合った。

 本大会のものづくりカテゴリー・製品組立競技では、18年の競技で組み立てたベルトドライブユニットをベースに次世代生産システムを加速させるような新たな要素を加えた製品を組み立てる。また迅速な一品ものづくりを目指すため、事前告知した製品に加え、競技の直前に初めて開示する「サプライズ製品」も組み立てる。

 サービスカテゴリーは家庭内の各作業を支援するパートナーロボット競技と、店舗における業務支援のフューチャーコンビニエンスストア競技で構成。18年に実施したバーチャル空間での競技は廃止した。

 パートナーロボット競技ではトヨタ自動車のロボット「HSR」を使い、部屋の片付けや指定された飲み物を棚から取り出して人に渡すなどの作業を競う。フューチャーコンビニエンスストア競技ではおにぎりの陳列・廃棄や接客、トイレ掃除を行う。弁当を袋に入れたり、商品を勧めたりする作業も想定。人手不足に悩むコンビニ業界に提案する。

 インフラ・災害対応は18年と同様、プラント災害予防、トンネル事故災害対応・復旧、災害対応標準性能評価の3競技を実施する。模擬プラントで、発生場所が不明なモーターの異常音・振動を測定し結果を報告、消火栓や燃料バルブを操作する。また大型タンクのクラックの診断や、煙やがれきがある中での緊急事故による要救助者の捜索なども競う。

エントリーはここから!
日刊工業新聞2019年7月30日(ロボット)に加筆

【ファシリテーターのコメント】
WRSはただ勝ち負けを競う競技会ではなく、競技の設計理念から社会への導入を強く意識しています。ロボットが社会に自然に溶け込み、当たり前のように存在する。ロボットが日常風景になることをゴールに、いかに逆算して導入を加速するかを問うています。競技会という形式にしたのは、世界中のロボット研究者たちが切磋琢磨することを願っているためです。
小川 淳

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_f3c9199a9fdf_アパレル倒産、ニットで装った偽りの好業績 f3c9199a9fdf

アパレル倒産、ニットで装った偽りの好業績

 クレッシェンドは、1994年6月に大阪府南部の和泉市でニット製造業者の共同販売会社として設立。地場製品の販売を行っていた。しかし、設立から数年後、中国など海外から安価な製品が流入し、価格面で対抗が難しくなる。

 地元業者との結びつきも薄れ、ただの共同販売会社だった同社は製造原価を抑える目的で、2001年頃から中国で生産を開始。製品を輸入して販売する業態へシフトしていった。

 輸入資金などを銀行から借り入れ、その後、業容を拡大。04年には福岡や東京に営業所を開設し、ピークとなる06年5月期には年売上高約28億5300万円を計上。07年には小売りも始め「LYRIX」の店名で6店舗を出店していた。

 しかし、リーマン・ショックを機に経営環境が悪化。個人消費の冷え込みとファストファッションの台頭で、主要顧客であった大手総合アパレルの業績が落ち込み同社は窮地に立たされる。

 さらに11年には東日本大震災が発生。売り上げは減少を続け、17年5月期は約7億2600万円と、ピーク時から10年で4分の1程度にまで縮小していた。

 一見、外部環境の悪化が経営不振を招いたようにみえるが、実際は海外生産の開始という業態転換から経営は揺らいでいた。破産申立書によると、05年5月期に約1200万円の最終赤字が発生したことで当時の経理担当者は金融機関からの融資が得にくくなったと感じ、それ以降は不適切な会計処理で黒字決算を装っていたという。ニット製品の特性上、受注の段階で資金調達ができなければ、資金繰りが直ちに破綻するという状況があったためだ。

 偽りの好業績を背景に事業を続けてきたが、17年末ごろに金融機関へ支援を要請。大阪府再生支援協議会の援助のもと、再建計画を策定して業績改善に努めたものの、今年4月末の段階で売り上げ目標を大幅に下回り、再建のめどが立たず6月4日に大阪地裁へ自己破産を申請した。
(文=帝国データバンク情報部)
(株)クレッシェンド
住所:大阪市西区西本町1―9―14
代表:松本裕之氏
資本金:1000万円
年売上高::約7億2600万円(17年5月期)
負債:約10億円

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_b2c027d75749_販売急減の半導体製造装置、それでも投資活発のワケ b2c027d75749

販売急減の半導体製造装置、それでも投資活発のワケ

 半導体製造装置の販売が減少している。この数年間、半導体の顕著な成長にあわせて半導体製造装置の販売を各社とも伸ばしてきた。ただ中国の市況が悪化するなどの影響を受け2019年春以降、不透明感が出てきた。一方でデータセンター向けの投資や第5世代通信(5G)の登場など好材料が控えており、大胆な投資に向かう動きもある。

 日本半導体製造装置協会がまとめた統計によると19年6月度の3カ月平均の日本製半導体製造装置の販売額(速報値)は、前年比23・1%減の1376億円だった。前月比で22・2%減となるなど、短期間で急激に落ち込んでいる。各社の足元の業績も良好とは言いがたい。

 半導体露光装置を販売するキヤノンは、同装置の販売減があるとして19年12月期の営業利益の見通しを7月に再び下方修正した。成長を続けていた国内最大手の東京エレクトロンは、19年4―6月期で営業利益が前年同期比41・2%減の425億円だった。ただ需要減はメモリー半導体向けに限定されている。岡昌志ニコン副社長は「当社はロジック半導体を手がけているので、影響は少ない」と話す。

 販売数量の急激な減少の一方で「それほどメーカーは悲観的になっていない」(日本半導体製造装置協会)という。半導体業界が厳しかった15年以前の状況と比べると、落ち込み幅も少ないもよう。また「取引先の開示を見ると弱含みだが、そう遠くない時期に戻ってくるのではないか」(東京エレクトロン)などと、データセンター投資や5G向けの需要が出てくると考えるメーカーが多い。「20年1―3月には市況が回復するとの見立て」(日本半導体製造装置協会)だ。

 足元の状況とは裏腹に半導体市況の回復と成長を見込み、大型投資をする企業も目立つ。日立ハイテクノロジーズは、約300億円を投じて茨城県ひたちなか市に半導体製造装置と解析装置を生産する新工場を21年に稼働する。桜井真司執行役常務は「(半導体需要の)次の波に乗れるようにする」と意気込む。

 日本企業が自前で増産体制を敷く一方で、世界最大手の米アプライドマテリアルズ(カリフォルニア州)は22億ドル(約2300億円)の大型M&A(合併・買収)を仕掛ける。7月、旧日立国際電気系のKOKUSAI ELECTRIC(東京都千代田区)を買収すると発表、12カ月以内に買収を完了するとした。KOKUSAIの技術力を評価したもので、製品群を増やす狙いがある。

 足元の業績はさえないが、20年以降に需要増が期待できるとの見方が強い。また、その時期に照準を合わせた投資も出ている。半導体メーカーは投資の判断を9月に行うとの声も聞こえている。半導体需要のビッグウェーブに乗り遅れないという気概が各社から伝わってくる。
(取材・石宮由紀子)

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_4c28d357e222_中国で工作機械の生産を撤退する豊和工業、国内に集約する背景 4c28d357e222

中国で工作機械の生産を撤退する豊和工業、国内に集約する背景

 豊和工業は海外の工作機械の製造・販売体制を再編する。中国での工作機械生産を止め、生産は日本に集約した。東南アジアでの販売はインドネシアに集約し、2020年3月にシンガポール販売子会社を清算する。一方、米国とインドで販売拠点の新設を検討している。不採算部門を縮小し、成長分野に経営資源を再配分する。

 中国子会社は丰和(天津)机床(天津市)。11年に稼働し、一部の部品は現地からも調達し、自動車部品用を中心に工作機械を生産していた。しかし人件費が稼働時の2倍に高騰。加えて中国以外から調達する部品は関税により、日本より調達コストが高い部品もあり採算が悪化した。

 そこで同子会社は天津市内で移転し、賃借していた工場を返却した。今後は外注も活用し、販売・保守と、工作機械のライン化や周辺機器の追加をするエンジニアリングに特化。現地でのきめ細かい対応は維持する。

 シンガポール販売会社はハードディスク駆動装置(HDD)部品の加工機などが売り上げの中心だった。商況が変化し、採算が悪化したためインドネシア販売子会社に機能を集約。豊和工業が得意な自動車用工作機械を中心に、インドネシアから東南アジア全域の市場を深掘りする。米国とインドで販売拠点の新設を検討するのも、自動車部品加工の市場開拓が狙いだ。

 同社は売上高営業利益率を19年3月期の4・6%から22年3月期に6・5%に伸ばす方針。体制の再編により、19年3月期の売上高223億円中の半分近くを占める工作機械事業の収益を改善する。

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_ec2c80140ba7_旅先でバイクを無料レンタル「ホンダGOバイクスタンド」 ec2c80140ba7

旅先でバイクを無料レンタル「ホンダGOバイクスタンド」

 ホンダは19日、キャンプ場やホテルなどと連携し、無料の2輪車レンタルサービスを30日から順次始めると発表した。若者らが2輪車に触れる機会を提供し、旅先で2輪車の楽しい体験をしてもらうプロジェクト「ホンダGO」の一環。

 レンタルサービスを提供する「ホンダGOバイクスタンド」を、天神浜オートキャンプ場(福島県猪苗代町)で30日、材木座テラス(神奈川県鎌倉市)で9月10日、ホテルアンテルーム京都(京都市南区)で9月25日から設置する。排気量50ccの2輪車などを無料で貸し出す。バイクスタンドの設置場所は今後も増やす。9―11月に開催する若者に人気のアウトドアイベントにも出展し、2輪車の試乗機会も提供する。

 ホンダGOでは、若者に2輪車を楽しんでもらうための楽曲や映像を制作。若年層に影響のあるインフルエンサーが会員制交流サイト(SNS)を通じて2輪車旅の楽しさなどを発信している。

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_385291229936_福岡で注目、技術者たちが集う二つの「カフェ」の正体 385291229936

福岡で注目、技術者たちが集う二つの「カフェ」の正体

 福岡県で二つの「カフェ」が注目されている。そこに集うのは、IoT(モノのインターネット)など先端技術の活用を支える技術者たちだ。技術の高度化が進み、求められる技術の移り変わりが激しくなる中、学びや交流へのニーズの高まりが背景にある。(西部・関広樹)

 「ももち浜TECHカフェ」は、最新の技術を学ぶ場を提供し、地域の技術者によるコミュニティーづくりを進める取り組みだ。福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST、福岡市早良区)が、運営する研修事業「システム開発技術カレッジ」の一環で2018年2月に開設した。名称は所在地である百道浜に由来している。

 TECHカフェは毎月1、2回の勉強会を開く。個人で気軽に参加でき、多くても15人程度で実施する。講師が一方的に話すだけでなく、コンテンツの作成など体験型の内容も多い。少人数のため参加者一人ひとりに声をかけやすく、コミュニケーションは活発だ。終了後に懇親会を開くこともあり、顔見知りになりやすい。参加者が後日の勉強会で講師になることもある。

 登録者は最初数人だったが増え続け、6月末に200人を超えた。カフェをきっかけに、ふくおかISTとの接点が生まれた事例など、つながりは参加者同士以外にも広がっている。

 地元で活動するエンジニアの「交流の場が欲しい」との声に応え、整備が決まったのが「エンジニアカフェ」だ。福岡市が8月21日に同市中央区の「赤煉瓦(れんが)文化館」に開設する。

 同館は中心市街地にある国指定の重要文化財。歴史資料館や文化活動の場として利用されている。

 エンジニアカフェでは交流イベントや技術セミナーを予定。「コミュニティマネージャー」が、エンジニアを目指す人やエンジニアに関わる人からの相談にも対応する。

 福岡では会社の垣根を越えたエンジニアの交流が盛んで、福岡市を中心に30以上のコミュニティーがあるという。そこで同市は「エンジニアフレンドリーシティ福岡」を掲げ、エンジニアが集まり、活躍しやすい環境づくりを目指している。

 両カフェをはじめ、エンジニアが学び、交流し、刺激し合う場からの新たな技術や製品、サービスの創出が期待される。

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フィンテック事業のアイデア出して!みずほ証券が社内体制で一手

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