cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_09ccb3918cc7_ソニー不動産の挑戦が示したこと、住宅業界に“メルカリ”は生まれないのか 09ccb3918cc7

ソニー不動産の挑戦が示したこと、住宅業界に“メルカリ”は生まれないのか

 「不動産テック」という言葉が一躍注目された“事件”がある。2015年11月にソニー不動産(東京都中央区)とヤフーが「おうちダイレクト(現おうちダイレクト・セルフ売却プラン)」を始めたことだ。おうちダイレクトは、個人が仲介会社を介さずにインターネット上で自由にマンションを売り出せる。人工知能(AI)が算出した価格を参考に自ら値付けができ、成約時は仲介手数料がかからない。ソニーとヤフーという強力なタッグが始めた情報通信技術(ICT)サービスで、しかも仲介会社の仕事が不要になるような仕組みは、業界に衝撃を与えるには十分だった。

 ただ、それから2年半。おうちダイレクトについて、不動産業界内では「存在感を示せていない」という声が相次ぐ。ソニー不動産によれば、「おうちダイレクトを通じた成約は毎月出ている。件数は増加傾向にある」という。ただ、具体的な件数は非公表。その上で「あくまで売却手段の一つ」と説明する。「マンション流通革命、はじまる。」というスローガンを掲げて始めたソニー不動産とヤフーの挑戦は、何を示したのか-。

米国流CツーC市場を作りたかった
 「米国の不動産取引には、売り主自らが売り出すCツーC(消費者間)市場が10-15%程度あった。仲介会社は仲介業務を行わず、あくまで事務手続きや契約などのサポートに徹するため、売り主は支払う手数料が安くすむ。それを日本で展開しようと考えた」。ソニー不動産の元役員は、おうちダイレクトを始めた当時をそう述懐する。「不動産市場で新たな挑戦がしたかった」。それが、不動産業者が仲介する既存市場とは別のCツーC市場の開拓だったという。

 既存の不動産業界はこのCツーC市場構想に衝撃を受けた。ネット上で売り主と買い主を直接結び付ける仕組みは、仲介会社の仕事を奪うと捉えたからだ。実際に売買仲介大手の中堅幹部は「(おうちダイレクトの登場で)“CツーC市場脅威論”が社内で巻き起こった」と振り返る。ただ、この中堅幹部は「現時点で居住用物件のCツーC市場は難しい」と断言する。そしてこれは現時点において業界の一般的な認識にもなっている。

 フリマアプリ「メルカリ」が浸透し、個人同士が多様なモノを売り買いする時代だ。その中で不動産を自ら売り出すCツーC取り引きはなぜ難しいのか。この問いを仲介会社やアナリストに投げかけると多様な答えが返ってくる。「ほとんどの売り主は過去に不動産を売却した経験がなく、しかも高額な商品のため仲介会社に依頼して売りに出した方が安心感がある」「売り主には『1カ月で売りたい』や『半年かかっても高く売りたい』など個別の事情がある。それをくみ取って売り出し価格の妥当性を判断し、成約に結び付けるには仲介会社の力が必要」「売り主は仲介会社に依頼するのが当然と思っており、そもそも自らが売り出す発想がない」-など。

 さらに、注目すべき事実がある。おうちダイレクトが参考にした米国のCツーC市場が縮小傾向にあることだ。全米リアルター協会(NAR)によると、17年に売り主自ら売り出していた物件の割合は流通市場全体の8%で過去最低の水準という。この背景について米国の不動産市場に詳しい三井住友トラスト基礎研究所(東京都港区)の北見卓也主任研究員は「仲介手数料を負担しても(仲介会社を通じて)多くの人に紹介してもらった方が、より高くより安全に売れる事例が多いためだろう」と推察する。

 おうちダイレクトは仲介手数料がかからないことが最大のメリットだ。ただ、米国の現状に照らせば、それ自体もあえておうちダイレクトを選ぶ動機にならない可能性がある。

投資用物件に活路あり
 一方、CツーC市場のすべてを否定する声もまた少ない。特に投資用物件についてCツーC市場の可能性を指摘する声は多く、市場開拓を見据える事業者もいる。その背景として、投資用物件は購入したり売却したりする際の判断材料の中で物件価格や利回りの比重が圧倒的に大きく、居住用物件に比べると購入や売却を判断しやすい点が挙げられる。野村総合研究所の谷山智彦上級研究員は、「投資用物件はお金を投じてお金が返ってくるという単純な物件のため(株式など)他の投資商品と同じように捉えることもできる」と指摘する。

 仲介大手の野村不動産アーバンネット(東京都新宿区)は、「(投資用物件のCツーC市場に)関心はある」と断言する。同社は投資用物件専門の情報サイトを運営しており、その拡充策の中でCツーC取り引きの可能性を模索していくようだ。また、不動産情報ポータルサイト「ライフルホームズ」を運営するライフルも投資用物件をインターネット上で取り引きするプラットフォームの将来構想をもつ。

 おうちダイレクトでも16年8月に投資用物件の取り扱いを始めており、「居住用物件に比べて(売り出し数における)成約に至る割合が高い。投資用物件は賃料収入を得ながら、希望の売却価格で成約できるまで(おうちダイレクトに)掲載し続けられるため、投資家にとって使いやすい」(ソニー不動産)と相性の良さを実感している。

 おうちダイレクトの挑戦について、不動産業界は居住用物件のCツーC市場の難しさを示す事例と捉えた。一方でおうちダイレクトは、投資用物件のCツーC市場の開拓を狙う他の企業にとって先駆者になっているとも言える。

興亡・不動産 -テックの衝動
【01】お金だけじゃない動機も…若年層が注目する新たな不動産投資のかたち
【02】開拓者に聞く クラウドファンディングだから実現できる本当の不動産投資市場
【03】ソニー不動産の挑戦が示したこと 業界に“メルカリ”は生まれないのか
【04】売り上げがたたない…不動産業界でテック企業が生き残るための必須条件
【05】ブロックチェーンが賃貸住宅をホテルに変える?
【06】“不動産テック1.0”の立役者が描く未来【井上高志ライフル社長インタビュー】
【07】不動産仲介大手が火花散らす、“ICT競争時代”に入った
【08】「ソサエティ5.0」実現へ、国土交通省は不動産業の情報化を加速する
ニュースイッチオリジナル

【ファシリテーターのコメント】
「おうちダイレクト」が始まったときの不動産業界の反発はとても強かったと記憶しています。ただ、改めて当時に受けた印象を不動産業界の方々に伺うと、冷静にCツーC市場の可能性などを分析、研究したとおっしゃる方などもいて興味深かったです。今後は投資用物件のCツーC市場がスケールするのかを注目して見ていきたいところです。
葭本 隆太

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_baa77c0752c5_SNS映えの算段もつく、楽天がVRで挑む「楽しい洋服選び」の形 baa77c0752c5

SNS映えの算段もつく、楽天がVRで挑む「楽しい洋服選び」の形

 楽天技術研究所とズーティー(神戸市中央区)は、アバター(仮想空間上の分身キャラクター)に扮(ふん)した店員がVR(仮想現実)技術により遠隔地から接客するシステム「Vpro」の実証を進めている。姿見鏡代わりのディスプレーにVR店員が入り込み、店頭の商品と楽天市場の商品を組み合わせたスタイルを提案する。東京と神戸の店舗を結び運用性を確かめた。遠隔勤務や時短勤務などスタイリストの働き方の自由度も広げる。

 「店舗の買い物もアマゾンライクになってきている。商品を取ってレジに行くだけ。本来、洋服選びはもっと楽しいはず」とズーティースタイリングラボの石川直子所長は、ため息をつく。スマートフォンですでに服を選んでいる客は、店舗では試着と支払いしかしないこともある。店のスタイリストに意見を求めることもなくなる。「店員と話すと『買わされる』と思っている方もいる。本当はスタッフと遊ぶような感覚で洋服選びを楽しんでほしい」(石川所長)という。

 ズーティーは、インターネットと店舗の両方を構えるセレクトショップだ。店舗はスタイリストと客とのコミュニケーションの場。ズーティースタイリングラボも同社がスタイリング提案のために東京・北参道に構えた。スタイリストは、より細く、よりかわいく見せたい女性の相談相手になる。ただ、店舗に置ける商品の数には限界がある。服のサイズはS、M、Lの売れるものが中心になる。カラーバリエーションが20色ある商品もあり、店頭在庫の制約は悩ましい。

 そこで楽天技研とVproの実証実験を進めている。実験では600商品をVR環境に用意した。姿見鏡ディスプレーに自身を映して商品を重ねて見る。体へのフィット感は店頭商品を試着して確認し、色や小物はVRで試せる。アバターはウサギの着ぐるみで、ボイスチェンジャーでアニメ声に変換した。石川所長は「キャラにして“恩着せ感”をなくした。プレッシャーを感じやすい方も楽しんでもらえる」と話す。

 システム構成はシンプルだ。姿見鏡をディスプレーに置き換えれば店舗の雰囲気を壊さず導入できる。ディスプレーに客を映し、遠隔操作で働く店員アバターをVRで合成する。機器はすべて市販品で構成した。楽天市場に登録された商品写真を流用するためコンテンツ制作の負荷はない。アバターの操作はVRゲームと同様、15分もあれば慣れるという。

 楽天技研の益子宗シニアマネージャー(筑波大学教授)は「店舗は撮影から表示まで遅延がほぼない。鏡のように自然に使える」と胸を張る。アバターの操作は遠隔地から動きのデータを送り、アバターは店舗のパソコンで描画する。データ量を抑え、通信状況によらず安定して稼働する。

 技術的にはディスプレーの色調を変えて、暖色系の照明や太陽光での色を再現したり、背景を旅行先やホテルのシーンと組み合わせたりできる。画像処理系のVRアプリでできることはほぼ試せるため、服を買う前にSNS映えするか算段がつく。東京―神戸間の遠隔接客に成功し、次は多店舗の遠隔接客を実証する。ネットとリアルの融合が深まっている。
(文=小寺貴之)
日刊工業新聞2019年5月23日

【ファシリテーターのコメント】
 店頭でスタイリストさんとARやVRの画像加工を試してインスタ映えするか確認できるようになると面白いですね。おしゃれをするのは、リアルの友人に見せるためなのか、SNSなどで表現するためなのか。どちらの方がお金を動かしているのか。服や小物のリアルとVR加工のバーチャル、両方合わせてファッションがあるのだと思います。店頭での買い物がアマゾンライクになっているという点は、コスパで選べばそうなりますよね。おしゃれはリアルでもバーチャルでも、人前に出る前に意見をくれる人が何人かほしいところです。これまでおしゃれにお金を使う人には、何人も仲のいい店員さんがいたと思います。VR遠隔接客なら店頭にも部屋にもスタイリストさんが気軽に出張できます。普通の人にもアドバイスや意見を届けることができるようになると思います。自分のコーデで人前にでて「いいね」がつかなかったり、残念なことを言われると、とても傷つきます。嫌な思いをした人が誰かに頼るのは自然なことだと思います。
小寺 貴之

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_fc638d73ace1_NTTのAI・IoT戦略に不可欠だったアイルランド企業の正体 fc638d73ace1

NTTのAI・IoT戦略に不可欠だったアイルランド企業の正体

 NTTコムウェア(東京都港区、栗島聡社長、03・5463・5776)が、複雑なITインフラの統合や運用を自動化するオーケストレーションソフトウエアを開発するアイルランドのユビキューブ(ダブリン市)の筆頭株主になった。きっかけを作ったのは、NTTグループの持ち株会社であるNTTの澤田純社長。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)により、あらゆる産業をスマート化するNTTの成長戦略「スマートワールド構想」にユビキューブの技術が不可欠だったからだ。(文=編集委員・水嶋真人)

 「非常に面白い技術を持つ会社がある。詳細を調べてみてはどうか」。2017年夏、当時NTTセキュリティ社長だった澤田氏が14年設立のスタートアップ企業、ユビキューブを栗島社長に紹介した。NTTセキュリティのサービスの設定自動化を短期間で実現したユビキューブの技術を澤田氏が高く評価したからだ。

 18年12月にはNTTコムウェアがユビキューブへの出資と業務提携を発表。19年4月にユビキューブが2000万ドル(約22億円)の資金調達を実施すると発表していた。

 背景には、米ラスベガス市が人工知能(AI)やセンサーを用いて都市をスマート化するNTTのITシステムを4月に商用化したことがある。ITシステムの基盤には、ユビキューブの技術を使ったNTTコムウェアのITインフラ運用自動化サービス「スマートクラウド・オーケストレータ」が使われた。ダウンタウンに配置した監視カメラや音響センサー計30台から得た群衆の動きや量、交通状況、事件性の高い音声などをデータセンターに集めてAIで分析し、事件発生を事前に察知する。

 同サービスはラスベガス市のITシステムを構成する複数のネットワークやIT機器、アプリケーション(応用ソフト)を統合的に管理可能にする。メーカー間で異なるネットワーク機器の設定作業や運用手順を自動化するだけでなく、負荷状況に応じてデータセンターの処理能力を自動で最適化する仕組み。ビッグデータ(大量データ)を活用した渋滞予測、顔認証を用いた迷子探索など、ラスベガス市が計画する機能拡張にも柔軟に対応できる。

 澤田社長はスマートシティー化システムについて「23年までに全米100都市へ導入し累計10億ドル(約1100億円)の売り上げを目指す」との目標を掲げる。異なるメーカー間のIT機器やネットワーク、アプリを柔軟につなげて統合的に自動運用する“オーケストレーション技術”で米アマゾンや米グーグルなどのGAFAと差別化する狙いだ。ユビキューブの技術は、オーケストレーションの中核基盤となるだけでなく、NTTグループのITシステムへの活用も検討し、コスト削減やIT技術者の負担削減につなげる。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_f1194ade7d93_メルシャンが国内3カ所目のワイナリー、長野・上田でどんなブランドを作る? f1194ade7d93

メルシャンが国内3カ所目のワイナリー、長野・上田でどんなブランドを作る?

 メルシャンは23日、長野県上田市に国内で3カ所目のワイナリー「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー=完成予想図」を9月21日に開設すると発表した。国産ブドウを使い国内で醸造する日本ワイン「シャトー・メルシャン」ブランドで国内3拠点体制を敷く計画が完成する。ブランド最高峰「アイコン」シリーズを中心に10酒類ほどのワインを製造する。

 椀子ワイナリーはブドウの栽培からワイン造りまでを公開する“ブティックワイナリー”。2003年に開園した自社ブドウ畑「椀子ヴィンヤード」に8853平方メートルの敷地で鉄骨造2階建ての建屋(延べ床面積1459平方メートル)を設ける。

 カベルネソービニヨンの品種を中心に収穫し、19年度に約5000ケース(1ケースは720ミリリットル×12本換算)を生産。数年後に約1万ケースまで引き上げる。

 ワインを試飲するテイスティング・カウンターやワイン・ショップを併設し、地域社会・コミュニティーを活性化する。勝沼ワイナリー(山梨県甲州市)と桔梗ヶ原ワイナリー(長野県塩尻市)に椀子ワイナリーを加えた3拠点でシャトー・メルシャンを展開する。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_6a9fcfa3ab43_珍名新駅「みくりや」、課せられたミッション 6a9fcfa3ab43

珍名新駅「みくりや」、課せられたミッション

 静岡県磐田市で2020年春の供用開始を目指し建設が進むJR東海道本線の御厨(みくりや)駅は、静岡県の同線内で約20年ぶりの新駅。ヤマハ発動機やNTNの生産拠点、Jリーグ・ジュビロ磐田の本拠地である「ヤマハスタジアム」に近く、通勤・通学やスポーツ観戦で幅広い利用が期待される。地域では、工業用地中心だった磐田市東部の活性化が期待されている。

 「みくりや」という珍しい駅名は、駅が立地する地域のかつての地名「御厨村」にちなんで名づけられた。「駅名は御厨の他にも複数候補があった」(高野幸也JR東海建設工事部建築工事課長)が、公民館や店舗の名前に残るなど地域で親しみのある御厨に落ち着いた。

 駅の構造は、南北に自由通路を配した橋上駅舎。乗降者数は1日約2000―3000人を見込むが、スポーツ観戦などで利用客が突発的に増えた時に備え、駅舎やホーム幅は周辺の駅より大きく設定。駅舎内装には「ジュビロカラー」の水色の装飾を採用。ファンの心を引きつける工夫もちりばめた。

 駅建設と並行して周辺の再開発事業も進む。御厨駅は磐田市からの請願駅という背景もあるため、道路整備など一からの街づくりに余念がない。

 例えば駅の北東地域では一戸建て向けの宅地整備が進むほか、商店や病院の整備も着々と実行中。「定住を促進することで、地域の持続的成長が図れる。将来は駅周辺の企業への出張者向けにホテルの誘致などを進めてもいい」と磐田市建設部都市整備課の平野尚洋さんは期待する。

 現在の同市の中心は、国道が走る北部地域やJR磐田駅周辺の西部地域。市東部の新たな中核として、御厨駅が担う役割は大きい。

【概要】JR磐田駅―袋井駅間に設置される。JR東海道本線の静岡県内の駅では、01年に供用開始した愛野駅以来の新駅。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_c5678c2b33dc_東電が社内向けの配電設備保守ノウハウを外部へ提供、その背景は? c5678c2b33dc

東電が社内向けの配電設備保守ノウハウを外部へ提供、その背景は?

 東京電力パワーグリッド(PG)は配電設備の保守・診断技術や試験装置などを顧客の工場やビルに活用する提案活動を本格的に始めた。社内向けのノウハウを外部に公開し、技術の導入支援、試験装置の貸し出し、試験受託などにつなげる。国内の電力需要が人口減少、省エネルギーの進展で中長期的に減るとみられる中、新たな収益源を開拓する。

 工場やビル、住宅に電気を送るための配電線や変圧器などの保守・診断技術を顧客企業で活用するよう提案する。

 配電設備の技術を研究し、試験装置をそろえる配電エンジニアリングセンター(東京都江東区)に顧客企業の技術者を招く活動を始めた。

 東電PGはニッカリ(岡山市東区)、関電工と共同で、地下電気室内の高所にある変圧器を階段で搬出入しやすくするレール式運搬工具を開発した。交換時間を従来の8分の1に短縮できるため、東京電力ホールディングスの2018年度のカイゼン・社長賞を受けた。自社の交換作業に活用するほか、顧客企業に他用途での活用を提案する。

 試験装置を実演し、貸し出しや試験受託を目指すほか、見学者に保守・診断技術を裏付けることを狙う。落雷が電線に与える影響を試験する装置や、強風を電線にかけ続けて影響を試験する装置などを紹介する。

 東電PGのエリア内では、26年度の電力需要が16年度実績比約1%減少するとみられている。託送料金収入の減少を、収益源の多様化で補う。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_6c246d8888f3_スマホは?車載は? 電子部品大手5社の設備投資計画はこうだ! 6c246d8888f3

スマホは?車載は? 電子部品大手5社の設備投資計画はこうだ!

 電子部品大手5社の2019年度設備投資計画は、総額で前年度比8%増の8158億円を見込む。アルプスアルパインを除く4社が前年度からの増額を計画する。日本電産は、中長期での成長を支える積極投資を継続するため、4社中で最も増加率が高い同24・4%増を計画する。スマートフォン市場の先行き不透明感が強まる中、新たな成長分野として期待される車載市場への投資が高まっている。(文=山谷逸平、京都・日下宗大)

 日本電産は総額1500億円、このうち約42%を車載に、約35%を家電・商業・産業用製品に充てる計画。成長の柱とする車載用モーターなどの生産能力を引き上げる。特に電気自動車(EV)に使う駆動用モーターの増産を急ぐ。同モーターは「今の自動車市場全体が重たい状況であっても伸びている」(吉本浩之社長)とし、「マーケットを押さえておくことが重要」(同)と先手を打つ。

 京セラは18年度比2・5%増の1200億円を計画。車載関連製品の需要拡大に合わせた生産能力の増強を進める。19年度は「自動車では先進運転支援システム(ADAS)が伸びる」(谷本秀夫社長)とする。

 TDKは同15・2%増の2000億円を計画する。50%弱を電池、20%強を受動部品、残りの約30%をその他製品への投資に振り向ける。山西哲司常務執行役員は「(電池は)主に非スマホ分野における拡大を狙った投資で、今後継続して増やす見込み」と、“脱スマホ依存”を強調。受動部品については「積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力は継続的に伸ばす」と、車載向けのMLCCに力を入れる。

 一方、積極的な設備投資をした結果、減価償却費が増え、バランスを見ながら投資する企業もある。

 村田製作所は同2・9%増の3000億円を計画する。自動車の電装化に伴うMLCCの車載向け需要の急増で、近年、積極的な設備投資を進めたため、減価償却費が増えている。ただ、車載向け需要は今後も拡大し、車載市場の成長も期待できることから、ほぼ横ばいで計画した。「土地、建物、インフラ関係で1650億円を投じる」(村田恒夫会長兼社長)ほか、MLCCを中心に1000億円程度を増産投資に振り向ける考えだ。

 アルプスアルパインは17年度にスマホ関係の積極的な投資を終えている。19年度からは財務の健全性を重視する方針だ。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_4e28a381f2cc_東大・トヨタなど、ブロックチェーン活用した次世代電力取引システム実証へ 4e28a381f2cc

東大・トヨタなど、ブロックチェーン活用した次世代電力取引システム実証へ

 東京大学、トヨタ自動車、東京電力グループのTRENDE(トレンディ、東京都千代田区)は23日、ブロックチェーン(分散型台帳)を活用して住宅や企業、プラグインハイブリッド車(PHV)間で電力を取引するシステムの実証実験を6月17日に始めると発表した。PHVを分散型電源として組み合わせた個人間電力売買の実証実験は世界初とみられる。

 トヨタの東富士研究所(静岡県裾野市)と周辺エリアで2020年5月まで実施し、約20人が参加する。電力取引所を用意し、太陽光パネル、蓄電池、PHVの電力を参加者間で売り買いする。人工知能(AI)を活用したエネルギー管理システムを家庭などに設置して売り買いの注文を出し、電力取引所でマッチングして取引を成立させる。

 実証実験を通じて、分散型の電力取引システムの実現可能性を見極める。

 需給のマッチングで電力料金の経済性を高められるかなども検証する。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_f87ac5b110ef_【地銀20行・グループの業績一挙掲載】マイナス金利で苦境続く… f87ac5b110ef

【地銀20行・グループの業績一挙掲載】マイナス金利で苦境続く…

 全国地方銀行協会(地銀協)が22日まとめた地銀63行の2019年3月期決算は45行が経常減益だった。地銀協の柴戸隆成会長(福岡銀行会長兼頭取)は同日の定例会見で「今の金利状況を考えると、増益にすることは難しい。米中貿易問題で先行きにも不透明感がある」とし、経営環境の厳しさを説明した。

 日銀のマイナス金利政策で預貸金の利ざやが縮小。加えて地方は人口減と少子高齢化が進む構造問題を抱える。異業種の金融事業参入も大きな痛手となっている。今後も日銀は金融緩和を続ける見通しで、手数料ビジネスやコンサルティング事業の強化、店舗統廃合による経費削減など構造改革が求められる。

収益構造改革が急務
 地方銀行の苦境が依然として続いている。地銀20行・グループの2019年3月期の当期利益は、12行・グループが減益となった。日銀のマイナス金利政策の影響で、預貸業務の利ざやの縮小を余儀なくされていることが一因だ。20年3月期は13行・グループが当期減益を見込む。日銀は少なくとも、20年春ごろまでは超低金利を維持する方針。各行・グループは手数料ビジネスの強化など、収益構造改革を今まで以上に進める必要がある。

 全国地方銀行協会が22日に開いた会見で、柴戸隆成会長(福岡銀行会長兼頭取)は「18年度は引き続き超低金利状態で、収益への下押し圧力がかかる環境だった」と回顧した。経費については若干の減少がみられるとし、「各行の働き方改革や生産性向上の成果が表れている」と語った。

 預貸業務の利ざやがいつどの程度改善するか見通しにくい中、保険商品や投資信託の販売といった手数料ビジネスや、法人向けのM&A(合併・買収)仲介などに力を注ぐ事例も目立ってきた。「後継者問題や成長戦略でM&Aに対するニーズはかなり強い」(柴戸地銀協会長)。各行・グループは成長分野に経営資源を重点配分し、収益源の多角化などが求められている。

東日本 システム投資、負担響く
 東日本の主要地銀9行・グループの20年3月期業績予想は、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)や千葉銀行など4行・グループが当期増益を見込む一方、長引く超低金利と業務効率改善を目指したシステム投資が重くのしかかる。

 埼玉りそな銀行は、19年3月期に保有有価証券の売却で財務体質を健全化したことが奏功する見込みだ。「法人ソリューション、個人向け資産形成サポートに注力する」(池田一義社長)と手数料収入および貸し出しを強化する。

 コンコルディアFGは、経営基盤強化に向けたシステム投資の経費がかさむ。「デジタル技術で業務を3割削減し、3分の1の店舗の統合や軽量化を進める」(川村健一社長)。

 千葉銀行は、システム改善費用などで実質業務純益は減少するものの、法人営業の強化で当期増益は確保する。東京きらぼしフィナンシャルグループは、店舗再配置・スリム化、本部効率化などの効果を見込む。

 めぶきフィナンシャルグループは「システムを一本化し事務処理体制の大幅な合理化を実現」(笹島律夫社長)するため、基幹システム共通化への負担が増加。群馬銀行と北洋銀行はマイナス金利が続くことによる利息収入の減少が響く。七十七銀行は「コンサル営業で手数料収入に結びつける」(小林英文頭取)とし、グループ一体で総合収益につなげる考えだ。

中部 業績予想、まだら模様
 中部の主要地銀の20年3月期業績予想はまだら模様だ。

 静岡銀行は高い利回りが見込める中小企業や個人向けの貸し出し、伸びているストラクチャードファイナンスなどに注力し、当期増益を予想。「地域密着金融や事業継承など、付加価値の高いサービスを提供していく」(柴田久頭取)と意欲を示す。

 十六銀行も中小企業向けの貸出金利は「反転の兆し」(村瀬幸雄頭取)。金利以外の収益源を増やしていく方針で、6月に証券子会社「十六TT証券」を開業する。

 一方、ほくほくFG傘下の北陸銀行は「収益環境は極めて厳しい」(庵栄伸頭取)と、当期減益予想。コンサルティング機能の強化を続けつつ、個人取引はデジタル化の機運に沿ったサービスの充実を図る。

関西・中四国 金利で稼ぐ本業の力低下
 関西と中四国の主要地銀6行・グループは20年3月期に軒並み当期減益を予想する。貸出金の利回り低下に歯止めがかからず有価証券の運用環境も悪化。手数料ビジネスやコスト削減に努めても本業の金利で稼ぐ力の低下を補えない。

 りそなグループの信託事業を取り込み事業承継や不動産活用サービスに活路を求めるのは関西みらいフィナンシャルグループ。「グループの力を共有し厳しい決算をはね返す」(菅哲哉社長)。

 広島銀行は19年3月期に貸出金利息の収益を前期比で伸ばした。だが部谷俊雄頭取は「非金利収益を拡大し安定的な収益構造を確立したい」と地銀事業の変革を図る。中国銀行の宮長雅人頭取は「本業の融資に関連したコンサルタント業務や人材あっせん業で手数料ビジネスを拡大する」ともくろむ。

 伊予銀行の大塚岩男頭取も「取引先としっかり関係を築き、さまざまな形で利用してもらうビジネスモデルを作り上げる」とする。

 特に苦しいのは低金利競争が厳しい関西。池田泉州ホールディングスは重荷だった外国債券の含み損を株式含み益で処理したが、経営の立て直しは途上。鵜川淳社長は25年に大阪市で開かれる国際博覧会「大阪・関西万博」を「大阪を地盤とする当行が地域貢献する好機」ととらえる。顧客の課題解決サービスに知恵を絞り存在価値を訴求する。

九州 手数料収入、着実に伸長
 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の2020年3月期は、4月に経営統合した十八銀行の負ののれん発生益の計上により、過去最高の当期利益を見込む。M&A(合併・買収)仲介などによる手数料収入は「急激に伸ばせないが着実に増やす」(柴戸隆成社長)。

 西日本フィナンシャルホールディングス(FH)は20年3月期、厳しい経営環境が響いて減収が見込まれる。当期利益も減らすが「かなり固め」(谷川浩道社長)の予想。「金利の1ベーシスポイント(0・01%)にこだわる」営業姿勢で融資利率を安易に下げずに利益を積み上げる。

 両社ともに19年3月期当期利益は、信用コストが膨らむ中で増益を確保。ふくおかFGは傘下の福岡銀行のコア業務純益の伸びが貢献。西日本FHは徹底した経費削減などでカバーした。

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cat_oa-newswitch_issue_09ccb3918cc7 oa-newswitch_0_64820e7c0e05_日産が音源可視化技術をライセンス供与、狙いは? 64820e7c0e05

日産が音源可視化技術をライセンス供与、狙いは?

 日産自動車は、騒音などの音源をパソコン上で可視化できる技術のライセンスをアコー(東京都八王子市)、マイクロネット(川崎市川崎区)の2社に供与する。日産は同技術を活用した音源可視化システムを両社に生産してもらい、国内外の車両開発拠点や工場での導入を広げる。一方、アコーとマイクロネットは、同技術が異常音や騒音の発生源の発見・解析に幅広く活用できるとみて、生産ラインや空調機器、住宅関連などを対象とした装置開発を進める計画。

 日産は11年に音源可視化技術を開発し、車両開発で静粛性向上のために活用している。また生産設備での異音発生源の特定などの用途でも利用する。

 今後、国内外の拠点で導入を拡大するためアコー、マイクロネットに音源可視化技術のライセンスを供与することにした。東京都や川崎市が地域産業活性化を目的に実施している「知的財産マッチング支援」制度を活用し両社を探した。日産が同技術をライセンス供与するのは初めて。

 日産の音源可視化技術は複数のマイクとカメラ、信号処理アルゴリズムを組み合わせて音源を探り、測定対象物の画像と重ね合わせる形でパソコンの画面に音源を視覚的に表示できる。

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