我が家には2歳の弟と5歳のお兄ちゃんがいます。2歳になった弟がようやく言葉を少しずつ話すようになった頃のことです。
「はぁん! はぁん!」
と泣きながら私に訴えました。しかし私には何のことやらさっぱりわかりません。「は」がつく言葉で弟に関係する単語をかたっぱしから思い浮かべますが、お手上げ状態。
弟は会話がママに通じないことでますます泣き叫んでしまいます。そんな弟と私の状況を見かねて、お兄ちゃんが助け舟を出しました。
「えっ!? なに? ごはんなの?」
と弟に確認すると、弟は泣き止んでにっこり笑いながらうなずきました。
素直に
「お兄ちゃん、すごい……!」
と感心。お兄ちゃんの通訳の力のすごさはその後もたびたび見せつけられました。
いやいやいや、そんなの私にはわからないよ……!
弟の意思をくみ取るお兄ちゃんの感性たるや、ここまで見事なものなのか、と感心しきり。お兄ちゃんの「弟専属通訳」ぶりに目を見張るばかりのママなのでした。
脚本・しのむ イラスト・Ponko