『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』(加藤雅俊/講談社)
現代の日本で高血圧と推定される患者数は、4300万人にものぼる。これはいわば、日本人の約3人に1人が高血圧に悩まされているということだ。そもそも、高血圧の多くは血管が硬くなり、血管壁に強い圧がかかることで起きるとされている。
こうした事実から注目されはじめたのがNO(一酸化窒素)という物質。NOは血流が一気にアップしたときに分泌されるといわれており、血管を柔らかくしてくれる効果が期待できるそう。NOにこの働きがあることを発見した研究は、1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞している。
そんなNOの分泌に着目し、独自の降圧体操を勧めているのが『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』(加藤雅俊/講談社)だ。本書には、薬剤師で体内環境師である加藤雅俊氏が考案した「加藤式降圧体操」が記されており、高血圧になりにくい血管を薬に頼らずつくれるようになったり、血糖値や尿酸値といった生活習慣病からくる数値全般の改善も期待できたりするのだという。
そこで本記事では「加藤式降圧体操」とは果たしてどのようなものなのかを詳しくご紹介していこう。
■たった2つのポーズで行える「表裏体操」
「加藤式降圧体操」は手軽に毎日行えるため、習慣化させやすい。特に、長期継続で効果が期待できる「表裏体操」は、2種類の動きだけでNOの分泌を増やせるそう。
加藤氏によれば、初めて表裏体操に取り組むときはまず最低5秒、徐々に秒数を増やしていき、1分を目標にするとよいとのこと。行うときは5つのポイントを意識することも大切になる。
誰もが簡単に行える表裏体操は全身の筋肉も増やせるため、血管だけでなく、肉体の健康も維持してくれるはずだ。
なお、短期間で効果を感じたい方に向けて1ポーズ10秒で行える「部位別体操」のやり方も収録されているので、ぜひ併せてチェックしてみてほしい。
■おやすみタイムにできるツボ押しも収録
降圧体操の他に、誤解しがちな血圧知識や血圧を下げるための生活習慣などが記されているのも本書の魅力だろう。その中でも特に注目してほしいのが、降圧効果が期待できるツボ押しだ。ツボ押しは脳に直接働きかけながら自律神経を調節し、精神的な原因による高血圧への効果が期待できることも認められているのだそう。
加藤氏は本書の中で、自身のサロンでも取り入れているツボ押しを精神状態別にいくつか紹介してくれている。例えば、緊張感が高まり、ピリピリしてしまったときは「内関」というツボを押し、副交感神経を優位にするのだそう。
ベッドの中でも手軽に行えるこのツボ押しは、安眠効果も期待できるかもしれない。
また、メンタルが弱っているときは「労宮」というツボを刺激し、心の状態を良好にしてあげるのもよい。
こうしたツボ押しは育児や家事、仕事で疲れた心にもよく効いてくれそうだ。
薬に頼りきらない加藤氏の降圧法はどれも手軽に行えるため、続けやすい。血管の年齢や状態は自分ではなかなか気づけないものだからこそ、健康でいられるように日々、努力していくことがなによりの薬になるのだ。
文=古川諭香