cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_23931e2ec21d_iPhone XR実機レビュー「iPhone 7/8 Plus」ユーザーがチェックすべき5つのポイント —— 注目はサイズとカメラ 23931e2ec21d 23931e2ec21d iPhone XR実機レビュー「iPhone 7/8 Plus」ユーザーがチェックすべき5つのポイント —— 注目はサイズとカメラ oa-businessinsider

iPhone XR実機レビュー「iPhone 7/8 Plus」ユーザーがチェックすべき5つのポイント —— 注目はサイズとカメラ

iPhone XRの(PRODUCT)RED。日本の漆塗りのような落ち着いた赤だ。カラフルさが売りのXRのなかでも、和を感じさせる意外な良さがある。

10月26日(金)AM8:00から発売開始の「iPhone XR」。

先行するiPhone XSシリーズより手軽な価格と、その割に性能はほとんど変わらないこと、普及機種とはいえ完全な新デザインであることから、2018年のiPhoneの「本命」というITプレス関係者も多い。



XSとXS Maxの「中間サイズ」という6.1インチは「絶妙」なのか「中途半端」なのか。

同クラスの従来機種のiPhone 8 Plus、そしてちょうど2年縛りの買い替え時期にきているiPhone 7 Plusと比べて、サイズ感やXSシリーズとの体験の違いを比べてみよう。

1. Plusシリーズよりポケットにスッキリ収まる、「7.5ミリ」の違い

iPhone XRのPlusに比べた小ささがわかるカット。

XS Maxは、ほぼPlusシリーズと同じサイズ、ということは先行する記事でお伝えしたとおり。

それより少し画面サイズが小さいXRは、Plusシリーズと比較すると一回り小さい。サイズにして、幅2.3ミリの小型化だ。



数字で見ると微妙な差に感じるが、人の手の感覚は鋭いもので、「少し幅がコンパクト」なことは実際にも体感できる(と同時に、厚みが増えていることもわかる)。縦方向の高さの違いはもっと顕著で、写真で見てもかなりコンパクトだ。サイズにしてiPhone 8 Plusに比べて-7.5ミリ。結構な違いだ。

7.5ミリの違いは並べるとこうなる。下の写真で比べると、これでも表示領域は増えているところに注目。画面比率が変わって、フルディスプレイになったことのメリットがよくわかる。

iPhone XRの方が小さくても、表示領域は広がっていることがわかる。

この 高さ方向の違いは実用面では結構大きな差だと感じる。というのは、パンツの前ポケットに入れた時の収まりの良さが全然違うのだ。画面が大きくても「ポケットがパンパン」にはならない、というのがサイズ感の上でXRの美点だと思う。

2. 重さは7 Plusより重く、8 Plusより軽い



細かい話をすると、重さも変わっている。Plusシリーズは7と8の外観がかなり近しいので、重さも近いと思っている人もいるが、実は7 Plus→8 Plusの進化のなかで、重量は14g増えて、202gになっている(XS Maxも208g)。

XRでは、本体サイズが小さくなったこともあって194g。ギリギリ、100g台に収まっている。2年前の7 Plusは188gだったから、7 Plusよりは微妙に重く、8 Plusよりは微妙に軽く、変わったということになる。

ただし、この違いは、相当敏感な人じゃないと、サイズの違いほどには体感はできないだろう。

3. XS(有機EL)とXR(液晶)、ディスプレイ方式の差は価格差ほどにはない



9月のアップル新製品発表当時から、XRは現地取材した記者やライターの間で評判が良い機種だった。既にさまざまな記事が出ているとおり、

・処理性能を決めるプロセッサ(A12 Bionic)と、フロントカメラはXSシリーズと完全に同じ
・背面のカメラ性能は、レンズまで含めてXSシリーズの広角側と完全に同じ(望遠レンズはない)
・画面は液晶(XSシリーズのように有機ELではない)
というのが、XRの特徴。

早い話がカメラとディスプレイ以外に、体験が大きく変わりそうな部分がほぼないのだから、「お買い得」というわけだ。

気になるディスプレイは、実のところ解像度で言うと、XS Maxとは大違いだ。8 Plusに比べると一段下がっている。画面を押しこんで操作する3D Touchもなくなった(代わりに、「長押し」で似た操作感を再現するように変わった)。

iPhone XS Maxと比べると、解像度は大差がある。8 Plusと比べても、iPhone XRの解像度は控えめ。

とはいうものの、普及機だからXSシリーズに比べて品質もそれなり……とはしないところが、XRの上手いところだ。

丸1日実機を使っていても、8 Plusシリーズとの解像度の違いを明確に感じることはなかったし、多くの人にとっては、XSシリーズと比べても、価格差を考えれば十分満足できるものだ。

これは、8 Plus比較で、コントラスト比が向上(1300:1→1400:1)と世代なりの進化をしていることも関係しているかもしれない。

4. XRとXSの「体験」の最大の違いは、やっぱりカメラだ

iPhone XRと8 Plusのレンズ付近の造形の違い。レンズが飛び出たデザインだけは、iPhoneシリーズのなかでも直してもらいたい部分。レンズ面の傷がどうしても心配になる。

「2018年のiPhoneはXRが本命」という評価には賛成だが、あえて指摘すると「カメラの違い」は、使い方によっては結構大きい違いだと思う。

これは、画質の良し悪しではなく(シングルレンズでも、カメラ性能はXS Maxの広角側と完全に同じだ)「人間以外の被写体に背景ボケ写真が使えない」ことが、体験の違いに大きく影響している。

ここ数年、AndroidでもiPhone(Plus /X)でも、背景ボケ写真(ポートレートモード)は当たり前になった。自分が撮った写真を振り返っても、食事、街中で見かけた気になる1カット、出張先の風景といったように、距離1-2mくらいで撮る写真は、ポートレートモードを多用していた。



そのノリで、街中を歩きながらXRでスナップ撮影していると、「ここで背景ボケが使えると、もっと印象的になるのにな」と思うシーンが思った以上にある。

iPhone XRで、あとからピント調節ができる人気のカメラアプリ「Focus」を試したところ。デュアルレンズ機種専用アプリなので、このように撮影自体ができない。残念。

ということで、カフェのランチ写真をポートレートモードで撮ると……当然iPhone XRではこういう表示が出る。

確かに、XRのカメラ機能として、「人物の被写体にはポートレートが使える」のだけれど、これはシチュエーションを選ぶ。AIが人物を画像認識してからボカす、という仕組み上、相手がある程度静止していないと「人」と認識されないからだ。

5. この性能の高さはARを楽しむためにある
性能面ではXSシリーズがメモリー4GBになったのに対して、XRは3GBという違いはあるものの、冷静に考えればiPhone 8 PlusもiPhone Xも3GBだ。iOSのメモリー管理の仕組みもあって、日常的に「差」を感じることは少ない。

「普及機種でも処理性能に差がない」というのは、たとえば一部のサイトで使われ始めたAR対応ショッピングなどでも、XSシリーズと同じ体験ができるということだ。

これらAR対応は、アップルが普及を進めるiOSの「ARKit2」と、新しい3Dデータフォーマット「USDZ」によるものだ。

ARKit2がこの先どこまで普及するかはわからないが、アップルが「2018年のiPhoneで中身(プロセッサ)とインカメラ(TrueDepthカメラ)をシリーズ問わず共通化した」のは、こうした次世代コンテンツに対するプラットフォーム化の先行投資でもある。

ARコンテンツで遊んでみると、「これが次世代のカタログになる」というのは、納得感がある。A12 Bionicの処理性能のおかげで、ブラウザーベースのARでも相当リアルなのだ。

ECサイト「Shopify」が提供するAR機能のデモ。自転車店「Pure Cycles」のARカタログで表示したAR自転車(手前)と、本物の自転車(奥)。ARKitによって光源の再現がリアルなこと、原寸表示のサイズ感が正確なこともあって、自転車が2台置いてあるように見える。

ある意味で、「デザイン」まで含めてiPhone XSシリーズよりも変化が大きく、誰にでも新しさを最も感じられる機種、それがiPhone XR。

やっぱりこの機種は、2018年を通して店頭の注目を集める端末になることは間違いないだろう。


「iPhone XR」実機レビュー、これで人気が出ないわけがない ── デザイン、性能、気になるカメラを試す
2018年の新型iPhoneは「iPhone XSシリーズ」「iPhone XRシリーズ」の2本立て。発売時期も9月21日と10月26日に分かれた...
https://www.businessinsider.jp/post-177998
(文、写真・伊藤有)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_d4bcda5afc11_増える「Twitter就活」の功罪、不安あおる匿名情報の氾濫や高額セミナーの勧誘も d4bcda5afc11 d4bcda5afc11 増える「Twitter就活」の功罪、不安あおる匿名情報の氾濫や高額セミナーの勧誘も oa-businessinsider

増える「Twitter就活」の功罪、不安あおる匿名情報の氾濫や高額セミナーの勧誘も

多くの就活生が情報収集にTwitterを使用している。
今村拓馬撮影/shutterstock

就活生がTwitterを利用して、就活情報を集めたり、情報共有を行う「Twitter就活」。

就活のための専用アカウントを作る大学生も多く、Twitter上には2021年卒業予定の就活生のアカウント「〇〇@21卒」などが大量に見つかる。

Twitter就活では、就活生仲間などから生の情報が収集できたり、就活生側が企業に直接アプローチできたりすることから、就活生の間に浸透。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、対面でのイベントが制限されるなど、例年通りの情報収集が難しかったこともあり、Twitter就活への注目がさらに高まった。

一方で、人事担当を名乗る匿名アカウントが、無責任な就活相談を行っていたり、就活生の不安をあおったりする例も少なくない。

数年前からTwitter就活に関わり、Twitter上で就活相談などを行ってきた人材業界の女性は、「Twitter就活を取り巻く環境は激変している。Twitterだけに頼る就活は危険だ」と注意を呼び掛けている。

就活生「高額なセミナーの誘いばかり」

就活のために専用アカウントを作成する就活生も多い。
撮影:今村拓馬

Twitterで就活情報を収集していた職活中の都内私立大学3年生のシュンスケさん(仮名)も、就活用に新しいアカウントを作成した。

「就活を始めた2020年の4月にアカウントを作り、就活のティップス(コツ、裏技)をつぶやいている匿名の社会人や、同じ2022卒の就活生をフォローしていました。
でもほとんどのアカウントは、『絶対に受かる志望動機』とか、情報商材や高額なセミナーへの勧誘ばかりでした」
つぶやきの中には、「webテスト代行します!」や、「すごくいい情報仕入れたので、聞きたい人いますか?」など怪しい投稿も多く、それに対し何百件ものリプライがあったのも目にした。

シュンスケさんは約3カ月後、Twitter就活のアカウントを閉鎖したという。

「Twitter上ではいくらでも経歴詐称ができるし、信用できなかった。今は部活の先輩から聞く情報が一番有効だと感じています」
2019年秋から一気に広まる

「Twitter就活」を行う大学生が増え、匿名のアカウントでの無責任な投稿も増えたという。
撮影:今村拓馬

そもそもTwitter就活はいつ頃から始まったのか?

「Twitter就活は2020年卒業の就活生が広めた文化で、2019年の秋頃から増えました。
2017年頃は、外資系のコンサルや投資銀行を志望する学生が、匿名で企業情報を探るのが主なTwitter利用で、東大生や早慶生が中心でした。
2019年頃になって、日系の大手企業を志望する学生に利用が広がり、就活用のアカウントを作る学生が急増。怪しいアカウントや、不安をあおるような無責任な投稿も増えてしまいました」
Twitter上で、就活情報の発信や就活生の相談に乗っていた会社員のマリさん(仮名)はそう語る。

マリさんは就職支援を行う企業で、TwitterなどSNSの運用を担当。

マリさんのアカウントには5000人を超えるフォロワーがいたこともあり、Twitter就活が脚光を浴びる前から、就活生に対して、就活でのTwitter利用を呼び掛けてきた立場でもある。

ただ、企業と学生の距離を縮められる一方で、採用担当者が社名を名乗って自由に発言することは、企業にとってリスクでもあるという。

「選考がだめだった時、Twitterでつながっている採用担当を、就活生はどう感じるのか。企業側の対応も課題と言えます」(マリさん)
「元人事」など匿名アカウントが増加

マリさんは「Twitterだけに頼る就活は危険がある」と話す。
shutterstock

Twitter就活が本格化したことで、「元人事」や「採用担当者」など匿名で就活相談に乗るアカウントが増えたという。

「匿名人事アカウントによる過激な投稿が、だんだんと目に付くようになりました。
例えば、学生が投稿した圧迫面接などの愚痴について、匿名の採用担当が『そんなのは当たり前だ』などと、強い言い方で学生を批判したり、あげつらって冷笑したり。その意見が賞賛されて、拡散される。
その人が採用担当かも分からないと理解する学生もいる一方で、本当に人事の意見だと感じ傷ついてしまう就活生もいます」(マリさん)
人事アカウントの中には、就活生に有益な情報を発信するために、あえて匿名を選ぶこともある。Twitter上の就活情報は玉石混交なのが実情だ。

「知り合いの人事の方は、現実に即したアドバイスをするため、就活生から特定されないよう、あえて匿名で発信している人事もいます。企業名を明かしてしまうと、実際受けた学生が『自分のことだ』と思ってしまうからです。
その方は就活を成功させてほしいという思いから、企業の人事担当として有益な情報を発信していました」(マリさん)
情報格差を埋めたTwitter

Twitterは就職活動における情報格差を埋める役割も果たしている。
撮影:今村拓馬

一方で、学生側から見たTwitter就活にももちろん功罪がある。

「企業数が少ない地方の学生にとっては、就活を経験した先輩や、OB・OGが近くにいないということもあります。
情報収集や他の就活生との交流先として、Twitterは特に地方の就活生にとっては、よりどころになったと思っています。情報格差を埋めるという面で、Twitterの果たす役割は大きい」(マリさん)
情報格差を埋められる一方で、その情報の見極めには慎重さがが求められているという。

「Twitter就活に関係している大人は、人によって志やモチベーションがまったく違います。
そこを見極めないと、Twitter上で就活相談をしたことで、逆に深く傷ついてしまうこともあります。
Twitterを唯一のよりどころとするのではなく、いい距離感を保つこと。
例えば大学のキャリアセンターでも解決できることかもしれないし、複数の手段を持って就活に臨んでほしいと思います」(マリさん)
新型コロナでTwitter就活に限界感じる

撮影:今村拓馬

これまで数年間、Twitterでの就活相談に乗ってきたマリさんだったが、新型コロナをきっかけに、アカウントの閉鎖を考えるようになったという。

「就活相談ではこれまでも『選考に落ち続けて死にたい』とか『パニックになり外に出られなくなった』など、追い込まれた就活生からSOSの声が届くこともありました。
コロナ禍の就活生からは、『オンライン面接で何を見られているか分からない』『航空系の企業が採用を中止したが、今後どうしたらいいか』など、私自身、体験したことのない相談も増え、応じることが難しくなってきました」
これまでマリさんは、就活相談に答える時には、自身の就活の経験だけでなく、就活生から意見を聞いたり、採用の現状について取材したりした上で、Twitterを運用してきた。

ただ現状では、十分な準備時間が確保できなくなったこともあり、アカウントの閉鎖を考えているという。

「無責任なアドバイスは絶対にできません。就活相談は、人生を左右することもありますから」
(文・横山耕太郎)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_8bcde9cef7d5_コロナウイルス感染が広がるブラジル…800万人が仕事を失い、就業率は5割を切った 8bcde9cef7d5 8bcde9cef7d5 コロナウイルス感染が広がるブラジル…800万人が仕事を失い、就業率は5割を切った oa-businessinsider

コロナウイルス感染が広がるブラジル…800万人が仕事を失い、就業率は5割を切った

2020年7月10日 15:30 REUTERS/Diego Vara/File Photo

2020年4月24日、ブラジル、リオグランデ・ド・スル州の養鶏場の従業員にCOVID-19が発生した。
REUTERS/Diego Vara/File Photo

・ブラジルの政府機関の報告書によると、ブラジルではコロナウイルスの流行によって780万人が職を失った。
・それによると、職を失った人々の大半(580万人)は、非正規雇用、いわゆるギグエコノミーなどで働いていた。
・就業者は労働人口の49.5%で、これは2012年に統計を取り始めて以来、最悪の数字だ。
・しかし、マッケンジー大学のジョシルマール・コルデノンシ教授は、非正規雇用は賃金が比較的安価であることから、早期に回復する可能性があるとThe Brazilian Reportに語った。
新しい調査報告によると、ブラジルの労働力の半数、780万人がコロナウイルスのパンデミックにより失業している。

ブラジル地理統計研究所(IBGE)の報告書によると、今回失業した人々の大半(580万人)が非正規雇用またはギグエコノミーで働いていたことがわかった。IBGEは、ブラジルの就業者が5月末に労働人口の49.5%にまで減少したと述べている。 これは、2012年に統計が開始されて以来、最悪の数字だ。

CNNによると、IBGEのアナリスト、アドリアナ・ベリンギー(Adriana Beringuy)は報告の中で「これまでになかったことだ」と述べ、働いているのは生産年齢人口の半分以下になったとした。

 彼女は、失業者は他の仕事を得られず、今でも離職したままだと述べた。

失業中の人の大部分は働きたいと思っているが、社会的距離や企業の雇用減などの原因で仕事を見つけるのが難しく、労働市場に加われなかったという。

Brazilian Reportによると、パンデミックの3カ月間で失われた雇用は、ブラジルが3年かけて創出したものだ。

マッケンジー大学の財政学教授のジョシルマール・コルデノンシ(Josilmar Cordenonssi)は、報告書で、ギグエコノミーにおける非正規雇用は他の仕事よりも急速な回復の傾向を見せており、賃金が安価でもあることから、最初に回復する可能性があると述べた。

「非正規従業員を雇ってきた事業主は、需要の増加に応じて従業員を雇う可能性がある」

ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、ブラジルはCOVID-19の症例数が160万件以上、死者数が6万6000人以上で、ともに世界で2番目に多い。

[原文:More than half of Brazil's working population is not working, and nearly 8 million jobs have been lost due to the pandemic]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_81ce04d7f520_ニューヨーク州は無料で希望者全員に1日6万6000人検査。経済活動続けるなら検査拡充がカギ 81ce04d7f520 81ce04d7f520 ニューヨーク州は無料で希望者全員に1日6万6000人検査。経済活動続けるなら検査拡充がカギ oa-businessinsider

ニューヨーク州は無料で希望者全員に1日6万6000人検査。経済活動続けるなら検査拡充がカギ

「新型コロナ対策についての決定は、感情や政治的なイデオロギーではなく、事実とデータに基づいて下す」と会見で語ったニューヨーク州のクオモ知事(5月7日、ニューヨークのニュース専門局NY1の中継より)

「過去に時間を戻せるなら、おそらくバーの営業再開を遅らせただろう」

南部テキサス州のグレッグ・アボット州知事(共和党)は6月26日、バーの営業停止とレストランの入店制限強化を命じた。新規感染者と入院者の数が過去最悪を更新したためだ。アボット知事が5月下旬に専門家の懸念を一蹴して始めた経済再開は、逆戻りの道をたどる。

アメリカでは現在、30州超で新規感染者数が急増し、全米の1日の感染者数は7月9日(米東部時間)で6万4000件と過去最悪の水準となった。米疾病対策センター(CDC)によると、4月に一度達したピーク時の60%増に迫る勢いだ。

一方、一時は新型コロナの爆発的感染の地となったニューヨーク州は、経済活動再開への道を着実に進んでいる。その後ろ盾が、1日に約6万6000件実施しているPCR・抗体セットとなった検査体制だ。検査によるエリアごとの感染率は、4段階と定めた経済活動再開について、どのエリアがどのタイミングで次の段階に進むのかという指標となっている。

Google Mapに最寄りの検査可能場所を表示
筆者は6月26日、ニューヨーク市ブルックリンにある「CityMD」というチェーンのクリニックで検査を受けた。展開するチェーンの全てで無料検査を提供している。

筆者は6月26日、チェーン展開しているクリニック「CITYMID」にて検査を受けた。
CITYMDホームページより

予約なしの検査が受けられるのはクリニックや病院、教育、薬局、ドライブスルーの駐車場など無数にある。受けられる場所は、市役所のウェブサイトで自分の住所を入力して検索できる。Google Mapとも提携し、出先で「コロナ検査」と打ち込むと最寄りの検査施設が表示される。

朝一番に並んで炎天下で待つこと3時間20分。ソーシャルディスタンスを保ちながら、長い列が少しずつ進む。高齢者や子ども連れのヒスパニック系家族は、折りたたみ椅子を街路樹の影に置いて家族を待たせ、父親だけが列で順番を待っていた。

一度に待合室に入れるのは、7人だけ。入ると、タッチパネル式端末に名前、住所、電話番号、メールアドレス、人種、出身国籍などを入力し、身分証明書を見せる。

その後5分で、看護師助手が診察室に案内し、血圧と体温を測りながら、検査の説明をする。

「今日はCOVID-19の検査で来たんですね」

「はい、症状はないので抗体検査を希望します」

「ニューヨーク州は、PCRと抗体検査双方をお勧めしています。双方で3分しかかかりません。ではドクターを呼びます」

看護師助手と入れ替わりに黄色いガウンの医療用防護具(PPE)に覆われた医師が来て、最初に血液を取る抗体検査、次に長いスワブという棒を両方の鼻孔に入れるPCR検査を手早くこなした。このクリニックだけで毎日100〜150人を検査しているという。これは、東京都世田谷区の155件(7月6日、PCRのみ、世田谷区役所による)と同じ程度だ。

「結果は、3〜5営業日でメールとショートメッセージに届きます」と医師。そのまま、外に出された。屋内にいる人数を一定に保つためだ。

毎日のようにニューヨーク市から送られてくるショートメッセージ。「ニューヨーク市からのお知らせ:今日、新型コロナのテストを受けましょう。無料で個人情報の保護は保証、ご近所で受けられる場所は以下です」
撮影:津山恵子

7月5日、ショートメッセージに結果が来た。

「こちらのリンクに行って、電話番号で結果をチェックできます」

結果は、PCR検査で「検知せず」、抗体検査で「陰性」。土日を合わせると9日間待ち、やきもきしたが営業日という意味では5日で通知があった。

希望すれば何度も無料で受けられる
もし陰性だった場合、再び検査を受けられるのか。

自営業ジョシュ・ケイス氏は何度か熱っぽく感じ、喉の痛みがあったため、2回検査に行ったが、2回とも「検出せず」「陰性」だった。自分の体調が優れず心配な時、感染者と接触した可能性があると感じた時、希望すればいつでも検査を気軽に受けられる。しかもこれは医療保険に加入していなくても、不法滞在でも受けられる無料行政サービスなのだ。

さらに市役所サイトでは、以下の場合「再検査を受けなければならない」と案内している。

・新型コロナウイルスに触れた恐れがある場合
・人混みに行った場合
・陽性か陽性の可能性がある人に接触した場合
・症状がある場合(注:症状は別欄で指示されている)
・高齢者施設、シェルターで働いているか、あるいは新型コロナに感染したら重症になる可能性がある人を訪問する予定がある場合
「経済再開を決定するのは数学だ」

REUTERS/Cooper Neill

ニューヨーク州とニューヨーク市が、検査体制をここまで拡充した経緯をたどってみる。

4月19日 ニューヨーク州のクオモ知事が、ニューヨーク州で感染ピークを越えたという判断から「経済活動を再開させるという計画はどんなものであれ、データに基づかなければならない。それは、検査に基づくデータを意味する」と表明。「何人が実際に感染し、何人が感染したものの自然治癒したのかこれまでは分からなかった。それは大規模な検査ができなかったためで、ニューヨークは抗体検査を実施することで、新たな出発をする」と、大規模な検査体制を整備することを発表した。

4月23日 クオモ知事が、無作為に選んだ州内約3000人のスーパーマーケット従業員を対象にした最初の抗体検査結果を発表し、13.9%が陽性だったことを明かした。ニューヨーク市で21.2%に上ったが、地方では3.6%にとどまった。人種別に、黒人とヒスパニック系で陽性率が高いため、彼らを対象に教会など宗教施設を検査施設にする計画を発表。クオモ知事は米食品医薬品局がこの抗体検査結果を「今の瞬間を切り取った最初で現実のデータ」と認めたとし、抗体検査を拡大する姿勢を示した。

4月25日 クオモ知事が、「検査は経済再開のための鍵となる要素」とし、州内5000の薬局でPCR検査をできるようにする行政命令に署名。PCR・抗体検査能力を1日2万件にすると発表。

5月17日 クオモ知事が、検査施設にドラッグストア・チェーンCVSなどを加え、検査能力を1日4万件に増やすと発表。生中継の会見中に、鼻孔にスワブを入れる検査を実際に受ける様子を披露。

5月18日 クオモ知事が、経済再開のフェーズを決める基準を発表。

・病院の一般病棟の病床が30%空いていること
・病院の集中治療室(ICU)の病床が30%空いていること
・住民1000人当たり、月に30人が検査を受けていること
・住民10万人当たり、30人の陽性者追跡専門家がいること
・平均感染者数(Rt、1人の感染者から生まれた感染者数)が、1.1より小さいこと
「経済再開は、誰かの意見で決めるものではない。政治的意見でもなく、個人的意見でもなく、理想でもなく、地理でもない。決定するのは数学だ」と強調した。Rtは、検査のサンプルが少ないほど誤差が大きくなり、実態が把握しにくくなる。

まとめると、ニューヨーク州が躍起になって検査を実施しているのは、以下の理由だ。

・「感染を抑えるのに必要なのは、コミュニティーにどれほどの感染者がいるのか把握することです。それができるのは、広範囲な検査しかありません」(アンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所)というように、検査数が多く、平均感染者数が1.1より小さければ、「感染を抑制している」証拠になる
・検査によって、陽性者が分かれば、追跡・隔離ができて、無症状の人による不特定多数への感染を予防できる
・Rtをより正確に把握し、経済活動再開が感染拡大につながらないバランスを見極める
感染者急増の州では検査数が伸びていない
トランプ大統領は、現在の感染拡大についてこう語った。

「正直、検査をすればするほど、感染者が見つかる」(6月24日、CBNニュース)

しかし実際は、政治ニュース専門サイト「Axios」によると、感染拡大に襲われている多くの州で、検査が追いついていない状況が浮かび上がる。

例えば、南部フロリダ州で新規感染者数(6月23〜30日)の増加率は、1カ月前に比べ109%なのに対し、検査数の伸びは69%増に止まった。南部テネシー州も、新規感染者数が61%増に対し、検査数は32%増だ。

ニューヨーク州やワシントンDCなど感染拡大を抑え込んでいる州以外では急速に感染が拡大し、トランプ大統領の支持率低下にもつながっている。トランプ政権は7月7日、問題となっている南部のルイジアナ、テキサス、フロリダ州の大都市で検査数を急増させると発表した。

小池百合子都知事もPCR検査数が増えれば陽性者も増えると説明しているが、辻守哉・コロンビア大医学部感染症内科学教授は、こう指摘する。

「日本では未だに検査数が少なく、なぜもっとアグレッシブに検査を奨励しないのか、全く不思議です」

(文・津山恵子)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_6f5ff8ec06fd_米ウォルマートのサブスク「ウォルマート+」がまもなく開始…食料品即日配送でAmazonプライムに対抗 6f5ff8ec06fd 6f5ff8ec06fd 米ウォルマートのサブスク「ウォルマート+」がまもなく開始…食料品即日配送でAmazonプライムに対抗 oa-businessinsider

米ウォルマートのサブスク「ウォルマート+」がまもなく開始…食料品即日配送でAmazonプライムに対抗

Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

・ウォルマートは新サービス「ウォルマート+」を開始するという。それはAmazonプライムに対する同社の回答だ。
・Recodeは、春には開始する予定がコロナウイルスのパンデミックで遅れ、7月後半に稼働することになったと報じた。
・ウォルマートの広報担当者は、ウォルマート+に関するさらなるコメントを拒否した。
ウォルマート(Walmart)が、Amazonプライムへの対抗策を7月中に発表すると報じられた。これは、Eコマースを支配するライバルに追いつくための同社の最新の試みだ。

ジェイソン・デル・レイ(Jason Del Ray)はRecodeに、ウォルマートが春に開始する予定だったがコロナウイルスの大流行のために遅れ、7月に始めることになったサービスの詳細については「はっきりしない」と書いた。この年98ドルのサブスクリプションサービスの特典には、ガソリンの値引き、会員限定の特典、食料品などの即時配達が含まれる可能性がある。

ウォルマートの広報担当者はBusiness Insiderに対し、ウォルマート+についてのさらなるコメントを拒否した。2月、ウォルマートの広報担当者はBusiness Insiderに、ウォルマート+と呼ばれる新しい会員制プログラムの作成に取り組んでいることを認めていた。

報じられているウォルマート+の立ち上げ時期は、eコマースとオンラインフルフィルメントがコロナウイルスを警戒している買い物客にとって重要な時だ。Recodeによると、ウォルマート+のセールスポイントの1つは、加入者にパンデミックで消費者にとってますます重要になっている食料品の配達の優先枠を与えることだという。

今回のサービス開始は、ウォルマートが配送の優位性と消費者の忠誠心を獲得するための戦いに本気であることの表れでもある。The Motley Foolは6月、eMarketerの調査によると米国のオンライン売上シェアでWalmartがeBayを上回ったと報じた。

ウォルマート+は、アマゾンの 「Amazonプライム」 に対抗できるようなサービスを提供する新たな機会となる。

[原文:Walmart's Amazon Prime rival is reportedly set to launch this month]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_1fe7c481efd3_ふわふわした羽毛のような銀河…NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影 1fe7c481efd3 1fe7c481efd3 ふわふわした羽毛のような銀河…NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影 oa-businessinsider

2020年7月2日、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた銀河NGC 2275。
ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team; Acknowledgment: Judy Schmidt (Geckzilla)

・NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、6700万光年の距離にある、ふわふわした羽毛のような腕を持つ銀河を撮影した。
・ずっと昔にガスを使い切ってしまったため、この銀河の中心部は静かだ。
・ハッブル宇宙望遠鏡の後を継ぐ2つのNASAの望遠鏡は、我々の銀河やその先の宇宙を、これまでにないほど詳細に捉えるだろう。
NASAの最も強力な宇宙望遠鏡「ハッブル」は、7月2日に公開された写真の中で、絵のように美しい銀河を捉えていた。

NGC 2775と呼ばれるこの銀河は、我々から6700万光年の距離に位置していて、今はもうそれほど星を形成していないようだ。天文学者は、銀河の中心部に比較的空っぽで透明な膨らみがあることから、そう判断している。この銀河が若かった頃には、銀河の中央部はガスが凝縮して新しい星を形成し、活発に活動していたと考えらる。しかし、今では、そのガスをすべて使い切ってしまったようだ。

銀河の周囲を回転している「腕」には、暗い線状の塵やガス雲が渦巻いて、「ふわふわ」とした羽毛のように見える。塵の中では、数多くの若い星が鮮やかな青色に輝いている。

対照的に、我々の天の川銀河を含む他の渦巻き銀河は、星やガスが圧縮されてはっきりとした「腕」がある。

我々の天の川銀河は、太い棒状の中心部に2つの主要な腕と2つの小さな腕が付いていると考えられている。
NASA/JPL-Caltech

ハッブルはNASA最強の望遠鏡だが、まもなく後継機が打ち上げられる
NASAは1990年4月にハッブル宇宙望遠鏡を打ち上げた。それ以来、ハッブル望遠鏡は新しい惑星を発見し、奇妙な銀河を明らかにし、ブラックホールの性質に関する新しい洞察を提供してきた。 また、科学者が想像したよりも速く宇宙が膨張していることも教えてくれた。

軌道上にあるハッブル宇宙望遠鏡。
NASA/ESA

今後の宇宙望遠鏡は、ハッブルよりもさらに印象的な写真を撮影することができるかもしれない。そのような望遠鏡の一つ、NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、過去のどの望遠鏡よりも高度な赤外線カメラを使用して銀河系を撮影する。

「ウェッブからの画像は、これまでに撮影された銀河の中心部の画像の中で最高品質のものになるだろう」と、JWSTの撮影ツールの開発に携わった天文学者のローランド・ファン・デル・マレル(Roeland van der Marel)は、2019年のプレスリリースで述べている。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡。
NASA/Chris Gunn

このような画像は、我々の銀河系がどのように形成され、時間とともにどのように進化していくのかという、科学者たちの最大の疑問に答えるのに役立つだろう。

この望遠鏡は組み立てが完了し、2021年3月30日の打ち上げ日までカリフォルニアにあるノースロップ・グラマン社の施設でテストが行われている。

さらに、ハッブル宇宙望遠鏡プロジェクトの実現に貢献した女性科学者にちなんで名付けられたナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡の100倍の能力がある。2020年代半ばに打ち上げられた後、数千個の新しい太陽系外惑星を撮影し、宇宙の68%を占めて膨張を推進する謎の力であるダークエネルギーの性質を探ることが期待されている。

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(WFIRST)とハッブル宇宙望遠鏡(Hubble)の視野の比較。
NASA

ローマン宇宙望遠鏡は5年の運用期間に、約2600個の新しい惑星を発見し、それらを撮影することを期待して、10億個の銀河からの光を測定し、天の川の内側を調査する。それは、アインシュタインの一般相対性理論の検証にも役立つだろう。

[原文:NASA's powerful Hubble space telescope has beamed back a striking photo of a 'fluffy' galaxy with a ghostly, empty center]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_81f7b4a80b14_iPadOS 14 パブリックベータ版で見えた「iPadの新たな立ち位置」 81f7b4a80b14 81f7b4a80b14 iPadOS 14 パブリックベータ版で見えた「iPadの新たな立ち位置」 oa-businessinsider

iPadOS 14 パブリックベータ版で見えた「iPadの新たな立ち位置」

iPadOS 14 パブリックベータ版。筆者の普段の利用環境に近くなるよう、アプリやデータを揃えてテストしている。
出典:アップル

WWDC 2020 (日本時間6月23日)で発表されたアップルの新OSのうち、「iOS 14」と「iPadOS 14」のパブリックベータ版が公開された。

パブリックベータ版は「誰もが使える開発途上版」といったところ。深刻な不具合などが存在する可能性もあるので、日常的に使っている機器に入れることは一切オススメしない。

だが、新機能がどうなるかは誰もが興味を持つところ。そこで、筆者が変更点を解説してみたいと思う。これをみて、秋の正式公開まで想像を膨らませていただければ幸いだ。なお、今回は取材に基づく特別な許可のもと、画像を利用している。

iPadOS は、2019年発表の「iPadOS 13」が非常に大きなアップデートだったこともあり、単に機能だけを見るとシンプルな変化に見える。実際、後述するペンでの手書き文字入力に関わる部分が、ほとんど「日本語で使えない」ため、魅力が弱くなっている。

とはいうものの、確実に快適になっていることに違いはない。特により「Mac的」になった。といっても、Macそのものになったのとは違うのが絶妙なところなのだが。

その1:やはり分かりやすい「Apple Pencil」の進化

iPadOS 14の「スクリブル」機能。
出典:アップル

技術的に一番驚きがあるのは、やはりApple Pencilによる「手書き」の評価だ。そもそも現状、iPhone・Macに対するiPadのアイデンティティは「ペン」になってきているので、ここを強化するのは当然でもある。

これまでのApple Pencilは、どちらかというとイラストを描くアーティストなどに注目されている部分があったが、今回はより一般的な作業での「手描き」でなく「手書き」に着目している。

例えば「スクリブル」。簡単に言えば、iPad内にあるあらゆる「入力欄」に、直接手書きで文字を入れられるようになる。

これは動作中の動画を見るのが一番わかりやすいだろう。認識は非常に素早く、かなり正確に入力されている。入力欄に入らないとだめ、というわけでなく、多少はみ出しても問題ない。

ブラウザーで検索キーワードの入力に使ってもいいし、ファイル名の入力に使ってもいい。もちろん、同じ認識エンジンは「メモ」などでも使えるので、普通の手描き文字入力もできる。

しかしこれらの機能、残念ながら日本語には対応していない。これで日本語版入力ができていたら最高なのだが。

ただ、「日本語をペンで書く」上で何も進化がなかったか、というとそうではない。

「線」として描いた文字が一文字単位で選択できて、移動・編集などが可能になっている点に注目。選択は主に指で行う。
出典:アップル

iPadOS 14では「スマートセレクト」という機能が搭載された。文字を書く場合、文字を「認識」させる方法もあるが、描線=絵のまま残す場合もある。後者のときに有効な機能だ。

手書きの線による文字は、人間は文字と認識していても機械はそうとは限らない。なので、書いた後に並べ直すのが意外と面倒だった。

しかしスマートセレクトでは、描線を機械学習で分析し、「文字の意味は認識していないが、描線のどこからどこまでが1文字なのかは判別する」ことをしている。だから、「線で描いた文字を、一文字単位で選択して編集」できるのである。

画像でもお分かりのように、これは日本語でも使える。

また、電話番号のように言語にあまり依存しないものは、ちゃんと「電話番号である」「メールアドレスである」と認識する機能もある。なので、書き終わってから指でタップすると、新規メールの作成画面やメッセージの作成画面がでてくる。これは、デスクサイドのメモとして非常に強力な機能で、むしろiPadでなくiPhoneに欲しい機能だとも思う。

その2:「サーチ」から見える「キーボード+タッチパッド強化」の流れ

今までと同じように「ホーム画面」に戻って検索もできるが、外付けキーボードとセットで使うともっと便利になる。
出典:アップル

今回の進化の中で「ああ、Macっぽくなったな」と強く思った部分が「サーチ」の機能だ。以前からiOS/iPadOSには「サーチ」機能がある。しかし、意外と使っていないのではないだろうか。機能が中途半端だったからだ。

だが、今回のiPadOSのサーチはより実用的になった。iPadがどんな状態にあってもすぐに起動して使えて、各種検索が使える。特に使いやすいのは外部キーボードとセットで使った時だ。「cmd」+「スペース」でどこでもポップアップして現れ、そこにキーをタイプすると、すぐ結果が表示される。

どんなアプリを使っているときでも「cmd」+「スペース」で呼び出し。検索だけでなく「アプリの起動」もOK。
出典:アップル

ネット検索はわかりやすいところだが、「メモ」などだと内容も検索対象になるし、AppStoreにあるアプリも見つかる。そして、「iPadの中にあるアプリ」も見つかるのがいい。

そうすると、仕事をしつつ別のアプリを起動する際、キーボードから指を動かさず、アプリのアイコンの位置を探すこともなく、素早く起動ができるわけだ。

こういう使い方は、Macでは「Spotlight」として実装されていた機能に近い。iPadOSに名前が変わって以降、iOSとiPadOSは明確に違った存在になり、iPadOSはむしろ「キーボードとタッチパッドを備えたMac」の使い勝手を取り込んでいる。サーチの強化もその一環だろう。

サーチと関係はないが、「Macに近づく」という意味では、ブラウザーの「Safari」がさらにMac版と共通性が高まってきている点も大きい。もはやレイアウトや動作速度での差もほとんどない。

iPadOS 13では、なぜか「ブラウザー経由で複数のファイルを選択して一度にアップロードする」ということができなかったのだが、iPadOS 14では改善している。この辺は、業務用ウェブサービスなどで地味に苦労する部分だったのでプラスの改善と言える。

コピペをするとこのような表示が。セキュリティーだけでなく、作業の間違い防止にもいい。
出典:アップル

細かい点をもう1つ挙げておこう。今回よりiOSでもiPadOSでも「あるアプリから別のアプリへ情報をコピー&ペースト」するときには、以下のような表示が出るようになった。

これは「アプリが情報を盗まないように」というセキュリティー対策のために作られた部分があるが、ことiPadOSでは、使い勝手の向上にもつながっている。

アプリを複数並行して使い、データをそれぞれからコピーしてきて1つの文書にまとめる……といった作業をしていると、「どのアプリからどのアプリへ貼り付けるべきなのか」を勘違いすることがある。機械的に作業をしていると、この勘違いに気づきにくいときがある。だが「どのアプリからどのアプリへペーストされた」という表示があれば、自分がやっていることを確認しつつ作業できるので安心だ。

その3:ウィジェットはあるけれど……

iOS 14とiPadOS 14の画面。「ウィジェット」の扱いの違いが大きいことがわかる。
出典:アップル

見た目的な変化で言えば、左側に現れた「ウィジェット」が目立つ。iPadOSでは、現行バージョンである「13」から導入されていたものだが、iOSでは次の「14」から導入され、同時にiPadOSの側も強化が進んでいる。

とは言え、iOS 14のウィジェットの扱いと、iPadOS 14のウィジェットの扱いでは、iOS 14の方が「派手」だ。iOSの方はホーム画面の好きな場所にウィジェットを置けるようになり、UIの印象が大きく変わってしまった感があるのだが、iPadOSの場合には、13の時と同じく「一番左側」に表示されるだけで、好きなところに置ける訳ではない。

ウィジェットはアプリの一部が切り出されているような構造になっているので、今はOS標準のものくらいしかない。iPadOS 13までのウィジェットも表示はできるが、位置やサイズの変更、スタック表示などに対応していない。

情報をパッと見せるにはいい機能なのだが、「作業する機器」「コンテンツを見る機器」としての役割が大きいiPadだと、画面をウィジェットが覆い続けるのはちょっと違う、ということなのかもしれない。

(文・西田宗千佳)


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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_16e680e80b4c_「もう証券投資は儲からない」企業の現預金200兆円超はどこに向かうのか? 16e680e80b4c 16e680e80b4c 「もう証券投資は儲からない」企業の現預金200兆円超はどこに向かうのか? oa-businessinsider

「もう証券投資は儲からない」企業の現預金200兆円超はどこに向かうのか?

世界最速ペースで少子高齢化が進み、国内市場がシュリンクする日本。海外企業の買収など直接投資は今後どう変化していくのか。
Clive Rose/Getty Images

前回の寄稿では、日本が抱える巨額の対外純資産の構造が、過去20年の間に大きく変わったことを指摘し、それがコロナショックのもとで「リスクオフの円買い」を阻む一因になっていると論じた。

対外純資産の構造変化を具体的にみると、その内訳に着目したとき、2000~2010年の平均では、証券投資が41.6%、直接投資は18.0%と、圧倒的に証券投資が大きかった。ところが、2011~19年の平均では、証券投資は32.8%、直接投資は35.8%と両者の比率が逆転している。

直接投資とは、日本企業による海外企業買収もしくはクロスボーダーM&A(国際間での企業合併・買収)を指す。

2019年末時点では、直接投資が46.4%と過去最高を記録する一方、証券投資は29.3%にとどまっている。

リスク回避ムードが強まったとき、「外国債券(外貨)を手放して、円建て資産に戻す」という動きはあっても、「(直接投資で)買収した外国企業を手放して、円建て資産に戻す」という動きは想像しにくい。「リスクオフの円買い」が弱まったのはそうした変化の影響と考えられる。

さて、そうやって増加を続けてきた直接投資だが、今後も増え続けるのだろうか。

コロナショックを経て懸念されるのは、ここまで行われてきた直接投資が国内に回帰する(=買収した海外企業の一部ないし全部を手放す)可能性、それに加えて新たな直接投資が行われなくなる可能性だ。

対外直接投資残高は20年間で6倍以上に

Toru Hanai/Getty Images

一般的に、直接投資は以下の2種類に大別される。

・投資先国に新たな単独法人や合併法人、子会社などを設立する形態(グリーンフィールド投資)
・投資先国企業の買収や株式取得・交換を通じた提携を行うもの(M&A投資)
近年のトレンドをけん引しているのは2.の海外企業買収の動きだ。

「世界最速ペースで進む少子高齢化」という構造的要因が、日本企業の海外企業買収への意欲をけん引してきたとみていいだろう。

人口が減少すれば、企業が収益をあげるべき市場そのものが縮小する。だからこそ、違う国に投資をして「市場を買う」、もしくは海外企業を買収することで「時間を買う」わけだ。

そうした構造的要因の帰結だとすれば、直接投資の増加基調はすぐには変わりようがない、というのが自然な見方ではないか。

数字で確認しておくと、対外直接投資残高は2000年末の約32兆円から、2019年末の約203兆円へと、6倍以上にふくらんでいる。対内直接投資残高とネットアウト(差し引き)してみても、2000年末の約26兆円から2019年末の約169兆円へと、やはり6倍以上にふくらんでいる。

ここまで積み上がった直接投資残高が取り崩されるとしたら、円高要因として確かに脅威といえる。

実際、コロナショックを受けて、これまで実施した対外直接投資を解消して現金化しようという日本の大手企業の動きも報じられている。

現金化された直接投資の全部もしくは一部がどれほど円貨として国内回帰してくるのかはわからないため、為替への影響は未知数だが、どちらかと言えば円高材料であることは確かだろう。

もう証券投資は儲からない
筆者は今後も直接投資の増勢は続くのではないかと考えている。

前節で直接投資が増えてきた要因に言及したが、煎じ詰めれば「直接投資がいちばん儲かる(見込みがある)」から増えてきた、と言い換えられるだろう。

国際収支統計から試算した直接投資と証券投資の収益率格差(直接投資-証券投資)をみると、やはり2000年以降、直接投資の収益率が証券投資のそれに肉薄し、2000年代半ばには明確に逆転、2010年以降にその格差が拡大していったことがわかる【図表1】。

【図表1】直接投資と証券投資の収益率格差 (直接投資-証券投資)。
出典:INDB資料より筆者作成

そう考えると、日本の対外純資産の主体が、対外証券投資から対外直接投資に切り替わってきたのは、シンプルに「そのほうが儲かるから」という判断があったと理解していいのではないか。

一方の現実として、「コロナショックはグローバル化を巻き戻すきっかけになる」との見方も出始めており、これまでのように毎年毎年、巨額の直接投資案件が飛び出してくるような状況はさすがに続かないかもしれない。

また、新型コロナの収束状況によっては、自社の財務状況を懸念する意図から、これまで実施した直接投資を取り崩す動きが出てくる可能性も否めない。

さらに、コロナショックに対応するために各国政府がなりふり構わない対応策を打ち込んだ結果、金利は世界的にいちだんと低下し、証券投資の妙味はさらに薄れている。

また、前節のくり返しにはなるが、日本の市場が少子高齢化によって縮小していく未来が確実にみえている以上、日本企業の戦略として、やはり国内での雇用や設備投資より直接投資に活路を見出していく路線は大きく変わり得ないように思える。

【図表2】直接投資収益率の比較 (過去10年平均、10~19年)。
出典:日本銀行資料より筆者作成

上の【図表2】に示したように、国・地域別にみると、中国やASEANなどアジアにおける収益率が欧米よりも高いという現実が、直近10年間の傾向としてある。

その上で、コロナショックが欧米を中心に大きな犠牲を出したことを踏まえれば、「アジアを中心に直接投資を伸ばし、収益の上積みを狙う」という従前の戦略は、日本企業にとってこれからも魅力的な選択肢として残るのではないか。

日本企業の待機資金は依然として豊富
もちろん、直接投資が今後も実行され続けるためには、相応の余裕資金が必要だ。

その点、日本企業の待機資金(内部留保)が豊富なことは、批判的な意味合いを込めつつ、ことあるごとに指摘されてきた。

依然として日本企業の抱える現預金は過去最高水準にあり【図表3】、海外投資を制約するような財務環境にはないように見受けられる。

【図表3】日本企業(金融保険業除く全規模・全産業)の現預金。
出典:財務省資料より筆者作成

財務省「法人企業統計」によれば、日本企業の現預金は約206兆円(2020年3月末時点)で過去最高を更新している。

だからといって、今後も直接投資の増加基調を維持できるとは断言できない。程度の差こそあれ、コロナショックを経て各社の財務環境は相当傷んでいると予想され、当面の間は大きな対外投資は期待できないと考えるのが自然だ。

感染拡大の第二波、第三波の到来を警戒する声は多く、何もかもが不透明な足もとの状況を考えれば、少なくとも、大きな対外投資に打って出ようという企業は当面、その意欲を抑えることになるだろう。

ただ、体力に余裕があり、判断の早い企業にとっては、アフターコロナは海外企業の買収をしかける好機とも映るのではないか。

いずれにしても、「過去20年間で積み上がった直接投資が巻き戻され、円高圧力が増大する」「もう直接投資が出てくることはなく、そのため円安圧力は和らぐ(円高圧力が増大する」といった展開に至る可能性は、すでに指摘した少子高齢化をはじめとする日本の構造的問題を考えれば考えるほど、大きなものではないように思えてくる。

また、日本固有の要因に加え、アフターコロナの世界でマクロ経済全体のパイが小さくなってくるのだとすれば、そこで戦える企業の数もしぼられてくるだろう。そうした市場の変化に合わせて、よりいっそうの合従連衡が必要とされるようになる可能性もある。海外企業の買収や合併は、そんな時流に合わせて増勢を維持することになるかもしれない。

※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。

(文・唐鎌大輔)


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リモートワークはここまでリアルに近づく ── マイクロソフト「Teams」大幅アップデートを発表

マイクロソフトはコラボレーションツール「Teams」のビデオ会議に関する大幅なアップデートを発表した。
出典:マイクロソフト

マイクロソフトは7月8日(現地時間)、チャットやビデオ会議が可能なコラボレーションツール「Microsoft Teams」の新機能「Togetherモード」を発表した。ビデオ会議の参加者をまるで同じ場所にいるかのように表示できるもので、従来のビデオ会議の体験を大きく変える斬新な機能だ。

Teamsは6月、これまで9人までだったビデオ会議参加者の同時画面表示数を49人まで拡大すると発表。今回新たに発表された「Togetherモード」では、その参加者をビデオ会議でおなじみの分割表示ではなく、1つの画面上に合成できる。

その見た目はあたかも、参加者全員が同じ階段状の教室に並んで座っているかのよう。参加者が増えると自動的に席も増えるしくみだ。

Togeherモードは“共感”を得るために生まれた

あたかも同じ空間で会議をしているように見える「Togetherモード」。
出典:マイクロソフト

開発を手がけたのは、マイクロソフトのOffice of the CTOのメンバーで著名なコンピューター・サイエンティストでもあるジャロン・ラニアー氏。ミュージシャンとしての顔も持つラニアー氏は、アメリカのお笑い番組でコメディアンと共演している。

コロナ禍で観客の前に立ってリアクションを得られなくなった共演者のため、ビデオ会議ツールを使ってバーチャルな観客を集める仕組みを模索。同じ画面上に人を集を合成して表示するプロトタイプを作成したところ、この表示方法によって「ビデオ会議のパフォーマンスを高められることに気づいた」という。

Togetherモードを使った際(写真左)と従来のグリッドビュー(右)を使った際の脳の様子。
出典:マイクロソフト

マイクロソフトが行った調査で、「通常の分割表示よりもTogetherモードを使用した方が、リラックスしていて、脳の疲労も少ないとの結果を得た」とラニアー氏。

また、Togetherモード利用者の行動を観察したところ「他の人にもっと注意を払う、自発的にカメラをオンにする」といった変化が見られたとのこと。ほかに「会議の内容、発言内容、大きな会議に誰が出席していたかを思い出すことができる」といった効果もあったという。

技術的には単純、でもストレスの軽減につながる

マイクロソフトのOffice of the CTOのメンバーで著名なコンピューター・サイエンティストでもあるジャロン・ラニアー氏(写真下段中央)。
出典:マイクロソフト

筆者も実際に体験したが、確かにTogetherモードでは大人数の会議であっても、自分が参加者の一員であることをより強く実感できた。

全員がどのような表情をしているかがわかりやすく、タイムラグがあることに変わりないものの、ビデオ会議では難しい「空気を読む」ことへのハードルも低くなるように感じた。会話を差し挟むタイミングも、はかりやすくなるだろう。

また、同じ空間に身を置くことで、ビデオ会議で目線が合わない気持ち悪さも緩和される。何より他の参加者との一体感もあり、テレワークでよく言われるエンゲージメントの問題にも効果がありそうだ。

Togetherモードで、オンライン授業もリアルの教室に近くなる。
出典:マイクロソフト

「技術的には単純に背景を消して、椅子のある場所に配置しているだけ。とてもシンプルで難しいことは何もしていない」とラニアー氏。その一方で全員を1つの空間に配置することで、「グループ全体で何が起こっているのか、どのようにお互いが関係しているのか認識することができる」など、脳の認知や、潜在意識に与える影響は大きいと話す。

コロナ禍にいち早くプレビューした機能であり、席が選べない、名前を表示できない、プレゼンテーションの画面を表示するのに最適化されていないなど、まだできないことも多いが「まずはぜひ試してみてほしい」とラニアー氏。「Togetherモードがビデオ会議のストレスを、軽減するのに役立つかどうか、自身で確認してほしいと思います」と語った。

テレワークのニーズに合わせて、ツールも進化

49名もの参加者を同時に表示できる「Large gallery view」。
出典:マイクロソフト

なお、「Microsoft Teams」ではTogetherモードのほかの新機能についても、ブログで発表している。日本語対応については未定だが、発言者ごとの自動字幕や、自動議事録作成機能なども追加される。

・共有コンテンツ発表者を並べるなどAIで表示方法を最適化する「Dynamic view」
・同時に49人を表示できる「Large gallery view」(8月に実装予定)
・参加者を小グループに分割できる「Virtual breakout rooms」
・明るさやフォーカスを和らげるなど自分の容姿をカスタムできる「Video filters」
このコロナ禍で、テレワークなどさまざまな新しい働き方を実践している企業や個人が多い。それに伴い、マイクロソフトだけではなく、グーグルやZoom、Slackなどのテック企業がコミュニケーションツールのアップデートを頻繁に続けている。

マイクロソフトは非常に実験的な機能を追加してきたが、他社もどのように追随してくるかも注目だ。

(文・太田百合子)


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cat_oa-businessinsider_issue_23931e2ec21d oa-businessinsider_0_244e2d8524d9_中国「戦狼外交」を槍玉に盛り上がる反中勢力の誤解。日本やインドと関係悪化は望んでいない 244e2d8524d9 244e2d8524d9 中国「戦狼外交」を槍玉に盛り上がる反中勢力の誤解。日本やインドと関係悪化は望んでいない oa-businessinsider

中国「戦狼外交」を槍玉に盛り上がる反中勢力の誤解。日本やインドと関係悪化は望んでいない

インドでは国境付近での衝突をきっかけに反中国活動が盛り上がっている(2020年6月17日)。
REUTERS/Amit Dave

香港への国家安全法導入から中印国境紛争、尖閣諸島(中国名、釣魚島)での中国公船の活動まで、居丈高な中国外交を意味する「戦狼外交」から、中国の意図を説明する言説が流行している。

しかし中国は、米中対立の文脈から日本とインドとの関係を重視しており、「戦狼外交」とみるのは完全なミスリードだ。

「戦狼外交」は、もちろん中国当局が自称しているわけではない。中国軍の特殊部隊の活動を描いた中国アクション映画「戦狼」(Wolf Warrior)がその由来。習近平政権登場(2012年)以来の中国の「高圧的な外交」の形容詞としてすっかり定着した感がある。

例えば、英経済紙「フィナンシャルタイムズ」のコメンテーター、ギデオン・ラックマン氏は、「中国政府は、香港から台湾、南シナ海、インドとの国境に至るまで、次々と攻撃的な政策を取っている」(6月19日付「日本経済新聞」)と書く。

しかし中国から見れば、香港、台湾は内政問題であり、欧米の批判や報復は「内政干渉」に当たる。中国は米中対立の長期化で、「南」はインド、「東」は日本と韓国、「北」はロシアという「周辺諸国」との関係を戦略的に重視しており、これら周辺国とは良好な関係を維持したいのが本音だ。

インドとの衝突は意図的ではない

中印国境に位置するガルワン渓谷で6月15日、中国とインドの両軍が衝突。1965年以来45年ぶりに双方に死者が出た(2020年6月17日、インド北部の検問所)。
REUTERS/Danish Ismail

まず中印関係。インド北部と中国西部との国境に位置するガルワン渓谷で6月15日、両軍が衝突。石とこん棒による「肉弾戦」によってインド軍の約20人が死亡、中国側も40人近くが死亡したとされる。

国境線が画定していないこの地域での小競り合いは、これまでも報じられてきた。しかし、双方に死者が出たのは1965年以来45年ぶり。これまた中国側が仕掛けた「戦狼外交」という見方が広がった。

衝突の原因について中国は、「インドが挑発、攻撃」と主張し、インド側も「中国側による一方的な現状変更の試み」と真っ向から対立した。各種報道を総合すると、双方が主張する実効線の内側で、中国側が築いた「拠点」ないし「テント」をめぐり、「インド軍が解体を試みたことから発生」(英誌「Economist」)というのが実相のようだ。

中国側は衝突発生以来、死傷者数を含め報道を全面的に抑制し、外交問題に発展させたくない意思を示唆している。軍や外交当局など、政府中枢が意図的に仕掛けた衝突ではなく、国境警備部隊による偶発的衝突の可能性が高い。衝突2日後には、王毅中国外相がインドのジャイシャンカル外相と電話会談し、事態鎮静化を図ったことからもそれがうかがわれる。

感染拡大でナショナリズム煽る

インドの新型コロナ感染者数はアメリカ、ブラジルに次いで3番目。感染の拡大に歯止めがかかっていない。
REUTERS/Rupak De Chowdhuri

インド政府は事態を「最悪の外交危機」(ロイター)と受け止めているが、それ以上に深刻なのが、インドで広がる「反中ナショナリズム」の爆発だ。

中国製品の不買運動が起き、ニューデリーのホテル協会は中国人の宿泊禁止を通達した。動画投稿アプリTikTokなど、中国企業提供のアプリ使用を禁止した。インドの港湾で、中国から輸入されたスマートフォンや医薬品などの通関手続きも滞り、両国間の経済問題に発展している。

状況を悪化させているのが、新型コロナ感染者の拡大である。7月6日には感染者数が70万人を超えアメリカ、ブラジルに次ぎ世界3位になった。手洗い施設の不備もあって感染拡大に歯止めがかからない。

アメリカに押しやりたくない中国
インドは人口の約8割がヒンズー教徒で、与党インド人民党はヒンズー至上主義団体が支持母体である。モディ政権が中国に弱腰をみせれば、支持を失いかねない。中国とのにらみ合いに加え経済落ち込み(IMF推計で2020年成長率はマイナス4.5%)は、ナショナリズムに訴え政権批判をかわす好機でもある。

一方中国にとって、インドとの関係悪化は、米中対立構造の中でマイナスでしかない。

インドは中国が進める「一帯一路」に反対するものの、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加し、最大の投資受益国である。「非同盟」を伝統的に受け継ぐモディ首相は「戦略的自律性」を外交政策の柱に据える。是々非々なのだ。

「一帯一路」に対抗し、アメリカと日本が共同戦略にする「インド太平洋戦略(構想)」の中心的対象国という絶好のポジションにいる。反中ナショナリズムが燃えさかれば、モディ政権をアメリカに押しやってしまう恐れがある。

「皮一枚」でつながる習訪日

日中関係の悪化の抑止を期待される「習氏訪日」だが、実現の目処は立っていない。
REUTERS/Sputnik Photo Agency

トランプ政権による対中包囲網をかわすもう一つのカギは、「関係改善が軌道に乗った」対日関係。最大の「外交ショー」になるはずだった習氏の国賓訪日はコロナ禍で延期され宙に浮いたまま。

両国間のノド元に突き刺さった尖閣問題で、石垣市議会の尖閣諸島の地名変更を決定したことに中国側が穏健姿勢で対応したことは既に書いた。中国も日本も、「習訪日」が生きている限り、日中関係を決定的に悪化させる事態を抑止させる効果を生んでいることを分析する内容だ。

香港問題では、自民党外交部会と外交調査会の合同部会が7月7日、中国非難決議を了承した。しかし当初の「(習訪日の)中止を要請する」という表現は、「党外交部会・外交調査会として中止を要請せざるを得ない」と、中止要請が自民党を代表する意思と受け取られないよう主語を補うなどの修正をした。

中国との関係が深い二階俊博自民党幹事長らによる「巻き返し」とされる。しかし、「皮一枚」でつながっている「習訪日」のメリットは、安倍政権も十分感じているはずだ。

右翼漁船の挑発放置と中国

日中間の「火種」である尖閣諸島。5、6月になって中国による日本の漁船追尾が相次いでいる。
REUTERS/Reuters Staff

日本政府は5月8日、尖閣の領海で中国海警局の公船が、日本漁船を追尾したとして、外務省局長が在日中国大使館公使に電話で抗議した。漁船追尾はその後も、地名変更の6月末を含め、複数回発生した。2013年の中国海警局発足以降、2020年5月8日までの間、領海での漁船追尾のケースはわずか4件。2020年は急激に増えていることになる。

これに対し、「戦狼外交官」と呼ばれる中国外務省の趙立堅報道官は、日本漁船が「中国の領海内で違法な操業をした」と、日本側の主権侵害を問題にした。

一方、在京の中国外交関係筋は筆者に対し、

・日本の漁船は右翼の持ち船か、雇った活動船。
・これまでは漁船を含め12カイリ内に入らないよう双方の公船が取り締まってきた。(活動家が)島に上陸するなど不測の事態を招く恐れがあるためだ。
・日本側は中国公船が80日以上、接続水域に立ち入ったと批判(7月2日)するが、従来は魚釣島の西側(中国寄り)での航行はカウントしていなかった。
などと、反論の根拠を挙げた。

「ボタンの掛け違え」の恐れ
中国側から見れば、尖閣周辺での日本漁船の活動は、領海入りを阻止しない日本側の「挑発行動」と映る。「中国側も習訪日を損なうような強い反応は控えるはず」との読みから、中国の「忍耐度」を試しているのではとすら見る。

こうしてみると、中国にとり日本とインドは、関係悪化をなんとしても避けたい相手であることが分かるだろう。中国外交を居丈高とみる「戦狼外交」から、中国のあらゆる外交を演繹的にみるのは、恐ろしいミスリードを生む。

コロナ禍や香港問題で「反中世論」が盛り上がっているが、対日、対インド外交まで「戦狼」の証とみなす事実誤認や、乱暴な主張がまかり通っている。誤解に気付かず皆同じ方向に走ると、論理や言葉より空気が支配しがちな日本の政策決定に、「ボタンの掛け違え」をもたらしかねない。

(文・岡田充)


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